Last Update 2017.11.22

#4 古市コータロー(THE COLLECTORS)

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Record People TV 第4回目のゲストはTHE COLLECTORSの古市コータローさん。今年メジャーデビュー30周年を迎えたTHE COLLECTORSとしての活動にますます勢いがつく中、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」に出演するなど幅広いフィールドで活躍する古市さん。自ら「池袋びいき」と語る古市さん行きつけのレコード店・ココナッツディスク池袋店で、ご自身とレコードの切っても切れない関係について伺いました。

 

取材/文:小田部仁
写真:スペースシャワーTV

 

 

——レコードに初めて触れたのはいつでしたか?

小学校2年生か3年生だと思うんですけど、フィンガー5のドーナツ盤が初めてですね。当時はどこの家の応接間にも家具みたいなレコードプレイヤーがあったんだけど、うちにはなかったんで。それ聴くために小さいポータブルプレイヤーを買ってもらいました。豪華なステレオセットとかじゃなかったけどフットワークが軽くていいなって思ってました、どこでも聴けるから(笑)。

 

——初めてご自身で買ったレコードは何でしたか?

そのフィンガー5が言ったら、初めて自分で買った……というか獲ったレコードなんですよ。うち母親がパチンコ好きで、よく連れられてパチンコ屋に行って横に座ってお供してたんですよね。あの頃は何事もゆるい時代ですから、僕がちょこちょこ打っても誰も咎めない(笑)。で、まぁ、僕の台が出まくってまして(笑)。タバコのカートンに変えるわけにもいかないから、TVで観て気になってたフィンガー5の「個人授業」に交換したんですよね。次に当たった時は「恋のダイヤル6700」を取りました。目白の「蔵王」というパチンコ屋ですね。未だにミント状態で取ってあるんで今日、持ってきました。

 

——わ、すごい。めちゃくちゃ綺麗ですね。

後は、小学校5年性の頃だったと思うんですけど、ビートルズのベスト盤を買ったのを覚えてますね。「ステレオ!これがビートルズ」っていう来日記念盤。たしかvol.2を高田馬場の「タイム」って中古レコード屋で買ったんです。去年、閉店しちゃいましたね。

 

——中学・高校時代から音楽を始められると思うんですけど、特に心に残っている一枚とかありますか?

中学に入ってから、一気に音楽にのめり込んで行って。毎日レコード屋さんに行ってましたね。店員さんぐらい店内のレコードの配置もわかるようになってて。僕は地元が目白なんですけど、コマースっていうショッピングプラザに目白堂っていうレコード屋さんがありまして。ひと月に1〜2枚は買ってたんじゃないかな。10枚買うと1枚タダでレコードがもらえて。

 

 

——主に、どんなものを聴いていたんですか?

ディープ・パープルとか、レッドツェッペリンとかを聴いてましたね。ずっとギターには興味があったんですけど何聞いたらいいのかよくわかんなくて。で、ある時、ジェフ・ベックっていうギタリストがすごいらしいって噂を友達から聞きまして。でもどれ買ったらいいかわかんないから店員さんに「ジェフ・ベックが欲しいんですけど」って質問したら「歌、ないよ?」って言われて(笑)。大丈夫です、って言って買って帰ってきましたけど、まぁ確かに店員さんの忠告通りでしたね。歌がない音楽には退屈する年頃でした。それまでビートルズ、カーペンターズを聴いてたんだから当然だよね(笑)。

 

——モッズに目覚めたきっかけは?

中学一年生の秋頃にパンクが出てくるんですよね。そこからはずっとパンク一辺倒で。ただとにかく音楽全般が好きだったので、同時期に柳ジョージさんやAORを聴いたりもしていて。その雑食な部分が自分のルーツの一つだと思うんだけどね。極端になっていったのは19歳ぐらいの時ですかね。パンク、ニュー・ウェーヴのブームもひと段落して。モッズに興味が出てきたんですよね。その頃は雑食というよりは「60年代の音楽以外は全部捨てちゃえ」みたいな極端さがあった。2〜3年ぐらいしてから、また何でも聴くようになるんですけど。

 

——お気に入りのレコード屋さんを教えてください。

僕は今はもう、ココ池(ココナッツディスク池袋)さんと八勝堂(書店)さんの2店舗を愛用してまして。そこにないとネットを使っちゃいますね。足も疲れるので(笑)。地元に金を落としたいんだよね。池袋で買うっていうのは僕にとってすごく大きいんですよ。ある時期、ギターも池袋で買わないと弾けないなと思って、わざわざ池袋の楽器屋に入れてもらって買ってました。

 

——それは、何か池袋という土地へのこだわりがあるんでしょうか?

