Last Update 2017.11.22

Interview

Cornelius インタビュー~11年ぶりのオリジナル・アルバム『Mellow Waves』リリースに寄せて~

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取材/文:細川克明
撮影:豊島望

 

“待望の”という言葉は頻出しているが、今回のリリースにこそ使われるべきなのではないだろうか。小山田圭吾のソロ・プロジェクトであるCorneliusが11年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Mellow Waves』を6月28日にリリースする。しかも、アルバムに先駆けて発売されたのは、『あなたがいるなら』『いつか / どこか』というタイトル曲を収録した2枚の7インチ! その類い希なソングライティングと音響アプローチで世界的にも評価の高い小山田圭吾が、アルバムに加えてアナログ・レコードについても語ってくれた。

 

--まず、『SENSUOUS』以来、11年ぶりのオリジナル・アルバムのリリースとなった経緯から聞かせてもらえますか?

小山田 そのほかの制作だったり、ライブだったり、いろいろやっていて、気付いたら時間が経っていたんです。時期的に選んでいたわけではないのですが、METAFIVEがいったん終わったので、そろそろやらなきゃと。

--アルバムのリリースに先駆けて2枚のシングルを先行でリリースすることになった訳ですが、なぜアナログ、しかも7インチだったのでしょう?

小山田 先行でシングルは出したいなと思っていたんです。でも、今時はなかなかCDシングルというのも、みんなやらないので。あと、ジャケが銅版画家の中林(忠良)さんという方の作品を使っているのですが、ジャケとして良いなと思ったものがたくさんあったので、ジャケを作りたいなというのもありました(笑)。

--その銅版画の作品は元のサイズとしても、7インチのジャケットに近かったのですか?

小山田 そうですね。小さい作品だったので。

--その中林さんの作品と出会った経緯は?

小山田 中林さんは、僕の叔父さんなんです。だから、子供のころから知っていて。父の妹の旦那さんで血のつながりはないのですが、東京芸術大学で先生をやっていたのが退任するときにたまたま作品をまとめて観る機会があって。それが10年くらい前ですね。今回使わせてもらったのが、1960年代の後半から1970年代前半の作品なのですが、それらをすごく気に入って。いつか一緒に何かをできればと思っていたんです。

--先行となった両シングルの楽曲の曲想と合致していたということですか?

小山田 そうですね。あと、10年くらい前から何となく中林さんの作品が頭の中にありつつ曲を作っていたので、自然と近くなったというか。

 

 

--実際に拝見した中林さんの作品というのは多かったのでしょうか?

小山田 結構ありましたね。今回のジャケに使わせてもらった作品は写真などのコラージュと自分で描いていたりする部分があって、ちょっとサイケな感じというか夢と現実の間みたいな感じというか……時代性もはっきりと分からないし、とらえどころの無い感じですよね。何となくとしか言いようのない部分ですが(笑)。

--表ジャケットは文字も一切無く、裏ジャケに小さく曲名などが書かれていますが、表裏の版画は連作なのでしょうか?

小山田 別の作品を僕が選んで合わせています。叔父さんの作品なので、やりたい放題で選ばせてもらいました(笑)。

--まず7インチのアナログでシングルを出すというイメージがあったわけですか?

小山田 僕らの世代から言えば、シングルと言えば7インチ。これまでにミニ・アルバムで10インチのアナログ盤を作ったり、5インチのレコードを出したことありますが。

--そういった、パッケージとして作品を作る楽しさも楽曲リリースのモチベーションにあるわけですね。

小山田 そうですね。7インチは珍しいというわけじゃないですが。

--よく言われるように、アナログ盤は音質面でデジタル・リリースとは違う部分があると思うのですが、シングル曲を選ぶにあたって意識したことは?

小山田 それは別に考えませんでしたね。ただ、アナログは音質とか言うよりも、聴くときに大切に聴いてもらえるかなという気がしていて。ジャケットを見て、レコードを取り出して、ターンテーブルの上に置いて、レコードの上に針を載せる。そういった作業が儀式みたいな感じであるじゃないですか。ボタンをピッと押すだけではない。そこまでして再生するなら、じっくり聴くのではないかなと(笑)。

--細かい部分ですが、1stシングルはA面だけが33回転になっているのは?

小山田 収録時間で選んだだけで、音質的な理由ではないです。

--ストリーミング・サービスが一般化して、音楽がどちらかと言えばBGM的に扱われる機会が増えたと思うのですが、それに対するアンチテーゼ的な意味もあると?

小山田 別にそこまではないけど、自分自身がCDよりも後……例えばiPodなどにリッピングして音楽を聴くようになったときに、一時期アナログ盤を聴かなくなった時期があったんです。でも、ここ数年、またアナログを聴き出すようになったこともあって。

--具体的に、いつぐらいからアナログ盤を聴かなくなったのでしょう?

小山田 2000年前後に一度あって、(2006年リリースの)前のアルバム『SENSUOUS』のころにもそうなったけど、ここ4~5年で再び聴くようになったのかな。

 

 

--どういった心境の変化があったのですか?

