Last Update 2017.7.26

Interview

世界最大の音楽データベース・Discogsとは?

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アナログレコード好きなら、誰しも一度は覗いたことがあるであろう、アメリカ・オレゴン州ポートランドの企業が運営する世界最大の音楽データベースかつ、音楽マーケットである「Discogs(ディスコグス)」。「日本では手に入らないレコードを探したい」、「あのアーティストのあの曲、いつ発売されたんだっけ…?」などなど、色々なニーズを満たすことが可能なDiscogsは、一人の音楽好きの青年のが趣味でデータベースを構築することから始まった。

Discogsの成り立ち、使い方、現在の課題、また、日本のアナログレコード市況についてどう見ているか等を、広報のジェフリー・スミス氏に伺った。

取材/文:相澤宏子

 

ーーまず、Discogsの歴史、概要について簡単に説明をお願いします。

Discogsの始まりはとてもシンプルです。2000年のこととなりますが、CEOであるケヴィン・レヴァンドフスキは自分の所有しているレコードのトラックを整理する必要を感じていました。同じような必要性があった他の何人かのレコードコレクターと繋がりを持った後、ケヴィンは個人のコレクションを使ってオープンソースのデータベースを構築しました。このあらすじは常に、世界でもっとも巨大で包括的な音楽のデータベースを構築しているDiscogsのミッションであり続けています。コレクターでもヴァイナルに新たに興味を持ち始めた人でも、レーベルやアーティスト、様々なヴァージョン、プロデューサー等、1枚のレコードの全てについて、一つのデータベースから広い範囲にわたってリサーチすることができます。そして重要なことは、Discogsの市場を通じて、そのアルバムを素早く手に入れられるようになる、ということです。

 

 

ーーDiscogsで働く方々は、どのような信念で働かれているのですか?

Discogsには、チームとして互いに努力していくための5つの核となる価値基準があります。
①音楽への情熱
音楽全体を保存、創造、研究、敬意を示す、という希望が私たちの中にあります。

②絶え間ない改善
われわれ人々、プロジェクト、プロダクト、サービス、そしてソフトウェアにおいて、最高を目指して途切れることなく努力していく、という意味です。

③チームワーク
私たちは、互いの尊敬とコミュニケーションを通じた成功したチームとしての集合体なのです。

④共同体
Discogsは私たち共同体の働きがコラボレーションすることによって成り立っています。共通のゴールを見据えた音楽に取り憑かれているとも言えるこの共同体なくして、Discogsは有り得ないでしょう。

⑤オープンソースの包括
Discogsのデータは公に対して常にオープンでフリーです。Discogsは最初にオープンソースツールとして構築されたため、オープンソースコミュニティに貢献しています。

 

ーー1日平均でどれくらいのアクセスと取引があるのでしょうか?

Discogsには平均して月に1,000万アクセスあります。一日にすると33万アクセスとなります。

 

ーー使ったことがない方にオススメの使い方を教えてください。

何人かのスタッフが、昨年東京のレコード店を訪れたのち、”How To Discogs”というミニ・ブックレットを日本語で製作しました。コレクション、売買、コントリビューションなどに関連したトピックーー”What is Discogs”といったインフォメーションだけでなく、日本のレコード店の場所をまとめたVinylHubについてのインフォメーションも含まれています。これは、Discogsの使い方を理解し、ヴァイナルを入手できる場所を見つけるリソースとしてとても有益だと思います。

 

ーー中古レコードの取引が中心かと思いますが、新譜の拡販に関して取り組まれている施策、もしくは取り組みたい施策があれば教えてください。

何百ものレコード店が新譜を取り扱っていますが、ヴァイナルというカテゴリにおける新譜に関しての問題といえば、リリース日を取り巻く不確実性です。すでにCDを売っているDiscogs上での売り手がいる一方、ヴァイナルに関しては、アーティストのwebサイトで出荷予定日を頼りにプレオーダーすることしかできない、という事象が起こり得ます。その間、売り手は在庫を持てないままとなります。ヴァイナルに関して生じる遅れは、市場で新しいヴァイナルを手に入れるDiscogsの売り手には明らかに影響を及ぼします。Discogsを通じて直接販売したいレコードストアとレーベルに対応するために必要な機能性とユーザーエクスペリエンスを、引き続き強化していきたいと思っています。

 

 

ーー近年のアナログレコード復活によって、ユーザーそのもの、そしてDiscogsの使われ方に変化はありましたか?

アメリカでは、音楽ソフトの売り上げの25%以上をヴァイナルが占めています。イギリスでは、2016年のヴァイナルの売り上げが前年の売り上げの53%アップでした。このような数字がヴァイナルの重要性を確かなものにしています。また、HMVのような小売店がヴァイナルに特化した吉祥寺店をオープンさせたことからも、Discogsは売り手にとっても買い手にとっても、新品中古に限らず、ナンバーワンの目的地となっていくと思います。

 

ーー今後の世界のアナログ市場についてどのような見解を持たれていますか?

ここ数年のヴァイナルのフォーマットとしての成長や、RSDが今や世界中の都市で盛り上がりを見せていることなどから、ヴァイナルはブームから、基礎となるフォーマットへと変わっていっていると思います。世界的にポピュラーな文化になっているんです。1年に何百、何千のターンテーブルが売られています。こうした勢いは、流行やムーブメントを生活の一部へと定着させています。ストリーミングを凌ぐ勢いになるかと言えば「ノー」だと思います。しかし、ヴァイナルが10年後も価値あるフォーマットであるか?と聞かれれば、自信を持って「イエス」と言えます。

 

ーー日本のユーザーはどれぐらいの割合を占めているのでしょうか。

日本からは月に400,000アクセス近くあります。平均して月の4%ほどにあたります。

 

ーー日本のアナログ市場の現況と今後の動向についてどのような見解を持たれていますか?

HMV record shop 吉祥寺のオープン、2012年以降のRSDjapanの成長、ナガオカのスタイラス市場での復活とともに、日本はレコード市場で大きな利益を得られるのではないでしょうか。テクニクスと東洋化成のレコード再発見プロジェクトのような自発的なプロジェクトを見ると、日本でヴァイナル市場が繁栄していく十分な理由が大いにあると思います。

 

■Discogs ウェブサイト
https://www.discogs.com/ja/

 

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