うーん……。例えば「鯖はノルウェー産がいい」ってこだわってる人と一緒で。とにかく池袋に一回来たものがいいんですよ。ギターでもレコードでもアメリカで作っていようが日本で作っていようが一回、池袋に来たらもうOK! レシートが池袋店じゃないと嫌なんです。ココナッツディスクは江古田の店舗も利用するけど「できれば、このレコード、池袋で買いたいから移してくれねぇかな」って思ったりする(笑)

 

——な、なるほど。古市さんと池袋の深い繋がりを感じます。ちょっと小耳に挟んだのですが一時期、レコードを大量に売られたそうですね。

あれは2000年だったんですけど、レコードのプレイヤーが壊れたんですよ。これを機会に世の中も世の中だし、もうデジタル男になろうと思って。それも、ココナッツディスク池袋さんに売ったんだけど(笑)。当時で8万円ぐらいになりましたから、結構売ったね。で、当時売ったレコードを今、同じ店で買い直してる状態ですね……(笑)。もしかしたら、この間ここで買い直したレッド・ツェッペリンの4枚目は俺が売ったやつだったかもしれない(笑)。でも、いいと思うんだ。回り回っていけば。

 

——売ってしまって、後悔しているレコードってありますか?

そういうものは実はその時売らなかったんですよ。今日もそういうレコードを厳選して持ってきていて。まず、これ。SEX PISTOLSの『勝手にしやがれ!!』ね。自分の原点だから。あと、ビートルズの「Hey Jude」。アメリカ盤なんですけど12歳の誕生日に母親に買ってもらったもので。これはちょっとやっぱり売れない(笑)。後は今日は持ってきてないですけど、JAMとかも残しました。

 

 

——先ほどのレコードもそうですけど、盤の状態がとってもいいですね。

僕はね、物持ちがいいし、綺麗に保管するタイプなんですよ。昔はレコードが貴重だったからカセットテープにダビングしたら盤はきちんと保存してたんです(笑)。

 

——ここからはご自身の活動のお話を伺いたいのですが、THE COLLECTORSは今年結成30周年を迎え、初めての武道館公演を開催されましたが振り返ってみて、あの公演はどのようなものでしたか? 現在もツアー中だとは思うのですが。

武道館はビートルズがやっていたり、いろんな憧れが詰まった場所だと思うんですけど。「いつかやるんだろうな」って気持ち半分と「縁がないんだろうな」って気持ちが半分だったので。でも、今ツアーをやりながら思うとあの時は相当気が張ってたんだなって思うね。「武道館をやるぞ」って決めてから2年ぐらい間があったんだけど、その期間の記憶がちょっと薄いね。

 

——そこにめがけて全力投球していくような心持ちで2年間を過ごしていた。

そうだったんでしょうね。THE COLLECTORSにとって大事なポイントだったんだろうね。ただ、自分の中で「これは通過点なんだ」ってことはすごく意識してましたね。そこで「あぁ、お疲れ様でした」ってならないようにしなきゃなって。そのお陰か、今のツアーが気持ち的にもすごくフットワークが軽く感じるんだよね。小学校一年生に戻ったような気持ちになれた気がします。

 

——30年という長きにわたって、ずっとテンションを保ち続けながらやれる秘訣ってご自身ではなんだと考えていますか?

生意気を言わせてもらうと、この仕事に向いてたんだろうね。リタイアしていく人とかライヴの本数が減っていく人っていうのは、別の仕事を選んでもよかったんじゃないかなって正直思う。30年もやってると色々音楽業界の裏側のこともわかるようになってくるし、「あぁ〜疲れた」なって思うこともあるんですけど、朝起きると「また、やっぱりやりたいな」って思うんですよね。それが向いてるってことなんじゃないかな。あと……ライヴやめる人は金があるんだね(笑)。

 

——(笑)。今、お話伺っていて思いましたが小学6年生ぐらいの頃から月にレコードを1〜2枚買うって生活が、今の今までずっと続いているっていうことが本当に古市さんのスタンスを表しているなって思いました。音楽が好きで好きでたまらないんですね。