小山田 ひとつは、自分の子供がレコ屋でバイトを始めたんです。それで、レコードが好きになったみたいで、レコードを買うようになって、レコードを聴きたいと。原宿にあるBIG LOVE RECORDSというお店なんですが、そこはレコードとカセット・テープしか売っていないから。自分の子供の世代ってCDを買わないし、配信とアナログ盤なんです。世界的にもそうなってきているみたいで、最近はレコードでも昔のリイシューが出ていたりしますよね。

--その流れはありますね。小山田さん自身はレコードを聴かなくなった時期に、いわゆる“断捨離”をしたのでしょうか?

小山田 結構しましたよ。何度かに分けて……今、所有しているのは3千枚くらいかな。一番多い時期はひと部屋すべてレコードだったりしたので、その数倍は持っていましたね。

--どういった基準で取捨選択していったのですか?

小山田 何となくなんですけど……あまりに枚数が多かったこともあって、途中で分からなくなってしまって(笑)。やっぱりCDで聴けないものとか、あとはジャケットが好きなものなどを残しつつですね。

--昨今はアナログ・ブームと言われていて、先行シングルも両タイトルとも完売になっています。プレミア価格で販売しているところもあるようですが、ある意味で過熱気味だと感じることはありますか?

小山田 発売前なのに定価よりも高く売られていたり……完全に転売屋ですよね。聴きもしない人が買い占めているのは嫌です。実は、今回の7インチを作って出すまで、こんなにも転売屋がすごいことになっていると知らなくて。ライブ・チケットなども問題になっていますが、世界的なんですよね。ちなみに、今回の作品であれば、海外レーベルからもリリースすることになるかもしれないので、アナログで今後入手できなくなることはないんじゃないかな。だから、あせって買わなくてもいいと思います(笑)。聴いてくれる人には普通の値段で買ってもらいたいので。

--ここ4~5年で再びアナログを聴くようになったという話がありましたが、そういったリスニング・スタイルの変化が今回のアルバム『Mellow Waves』に影響を与えたりはしましたか?

小山田 制作スタイルは変わっていないですね。別にアナログ指向になったということはない。ただ、じっくり音楽を聴くこともいいなとか、やっぱりジャケットっていいよなとは、あらためて思いましたね。

 

 

--『Mellow Waves』の制作期間を教えてください。

小山田 曲作りはずっとやっていたので、7~8年くらい。曲を書いて、それを録音していくという流れは、ずっと一緒ですね。

--たくさんあった曲から『Mellow Waves』に収録する曲を選んでいったということなのでしょうか?

小山田 そうですね。いろいろやっていくうちにですが。ほかにはMETAFIVEの曲になったり、サントラとして発表した曲になったりしたので。

--作詞については、ご自身で手掛けたもの以外に坂本慎太郎さんが参加していたりしますが、どういった判断から?

小山田 もともとは僕がsalyuと一緒にやっていたsalyu × salyuというプロジェクトがあって、そのときに坂本君と一緒にコラボレーションしたのが始まり。その後もサントラ(劇場版アニメ『攻殻機動隊AIRSE』)でも何曲かやって、その流れで今回もお願いしました。

--どういった状態で坂本さんに作詞を依頼するのでしょう?

小山田 曲はアレンジまでもすべて完成していて、仮歌として“ラララ~”くらいで入っているものを坂本君に聴いてもらって、そこに言葉を載せてもらっています。

--ちなみに、『Mellow Waves』というタイトルにした意図は?

小山田 並べて聴いたときに、こんな感じかなと(笑)。メロウで、音が波を打っていて……あとは、文字として書き出したときに、“M”W“V”などがあって、波っぽく見えるなとか。

--本サイトを見ている人は気になる部分なのですが、『Mellow Waves』のアナログ盤のリリース予定は?

小山田 まだ正式には決まっているわけではないけど、作りたいなとは思っています。もしかするとアメリカで先に出るかもしれません。収録曲も昔のカセット時代……46分テープで収まるイメージで作ったので、アナログ盤にしたときも1枚分になっていますからね(笑)。

--先行シングルとして、久しぶりにご自身の作品をアナログ盤で聴いたと思うのですが、どういった印象を持ちましたか?

小山田 やっぱりいいものだなと思いましたね。ジャケットの質感なども、かなりこだわって作ったので。色が奇麗に出るようにジャケットの紙質も選んだり、元の版画の再現性という意味でも良いものに仕上がったと思います。色の校正などもしっかりできたし、多分、日本で作らないと、ここまでのクオリティになっていなかったんじゃないかな。実際に手にとってもらえれば分かるんですが、モノクロっぽく見えて、実はもっと色を使っていて、グラデーションなどもしっかり出ていたり、茶色やキラキラした色が入っていたり。パソコンではこの質感が分からないのは残念ですね。あと、個人的には、外袋がちょっと厚めで固いところもポイントです(笑)。

 

