Last Update 2017.11.22

Interview

asuka ando、7インチの「あまいひとくち」な魅力を語る!

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1stアルバム『mellowmood』をリリース以降、その活動の場を一気に全国区に広げたasuka ando。彼女が作り出す、まさに“丁度いい”日本語詩と、甘いムードのラヴァーズ・ロック・レゲエ・サウンドで人気を集め、昨年リリースした7インチ3部作とも言える「かなしいほんと」「今夜がトロピカル」「ふゆのおわり」も瞬く間に店頭から消えた。人気イラストレーターを配したジャケットやB面のダブ・ヴァージョンを含めて、そこはかとないこだわりを感じる7インチたちには、やはり7インチというメディアへの“愛”を感じざるを得ない。また〈レコードの日〉にリリースする「あまいひとくち」もまた、そんな7インチ愛の結晶と言える作品に仕上がりそうな予感だ。彼女が作る7インチには、ある時代までのレゲエというカルチャーで呼吸をしてきた人々の共通認識としての7インチ愛、そして単純にモノとしての7インチへの愛情も垣間見れる。ということで、なぜ彼女は7インチにこだわるのか? 今回は「あまいひとくち」に至る、ちょっと見た目重視方面にフォーカスし、asuka andoの7インチ愛を語ってもらいました。

 

取材/文:河村祐介
撮影:豊島望
撮影協力:虎子食堂

 

──昨年は三部作的な7インチ3枚もしっかりと完売、そして今回「レコードの日」に「あまいひとくち」も7インチ・レコードでリリースというところで、asukaさんの7インチ愛みたいなものを聞こうと、そんなインタヴューだったりします。

asuka 7インチは好きです(笑)。この正方形で、この大きさ、自分のなかで「持っておきたい」って思えるサイズ感がやっぱりありますね。自分で7インチを作り出して、さらに好きになったというのはあるかもしれません。

 

──そしてやっぱりレゲエ好きとしては7インチはこだわりありますよね。

asuka そうそう。はじめに自分で作った2012年ヴァージョンの7インチの「jiri jiri」。これは収録時間ギリギリまでいれたくて、そうしたら45回転ではなく、33回転になってしまって。そのときは意識してなかったんだけど、「やっぱり7インチは45回転がいい」ってことに気づいて。2016年には、45回転にして「jiri jiri」の7インチをA面,B面別テイクにして再リリースしました。そのあたりでレゲエの7インチを作るというのは、45回転で、なおかつドーナツ盤を作ることだっていうことが作ってやっと理解した感じです。

 

──ということで、今日は7インチの魅力みたいなところで、いろいろと持ってきてもらって。今回はわりと音楽性はもちろんだけど、存在としての7インチの魅力にフォーカスしてもらって持ってきてもいました。

asuka (ジャネット・ジャクソン、ザ・ファーサイドを取り出して)ヒップホップとかR&Bがもともと好きなので、このあたりは12インチを持っててもついつい7インチを見つけちゃうと買っちゃいます。あとミュージカルもすごく好きなので、ミュージカルの7インチも買ってます。あ、この盤(アイリーン・キャラ「あなたを求めて」)も、「フェーム」というミュージカルの挿入歌の7インチで。どうやらプロモ盤みたいなんだけど、ここのレーベルのところが盤面と同じ素材の樹脂で埋め込み?的になっててちょっとエッジングとかしてあって膨らんでるんです。これは、なんかちょっとかわいいなと思って。

 

──たまにやっているDJだと、普通にレゲエのダンスホールの7インチはかけてるじゃないですか? 今日持ってきてもらったもののなかには、中島みゆきとか松田聖子の7インチもありますよね。

asuka この辺の歌謡曲ものは7インチを見つけて買ってきて聴くんだけど、1回その日に聴いて、それ以降はあんまり聴かないかも(笑)。それも7インチの良さだと思います。

 

 

──1曲を所有するっていう感覚?

asuka そうそう。なんとなく買ってしまう。松田聖子さんの「Sweet Memories」は実はB面なんですよね。むしろ「B面がいい」っていう・・。例えば自分で前に出した「月下美人 / くすりをたくさん」もB面の大貫妙子さんのカヴァーをみんなに気にいってもらえたりして。そういうのも7インチの良さかなって思います。

 

──日々7インチは中古も新譜も買い続けているっていうことでしょうか。

asuka そうなの。あとは坂本慎太郎さんの7インチのシリーズ、これ(メイヤー・ホーソンとのスプリット「In A Phantom Mood / Wine Glass Woman 」)のスリーヴの感じとかは私もやってみたいです。大きな絵を印刷した紙を折り込んでジャケットになっているっていう。もうこれは夢だけど、やっぱりレコードをインサートする形のスリーヴ・ジャケットは夢のひとつですよね。一方で、このG.RINAさん(「Your And My New Watch」)のシングルみたいなシルクスクリーン・パターンもいつかはやってみたいです。このすごく手作りな感じのものも好きだし、手の込んだすごくラグジュアリーなものも、どっちもやってみたいです。あと、こんどの「あまいひとくち」の7インチはカラー・ヴァイナルなんですよ。

 

 

──じょじょに手数増やしてますね(笑)。それでいて、ジャマイカ盤のあの印刷ずれてるやつとか、こうレーベル面、ロゴ一発ぐらいのでデザインで全部レーベルのリリースは統一みたいな7インチも好きなわけですよね。

asuka そうです。昔、ファイヤー通りに〈AQUARIUS RECORDS〉っていうレゲエ・レコードの専門店があって、そこに通って版のずれているような7インチの良さも知ることになったんです(笑)。だって、これなんて、すごい名曲なんだけど(Carlton And The Shoes「Give Me Little More」)。