そう。今、良いことを仰いましたけど、一番自分自身ですごいなって思うのは、この歳になっても初めてレコードを聴いた時と変わらず音楽が好きってことですね。普通、人生のどこかで音楽を聴かなくなっちゃったり、ギターを押入れにしまったりするでしょ? でも、僕は今でもレコード屋に週2回通ってるし、Apple Musicとかも使って新しい音楽を常に探している。全く情熱が衰えるどころか、燃え上がってるんだよね。

 

——古市さんは、ブログでよくクラシックなものやノスタルジックなものに対する憧憬を書かれていて。ご自身でも古着屋をオープンされましたが。そうしたものの魅力ってなんでしょうか?

基本的に懐古主義者なんですね。小学生や中学生の頃に大人になったら「あのバイクに乗りたいな」って思うじゃないですか? でも、大人になるとそれは形を変えて仮面ライダーが乗るようなものになっていたりして。それはカッコ悪いじゃんって思うわけですよ。そしたら、昔、憧れていたものを探してきて乗りたいじゃない? 洋服もレコードも一緒で。自分はすごく洋服が好きで、常に今のものを頭に入れてるけど自分が20代の頃に着ていたような服にも愛着がある。それを今の若い人たちがどうやって着るのかも興味があるし。だから、古着屋を開いたんだけど……準備がほんと大変だったね。忙しくて仕方ない時に「服屋やりたいな」って決めたんだけど、トチ狂ってたんだと思う(笑)。オープンしてみたら、なんだかんだ沢山の人が来てくれてやっぱやってよかったなって思ってますけど。

 

 

——憧れが持続していくタイプなんですね。

ストーン・ローゼズだってそう歌ってるでしょ。憧れられたいし、常に憧れ続けたいんだよね。この間、日比谷野音に行ったんですけど、電車降りたらヘッドホンしてる男の子が駆け寄って来て外して「コータローさん! 今、ちょうど“マネー”聴いてたんですよ!」って言ってきて、思わず頭叩いちゃったもん「よしっ!」って。昔と今じゃ色んなものが変わったけど、変わらないものもあるっていうか。そういう少年は昔もいただろうし、俺もその一人だったんだろうなって。どんなに時代が変わっても、一番核の大事な部分は変わらないんだって、この歳になると本当に思うね。だから、自分もブレちゃいけない。

 

——おっしゃる通りだと思います。最後に、今後のご自身の活動の展望を伺わせてください。

このままのペースでこれから毎年やっていくのってすごく大変なんだろうと思うんだけど……できる限り続けていきたいですよね。THE COLLECTORSは、ずっと続けていかなきゃいけない。古市コータロー個人としても、もちろん活動していきたいし。はっきりあぁしようこうしようっていうのはないんだけどね。やっぱり何かに常に憧れていたいし、音楽を愛していたいし、自分を好きでいたいし、世の中を好きでいたい。そのために自分がどうするかってことなんだろうね。加山雄三さんにいつも言われるんだけど「人間、歳とかそういうのは関係ないから」って。そう思ってればきっと多分、死ぬ直前まで情熱を持ってやり続けることができるんだと思うんですよね。そのエネルギーにするために、いい音楽だったり、いい酒だったり、いい仲間だったり、いいトンカツを食べたりしなきゃいけないわけよ(笑)。だから、やっぱりマズい飯には頭くる(笑)。自分が好きなものをずっと追い続けていけたら、幸せだよね。

 

 

■ノスタルジックを感じる2枚

①  葡萄畑 ‎– がきデカ・恐怖のこまわり君 (1976)

少年チャンピオンがすごく売れていた時代に『がきデカ』って漫画が流行ってまして。僕、割とそういうブームに乗るタイプなんですけど。これは訳がわからないレコードですね。葡萄畑って人たちが歌ってるんですけど、それが誰かもちょっとよくわからない。俺……これ聴いたことないかもしれない(笑)。盤面が綺麗ですからね。

 

②  ザ・ゴールデンカップス ‎– 人生は気まぐれ (1971)