■取材時に持参してくれた自宅コレクションからのレコード紹介
◎No Artists『Project 3 / Popular Science Monthly Stereo Test Record』(1967)
◎Money Mark『Push The Button』(1988)
◎Hifana『Sound Tuchable』(2003)
◎Xenakisほか『Prospective 21 Siecle』(1967)など

 

パッケージやカッティングが面白いものを選びました。
ステレオチェックのレコードは各曲で溝がつながっていなくて、針を落としたところの曲(各周波数)しか聴けないという、特殊なカッティングが施されています。

 

 

マニー・マークのアルバムは、12インチ、10インチ、7インチが1枚のアルバムとして収められています。

 

ハイファナのバトルブレイクスは針飛びしてもリズムがズレないように計算されたカッティングになっていて、溝を見ているだけでも楽しい(笑)。

 

その他は、ジャケットが特殊なもので、3Dに見えたり、布が張り付けられたりしているもの。海外で購入したものが多いのですが、レコード屋で見つけると買ってしまいます。自分の作品でも常にパッケージのことを考えているくらい好きなので(笑)。

 

 

■作品情報

1st Single「あなたがいるなら」
発売日:2017年4月26日/7inch アナログ
レーベル:ワーナーミュージック・ジャパン
品番:WPJL-10041

トラックリスト:
SIDE A(33RPM)
「あなたがいるなら」
SIDE B(45RPM)
「HELIX/SPIRAL」

 

2nd Single「いつか / どこか」
発売日:2017年5月24日/7inch アナログ
レーベル:ワーナーミュージック・ジャパン
品番:WPJL-10042

トラックリスト:
SIDE A(45RPM)
「いつか / どこか」
SIDE B(45RPM)
「悪くない。この感じ」

 

New Album『Mellow Waves』
発売日:2017年6月28日/CD
レーベル:ワーナーミュージック・ジャパン
品番:WPCL-12660

トラックリスト:
01「あなたがいるなら」
02「いつか / どこか」
03「未来の人へ」
04「Surfing on Mind Wave pt 2」
05「夢の中で」
06「Helix/Spiral」
07「Mellow Yellow Feel」
08「The Spell of a Vanishing Loveliness」
09「The Rain Song」
10「Crepuscule」

 

■ツアー情報

MELLOW WAVES TOUR 2017
■新潟
日程: 10/9 (月祝)
会場: 新潟 LOTS
開場: 17:15 開演: 18:00
イベント情報: FOB新潟 TEL: 025-229-5000

■宮城
日程: 10/11 (水)
会場: 仙台 Rensa
開場: 19:00 開演: 19:30
イベント情報: ジー・アイ・ピー TEL: 022-222-9999

■ 北海道 – DAY1
日程: 10/13 (金)
会場: 札幌 PENNY LANE 24
開場: 18:00 開演: 19:00
イベント情報: WESS TEL: 011-614-9999

■ 北海道 – DAY2
日程: 10/14 (土)
会場: 札幌 PENNY LANE 24
開場: 17:00 開演: 18:00
イベント情報: WESS TEL: 011-614-9999

■ 香川
日程: 10/19 (木)
会場: 高松 festhalle
開場: 18:30 開演: 19:00
イベント情報: デューク高松 TEL: 087-822-2520

■ 大阪
日程: 10/21 (土)
会場: なんば Hatch
開場: 17:45 開演: 18:30
イベント情報: 清水音泉 TEL: 06-6357-3666

■ 愛知
日程: 10/22 (日)
会場: 名古屋 DIAMOND HALL
開場: 17:15 開演: 18:00
イベント情報: JAILHOUSE TEL: 052-936-6041

■ 東京 – DAY1
日程: 10/25 (水)
会場: 新木場 STUDIO COAST
開場: 18:30 開演: 19:30
イベント情報: HOT STUFF PROMOTION TEL: 03-5720-9999

■ 東京 – DAY2
日程: 10/26 (木)
会場: 新木場 STUDIO COAST
開場: 18:30 開演: 19:30
イベント情報: HOT STUFF PROMOTION TEL: 03-5720-9999

■ 神奈川
日程: 10/28 (土)
会場: 横浜 Bay Hall
開場: 17:00 開演: 18:00
イベント情報: HOT STUFF PROMOTION TEL: 03-5720-9999

■ 広島
日程: 11/3 (金祝)
会場: 広島クラブクアトロ
開場: 17:00 開演: 18:00
イベント情報: 広島クラブクアトロ TEL: 082-542-2280

■ 福岡
日程: 11/4 (土)
会場: DRUM LOGOS
開場: 17:15 開演: 18:00
イベント情報: BEA TEL: 092-712-4221
チケット
スタンディング: ¥6,800 (税込) 1Drink別
2F指定席: ¥7,800 (税込) 1Drink別
※ 東京・大阪・福岡のみ
一般発発売日: 7/22 (土)
オフィシャルHP先行受付
受付期間: 5/24 (水) 12:00 ~ 6/11 (日) 23:00
受付URL: https://l-tike.com/st1/corneliusticket

 

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