Last Update 2017.9.17

GO a.k.a. 男澤魔術 and KASHI DA HANDSOME インタビュー

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こないだも雑誌“ミュージックマガジン”の『日本のヒップホップ・アルバム・ベスト100』でBUDDHA BRANDが堂々の一位になったり、追悼イベントが行われるたびに、にぎやかしい行列ができたり、スペースシャワーでの特番ドキュメンタリー『The Documentary “DEV LARGE”』も大人気を博したそうで、故デブラージの周りは今日もすこぶる元気! ああだこうだと、彼の音楽的な功績が語り継がれていくのは、かつて一緒に働いた俺としてはこの上なく嬉しい。今年の春ぐらいに、デブラージとすごく仲の良かったアートディレクターのTSUNEさんが俺の仕事場にGOさんの音源を聴かせに来てくれた。

 

Buddha Brand での活動と並んで、当時シーンに一石を投じたEL DORADO RECORDS。デブラージが自ら全国を行脚してアンサインド・ハイプを集結させていく様子は、今でいうと曽我部恵一さんのRose Recordsとかに近いのかな。感覚共有こそ全て、みたいなその集団は、当時のシーンにあっても、堂々たるファンクネス、過剰なひたむきさで、血管浮き出ていた。やたら大声でオトコ臭いEL DORADOクランにあって、いつも寡黙で、目立ちたがり屋ではなかったはずのFLICKのGOさんが久々の新曲をアナログで出すという。聴けばサウンドは当時と変わらぬ堂々たるファンクネス、過剰なひたむきさで、血管浮き出ている。しかも、まったくノスタルジックな感じはなくて、その微妙な感じを是非世に出すのを手伝いたいと思って、東洋化成の同僚:上田さんと組んで配給・売り込みも手伝うことにしたんです。

 

取材/文:本根誠

 

GO:2016年の暮れぐらいにいくつか若いラッパーのイベントを久々に観る機会があって「今こんな感じなんだ」「そうじゃないでしょ」みたいな刺激をもらって。その頃、KASHIと飲む機会も偶然あって「久々にウチ来る?」「よかったらビート持ってけよ」ってなって。これはもうやれってことかなーと。

 
KASHI:酔っぱらって「大感謝祭だ、どのビートも何でも持ってけ!!」みたいになってたよね。

 
GO:「ありがとう!!」を連呼していたよ(笑)。

 
KASHI:久しく一緒に音楽やってなかったGOがどんなものに興味示すのかも知りたかったですし。

 
GO:もう14年くらいやってなかったからね。でも、ステージに上がらなくなっても、あの頃のクセで気になったフレーズや言葉遣いは書き留めておいていたんです。だから歌詞はすぐ出来ました。今回の録音の時期に思い返したのは、僕は別にラップを仕事にしたいんじゃなくて、何かしら世に現したい人間なのだな、それで、その活動のメインは今、洋服作りですが、かといってラップを辞めたという感覚もない。20代の頃は夜の時間のドキドキが好きだったけれど、今は朝の時間の方が好きです。でも、何かを現したいという気持ちは変わっていない。そのあたりの思いを歌おうと思って始めました。と言っても14年ぶりだし、誰?ってハナシじゃないですか。だから自分のプロフィールとして書いたつもりもあります。

 

 

GO:デブラージと知り合った頃は、やっぱラップの世界にもヒエラルキー、ピラミッドあるのかな、イヤだな、と思ってた頃で。彼は人、アーティストをそういう視点で見てなかったと思いました。あくまで音楽的な感性がフィットするかどうか、そういうレーベルを作りたいんだなと思いました。

 
KASHI:俺はデブラージが“FINE”の記事書いてる頃から読んでたよ。BUDDHAがデビューする時にみんなが、すごいの帰ってくる、すごいの帰ってくるってなってたのも憶えてる。

 
GO:KASHIはMuroさんつながりで知り合ってたのかもね。僕ときたら社交的じゃないはおろか、誰かと目が合えばにらむ、みたいな性格だったけど、デブラージは熱かった。彼から構想をいろいろ話してくれたのは嬉しかった。

 
KASHI:あの頃のデブラージは、聴くもの、掘るもの、作るもの、掘るときに着てるもの、全てがつながってる、一貫性のかたまり。自分にも周りにも求めるハードルが高い時期だった。

 
GO:そうだね、今回振り返ってみて、彼が勝負したかったグラウンドが分かった気がするというか。絶対ゆずれないポイントがあって、実際テコでも動かなかったからのステイタスだったと思うし、そのリスクもあったろうな、と今はわかる気がする。一度でもゆずっちゃうとみんなと同じになっちゃうからね。今、僕は自分のブランドとは別にUNDERCOVERの仕事もしていますが、JONIOさんとあの頃のデブラージは本当に似ている。聞いた瞬間、わがまま? と思えるようなことを言うけれど、自分の行きたい場所は明確に見えてて。そんなところに共通点を感じるんです。洋服と音楽のクリエイションのツボという意味では触れあわないというか、ラップからの影響はないけど、突っこんでいく力、でしょうか。もの作りにつきものの、きわどい時の気持ちの太さは、あの時代に夜な夜な集まったみんなに強くしてもらった。もの作りというより届ける力を僕は授かったんだと思う。

 

 

==僕は、最近アナログの仕事を始めたのもあったり、勿論デブラージの急逝とか、“さんピンCamp”が再評価されたりで、当時の知り合いのアーティストさんに再会することが多いんだ。Youちゃん、K-DUB、あとGKは近所だったし、YASさん、RINOさん、、、みんな昔より好青年だね! さわやかだよね。何事にもとらわれていない感じが気持ちいいよ。そんなタイミングで、GOさんが今の自分をフラットにラップしたのが、俺は嬉しかった。

GO:あの頃と違ってみんなに話しかけたくなったのかもしれない。それと、作品を通してデブラージにお礼したかったのはあります。

 

==同窓会になっちゃうリスクは考えなかった?

GO:普段から僕は過去を振り返ることはしないし、そうならない自信は、ありました。

 

==あの時代の熱は90年代からずっと、形を変えながら通底していることを、GOさんもみんなも現して続けているんだね。あの熱は墓まで持っていくものなんだと思わせてくれた。

KASHI:GOが手を挙げて、仲間が集まるというのは、いつもそう。ぼくらはPEDAL MAFIAという自転車のウェブサイトもやってたけど、GOはいつも遊び場を作ってくれる。この関係はずーっと変わらないね。

 

 

■作品情報

アーティスト:GO a.k.a. 男澤魔術 from FLICK
タイトル:1984 feat. KASHI DA HANDSOME / 秘伝の著
レーベル:黄金の里RECORDS
品番: OGS-504
フォーマット:7”
価格:1,900円(税抜)
発売日:2017年7月26日(水)
トラックリスト:
Side A
1984 feat. KASHI DA HANDSOME (Prod. by KASHI DA HANDSOME)

Side B
秘伝の著 (Prod. by KASHI DA HANDSOME)