僕、ゴールデンカップスがすごく好きでレコードを集めてるんですけど。シングル盤はだいたい持ってて、あと1枚でコンプリートってところまできてます。これは多分なかなかないと思うよ! 家の中から外に持ち出すのめちゃくちゃ嫌だった(笑)。「ブルース・メッセージ」って盤も持って来たんですけど、これは3rdアルバムで。ものすごく売れたから割と手には入るんですけど、帯がついてるものがなかなかないんですよね。ちょっとお高かったんですけど、思い切って買いました。中に透明なプラスティックの板を入れてより見栄えがするようにしてます(笑)。

 

■ドライブで聴きたい1枚

③  POCO ‎– Ghost Town (1982)

僕は今はあんまり運転しないんですけど、ドライブする時だったらPOCOを聴きたいですね。THE EAGLESなんかよりはもうちょい渋めな感じで。これ非常にいいんですね。車ではアメリカのウェスト・コースト感のある音楽が気分いいですね。”Shoot For The Moon”って曲が最高で。昨日もう、何十回聴き直したかわからないね。ウィスキーをストレートで5杯ぐらい飲んじゃいました。日が暮れたらBoz Scaggsが聴きたいな。昔、若い時に大人の人の車に乗せてもらっている時に“Twilight Highway”という曲が流れたんですね。そのシチュエーションに、私はえらく感激しまして。それ以来、日が暮れたらBoz Scaggsと決まってます(笑)

 

■お酒を飲んでる時に聴きたい3枚

④  Airplay ‎– ROMANTIC (1980)

酔っ払ってくると気分が良くなってくるから、そうなると絶対音楽が欲しい。でも、ブリティッシュ・ロックとか流れちゃうとフレーズが気になって酒がマズくなっちゃうから、よく行く飲み屋とかで気を使ってかけてもらうのはAORとかが多いんです。特にAirplayはよく聴く。結構探したんですけど、なかなかなくて。手に入れたら、その次の日から結構店頭で見るようになって……なんで?っていう。レコードの不思議だよね。

 

⑤  Rickie Lee Jones ‎– Pirates (1981)

自宅でよくお酒飲みながら聴くアルバムですね。家帰って来て、もうちょっと飲みたいなって時にパチャって針を落として聴くと、いいねぇ……。世界で俺しか感じないと思うんですけど、このアルバムには春を感じるんだよね。2月の20日を超えたあたりで聴くと「あぁ、もうすぐ春だな」って思うのよ。何がそう思わせるのかわからないんですけど、一曲目でだんだん盛り上がってくる訳ですけど……桜の蕾も膨らんで来てるなぁみたいな気持ちになるんだよね。まぁ、俺の勝手な妄想なんだけど(笑)。

 

⑥  Leah Kunkel – Leah Kunkel(1979)

これはこの間、ココ池さんで買ったんですけど、ものすごくいいね。ここ一週間ぐらい家で一番聴いてるかな。このアーティストの名前も知らなかったけど、レコードの「感じ」で買いましたね。だいたいレコードってその「感じ」が自分にヒットすると、だいたいハズレないよね。その辺はもう熟練したプロだからね、俺は(笑)。

 

■ジャケットが最高な1枚

⑦  Carl Douglas ‎– Kung Fu Fighting (1974)

当時、カンフーブームでジャケ買いですよね。僕は「アチョー!」とかそういうのを期待して持ち帰ったんですけど、聴いてみたら普通のソウル・ミュージックなんですよ。「フー!」とか「ハー!」とかは入ってるんですけどね。「なんだよ、これ?!」って当時は思った。ズルいのは「ドラゴン・サウンドの本命盤」って書いてあるんだよね、これ(笑)。まぁ、でもジャケットが素晴らしいので(笑)。

 

※リピート放送 11/4(土)25:57~、11/10(金)25:57~

 

■リリース情報

ザ・コレクターズ『虹色サーカス団』(LP)
レコードの日アイテム!!
LABEL : テイチクエンタテインメント
品番 : TEJI-37020
価格(税抜) : 3,500円
http://レコードの日.jp/items/123


ザ・コレクターズ『僕はコレクター』(LP)
レコードの日アイテム!!
LABEL : テイチクエンタテインメント
品番 : TEJI-37019
価格(税抜) : 3,500円
http://レコードの日.jp/items/124

 

■ザ・コレクターズ公式サイト
http://thecollectors.jp/

 

スペースシャワーTV「Record People TV」
毎月第4木曜日 25:25頃〜25:30 リピート放送(レギュラー番組「JxJxTV」内)

http://www.spaceshowertv.com/program/special/record_people_tv.html