Last Update 2023.12.27

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『レコードを愛でるということ』レコードクリーニングタカハシ 主宰・タカハシマサトさんに訊く

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よし、久しぶりに聴いてみようか、と棚からレコードを引っ張り出してみると、レコード盤に汚れがベッタリという経験がある方もいるだろう。塩化ビニールでできたレコード盤にとってカビの原因になる湿気や指紋などの皮脂汚れは華麗なるレコードライフの大敵。そんな汚れをきれいに落とす「レコードクリーニング」はレコードを聴く人にとっては避けて通れないルーティンワークの1つといえる。

今回はそんな「レコードクリーニング」の中でも、Rhizomatiks Presents 「ANALOG」等のイベントや、各地への出張レコードクリーニング店として話題レコードクリーニングタカハシさんにお話を伺うことができた。自動洗浄可能なクリーニングマシーンを台車に積んで、各イベントを巡業する氏に、そのきっかけと思いを尋ねた。

取材・文 相澤宏子/松田里子

 

レコードクリーニングをはじめたきっかけとは…?

 

——タカハシさんとは2015年11月にみなとみらいBUKATSUDOで開催されたPlay it again ~レコードをもう一度楽しもう~でお会いしたのが初めてでした。そもそもどういったきっかけでレコードクリーニングを始められたのですか?

 

自分の家に眠っていた5~6000枚のレコードコレクションをデータでもアーカイブするためにレコードを整理してメンテナンスしたいと思ったんです。そこで実際にレコードクリーニングをしたところ、その劇的な音の違いに驚きました。そこで「レコードクリーニングをたくさんの人に知っていただきたい」と思ったのがきっかけです。

 

——なるほど。今日は実際にクリーニングを見せていただけるとのことですが、こちらのマシンはどのようにして手に入れられたのですか?

通常、クリーニングマシンはドイツ製の高価なものが多く、(全自動のレコードクリーナーは約60万円以上)、自分自身のために購入することは現実的ではなかったんですが、一昨年の夏頃、コストダウンに成功したリーズナブルなモデルが出ている事をネットで見つけました。とあるショッピングモールで実機デモンストレーションを行っているという情報を見つけて早速出かけ、即購入決めました。それからしばらくは毎日、自分や友人のライブイラリーで色々と方法や効果を試しました。修行的な(笑)。

 

——修行をされたあとすぐに「レコードクリーニングタカハシ」を?

 

はじめは近所の友人のカフェなどで、レコード人口の多い団塊の世代を対象にワークショップ形式でレコードクリーニングをやってみました。洗浄機の音がうるさかったり、そもそもレコードと日常的に寄り添ってる人があまり来なかったりと中々難しい事もありました。そんな時、たまたま友人のイベントオーガナイザーに誘われてクラブイベントでレコードクリーニングを行ったところ、DJを中心にクリーニングを希望される方がたくさんいらっしゃって。そのあとクラブを中心にちょこちょこと出展させていただくようになりました。

 

【レコードクリーニングタカハシ流レコードクリーニングの仕方】

クリーニングの工程を解説していきます。

1.蒸留水をクリーニングマシンに投入。水は約2L使用する。

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薬剤や溶剤を使用するクリーニング法もあるが、抵抗のある人もいるためアナログ盤に負担をかけないように、薬剤は使用しない(諸説あり。レコードクリーニングタカハシさんの場合です)。

 

2.超音波によって振動した水と、ブラシを当てることで盤面・溝の汚れを落としていく。軽度な汚れは片面5分ほどで落ちる(LP)。

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超音波だけでも汚れは取れる。基本的には片面5分でよい。手についた油や、ヤニなどの汚れもすっきり落としてくれる。

 

3.終わったら水気をきる。

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水が飛び散るので周囲に注意しながら、すばやく。職人の技がいる。

 

4.けば立たない布・コットンなどでふき取る。

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簡易的に使用できるシルコットプレミアムが出張時には活躍するとのこと。「レコード盤にもお財布にも優しく、おすすめ。」

 

5.扇風機などの優しい風でしっかりと乾かす。

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だいたい片面5分。カビの原因となる水分は絶対に残さないように注意。なんとレコードの中袋もきれいに代えてくれるサービスも。

 

6.完了!!

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「カスミが晴れるような、ベールがはがれるようにきれいになる感覚がある」と語るタカハシさん。

 

レコードクリーニングはレコードを愛でるということ。

 

——タカハシさんにとってレコードってどんな存在ですか?

 

今はPCDJが主流にはなっていますが、アナログレコードでDJしている方の音を聴くと、やっぱり「浴びたい!」と思うほど心地よい音をしているんです。レコードを愛していれば大切に扱うのは当然だし、きれいにしたいと思うもの。今までは中古レコード店や業者の方向けだった「レコードクリーニング」を、ハードコアなマニアだけじゃなくて、一般の人たちにも気軽に利用してもらえたらいいなと思っています。要望があればレコードクリーニングだけでなくアナログレコードをデータに起こすお手伝いもしています。

 

——レコードクリーニングを通して感じられることはありますか?

 

クリーニングをしているとレコード盤、ジャケットにその所有者独特のパーソナルな思い入れがあることが分かってきます。どんなにぼろぼろのレコードでも「聴けるようになりませんか?」と持ってこられる方がいるんです。そういうレコードは大体CDになっていなかったり、Youtubeにも上がっていないような楽曲だったりします。データは消えてしまったら一瞬ですが、レコードは傷ついていったりという、劣化すること自体に意味があるように感じます。再生するまでの手間も”作法”として若い人たちにも面白がられていますし。まあただのフェティシズムかもしれませんが(笑)100年以上続くアナログレコードの歴史を感じますね。

 

【編集部後記】

レコードクリーニングタカハシさんとお話しすると「レコードクリーニング」を通してレコードを愛でていることが分かる。思い入れのある年季の入ったレコードを持つ人も、汚れたままのレコードが眠っている人も、一度レコードクリーニングタカハシさんにご相談してみてはいかがだろうか。

 

【レコードクリーニングタカハシにクリーニングをお願いしたい!ときは?】

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Facebookで連絡をすれば、出張クリーニングも可能とのこと。価格は枚数や汚れなどにもよるため要相談。

Facebookページ:https://www.facebook.com/レコード-クリーニング-タカハシ-1625980151015147/

 

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↑↑機材:超音波式レコードクリーナーBELLDREAMUS-60V

【プロフィール】

タカハシマサト/レコードクリーニングタカハシ

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レコードクリーニングタカハシ主宰。ex.海賊放送RadioFreedomFM主宰、現在リーガルなラジオ制作、イベントFM等や小規模音響などで山中レイブ、温泉などへ出没するサウンドアーティストでDJを行う。

レコードクリーニングタカハシ主宰。ex.海賊放送RadioFreedomFM(FMおだわら毎週火曜よる8時〜)主宰、現在リーガルなラジオ制作、イベントFM等や小規模音響などで山中レイブ、温泉などへ出没するサウンドアーティストでDJ。
アナログメディアへのフェティッシュがこうじて始めてしまったレコードの超音波洗浄小商い、レコードクリーニングタカハシを2016年よりスタート。もやっとしたベールが剥がれ、蘇るレコード。打ち捨てられようとしているお宝のサルベージ是非体験を。また、アナログレコードだけでなく、カセットマガジン”NOT FOR SALE”をリリースしている(中目黒waltzにて取り扱い中)。

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