Last Update 2023.12.27

Interview

yahyel(ヤイエル)インタビュー&ライブレポート(WARPAINT来日公演 オープニングアクト)

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ーーリアルタイムの状況を追っている人しか、その潮目を見ることはできませんからね。

篠田 そう、まさにそうなんです。

 

ーーだからこそ、ヤイエルではその時代のサウンドを取り入れていくことに重きを置いていると。

杉本 そうですね。で、あえてそこでヤイエルの核になっている要素を挙げるとするなら、それはヴォーカルだと思う。同時代性のあるオケの上に、池貝のブルージーな歌声が乗っかった時点で、それは僕らの音楽的な特徴になってると思うし、僕らの音楽になにかしらのルーツを感じさせるものがあるとしたら、そこしかないんじゃないかな。

 

ーー皆さんの場合は、そうしたバンドの出自をあえて曖昧にさせているようなところもありますよね。それはアー写とか、VJを取り入れたステージングにおいても言えると思うのですが。

杉本 そうですね。もともと僕らには「匿名性」というコンセプトがあったので、VJに関してはそこを汲み取ったうえでやらせてもらってるんですけど。

 

ーーなぜ「匿名性」をコンセプトとしたんですか。

篠田 まず、ヤイエルは海外のシーンに出ていきたいというところから始まってるんですけど、そこで最初に「東京出身」みたいな説明をしちゃうと、「じゃあ、こういう音楽なんだろうね」みたいなイメージを持たれてしまうっていう現実が実際にあって。

杉本 僕ら、イギリスの〈ラフ・トレード〉に7インチを持っていったんですよ。で、次の日にお店まで確認しに行ったら、僕らの7インチは「JAPAN」の棚に陳列されてて。

篠田 同じレヴェルのことをやってるはずなのに、日本人というだけでそういうイメージで見られるのがすごくイヤだったし、それってフツーにおかしいことだから、やっぱり覆したいんですよ。それに、こうして国内で活動を続けていくなかでも、今のロック・バンドって、音楽とは別のステータス的な部分ばかりが出すぎているようにも感じるんですよね。で、それなら僕らは匿名性を打ち出していこうと。まあ、「誰でもいいじゃん、俺らなんて」くらいの感じですね。「ヴォーカルの顔って、そんなに重要?」みたいな(笑)。かといって、これで完全に顔を隠して「謎の5人組」みたいになっちゃうのも、それはそれで違うし。

杉本  奇をてらっているわけではないからね。

 

ーーなるほど。でも、いま海外に進出している日本人アーティストって、どちらかというと日本的なエキゾチシズムを全面的に打ち出している人のほうが多い気もするんですよ。その点でいくと、皆さんのアプローチはそれとまったく違いますよね。

篠田 そうですね。実際にそうやって結果を出してきた方々はたくさんいると思うんですけど、だからといって、僕らがそれもやるのは違うというか。それって日本的なものと、そうでないものの線引きを強化することにしかならないと思うんです。だからこそ、僕らはその日本的なものを武器にするってことに対しては、常に禁欲的でありたいんですよね。

 

ーーでは、それを踏まえて、ヤイエルの近況を教えてください。次はどんな作品をつくることになりそうですか。

篠田 今はコラボレーションがやりたいなと思ってます。実際、昨日はそれでYouTubeとSoundcloud、あとはSpotifyのプレイリストを片っ端から探し回って、いろんなアーティストの連絡先と参考音源と在住都市をエクセルにリストアップしてました(笑)。単純な話、もっと輪を広げていきたいんですよ。

杉本 そうなんだよね。せっかくSpotifyのプレイリストに入ってるんだから、そこからシーンを作っていけばいいじゃんって。有名無名を問わず、いろんな地域のアーティストとつながっていけたらいいなと思ってます。《終わり》

 

 

■作品情報

yahyel
yahyel『Flesh and Blood』(LP)

発売日:2017年3月3日(金)
価格:3,240円(税込)
レーベル:Beat Records
品番:BRLP-530
tack list:

sideA
1. Kill Me
2. Once
3. Age
4. Joseph (album ver.)
5. Midnight Run (album ver.)

sideB
1. The Flare
2. Black Satin
3. Fool (album ver.)
4. Alone
5. Why

※CD情報他はこちら
http://www.beatink.com/Labels/Beat-Records/yahyel/BRC-530/

 

■yahyel – live dates

04-02 (sun): Flying Flags VOL.1 @ SENDAI darwin

04-08 (sat): SYNCHRONICITY’17 @ TSUTAYA O-EAST / duo MUSIC EXCHANGE / TSUTAYA O-WEST / TSUTAYA O-nest

05-04 (thu): VIVA LA ROCK 2017 @ Saitama Super Arena

 

■Profile

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yahyel(ヤイエル)

2015年3月に池貝峻、篠田ミル、杉本亘の3名によって結成。 古今東西のベース・ミュージックを貪欲に吸収したトラック、ブルース経由のスモーキーな歌声、ディストピア的情景や皮肉なまでの誠実さが表出する詩世界、これらを合わせたほの暗い質感を持つ楽曲たちがyahyelを特徴付ける。 2015年5月には自主制作のEPを発表。同年8月からライブ活動を本格化し、それに伴いメンバーとして、VJに山田健人、ドラマーに大井一彌を加え、現在の5人体制を整えた。映像演出による視覚効果も相まって、楽曲の世界観をより鮮烈に現前させるライブセットが早耳たちの間で話題を呼び、2016年1月には、ロンドンの老舗ROUGH TRADEを含む全5箇所での欧州ツアーを敢行。その後、フジロックフェスティバル〈Rookie A Go Go〉ステージへの出演やMETAFIVEのワンマンライブでオープニングアクトを経て、9月に初のCD作品『Once / The Flare』をリリースすると、発売と同時に売り切れ店舗が続出。11月にはデビュー・アルバム『Flesh and Blood』をリリースし、スペースシャワーTV主催「SPACE SHOWER MUSIC AWARDS」の【BEST GROOVE ARTIST】部門にもノミネートを果たした。

 

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ヤイエル