 

──文字で説明すると、ドーナッツ盤のセンター・ホールがずれてて、そのまだと楕円回転してうまく再生できない盤なんです。だからセンターホールを一度、ダクトテープみたいなやつと厚紙で一度潰して、キチンとしたセンターホールをその厚紙に開けているっていう補正がしてある(笑)。っていうかこれ出荷しちゃいけないものなので、そもそも工業製品でこれができる意味がわからないですよね(笑)。

asuka 本当はなしでしょ? 回収レベルだけどコレでいいっていう、レゲエの7インチの感覚っていうか。

 

 

──逆に東洋化成でできない加工だよね(笑)。

asuka そうそう。版ズレっぽいデザインをあえて入稿するとかしかできないっていう。あとは、このへんのレコードの感じだと〈Penthouse〉がすごく好きで。もちろん音も好きなんですけど。このロゴの感じとか。〈Fat Eye〉とか、この昔ながらのレゲエの感じ。しかもこれも印刷してある名前を上からマジックで消してあって、正しい曲名を書き込んであるやつとかね。これもありな感じがジャマイカ盤。すごいよね、もうね。ジャマイカ盤のこの感じがすごい好きだから、本当はジャマイカ盤を一度作ってみたかったなって思います。

 

 

──といろいろ語ってもらったような7インチ愛が結実しているのが、ここ数年リリースしている自身の7インチですよね。アルバム前後にいわゆるシングル・カットもされてますけど、2016年は3枚の7インチを録り下ろしで作っていて。これは全てイラストレーターさんの書き下ろしジャケットだったり、そのあたりも凝っていて。さらに「あまいひとくち」が今度の〈レコードの日〉でお目見えっていう。まずは3部作の1枚目「かなしいほんと」。これはタイのアーティストさんにジャケットを依頼されてますよね。

asuka プーアンちゃんは、絵とかなんでもやるひとで、このジャケットは刺繍で作ってもらった作品をスキャンしたもので質感もおもしろくなって、これは本当にお気に入りです。もともと彼女は、インスタとかで刺繍を自分で作って発表していたりしていて。その刺繍なんだけど、グロテスクなものもあって……女性の子宮をすっごく綺麗に刺繍で表現していたり、男性と女性の際どい描写とかも刺繍で表現しているんです。3枚作るにあたって、最初に2yangさんとNONCHELEEEさんは絶対にお願いしようと思ってたんだけど、3部作、1作目でこの曲は、なんとなくだけど、そのふたりじゃないなっていうのが漠然とあって。もうちょっとフィットする人がいるなと思って……「そうだプーアンちゃんだ」って思ってお願いしました。

 

──とにかく7インチを出すにあたって、好きなアーティストにジャケットをお願いするっていうイメージがあったっていう。

asukaジャケ買いっていうのをして欲しくって。OLの友だちとかもジャケットを見て「かわいい」って、レコード聴けない人も欲しくなるようなものを作るっていうのがコンセプトです。それでダウンロードコードもつけています。

 

 

──アルバム『mellowmoood』と、その前後の7インチ・シングルのデザインは、COMさんがやってて、以降、この7インチ3部作も内側のレーベルのデザインはCOMさんが手がけててトーン&マナーみたいなものは統一されていますね。

asuka そう、でこの3部作でもレーベルに出てくるんですが、ダブモンスターくんていうキャラクターなんです。ダブモンスターがだんだん季節ごとに海にいったり。COMくんはサンプリングの洒落っ気みたいな感覚がすごい好きな人だから、そういうのを理解してくれて。もう自分の7インチは、盤面のレーベルのところはCOMくんっていうのは決めている感じです。

 

──ダブモンスターの彼女? っていうか「ふゆのおわり」で登場した盤面の女の子キャラの名前は?

asuka これはダブ子さんに決定しました。

 

──COMくんのダブモンスター・シリーズで統一して、いわゆるジャマイカの7インチのレーベル作品の統一感みたいなところを目指していると。

asuka そう、ダブモンスターくんがイメージ・キャラクターで。彼がいればいいっていう。といっても「あまいひとくち」はダブ子さんオンリーなんですけどね。

 

──で、ちょっと話を進めると次がアーリー80Sのダンスホールっぽい「今夜がトロピカル」、ジャケットはNONCHELEEEさん。これは曲調のダンスホールの感じと、イラストがドンズバというか、決め打ちというか。

asuka まさに現代の(ウィルフレッド・)リモニアス(1980年代の多くのダンスホール・レゲエのレコードのジャケットを手がけたイラストレーター)でしょう。これはオーダーするときに、この曲に参加してもらった土生さん(土生TICO剛 / LITTLE TEMPO)とか参加してくれたバンド全員分の顔写真を送ったら、「わかりました」って言って全員帽子の上に乗っけってきて(笑)。はじめびっくりしたんだけど、好きになってきちゃいました。

 

──MVも衝撃的ですよね……お尻に入って、真っ青になるっていう(笑)。で、次は「ふゆのおわり」。

asuka 2yangさんにこれをお願いしたときに「いつくるかと思ってたわ~」っておっしゃてくださって。

 

──てか、このジャケット伝わってない人がいてすごいびっくりした。「女性の横顔だよ」って言ったら、なんかもっとアブストラクトな絵だと思ってる人いて。

asuka いまだにわからない人がいるんです(笑)。そういう人は、みんな時計回りに90度回転させて見るのよね(笑)。2yangさんは絵で影を教えてくれるっていうか、作風として。2yangさんの作品に触れるとものの見方が変わったなっていうのはたしかにすごくあります。本当におしゃれ、シンプルだけど。

 

──7インチでレゲエ好きというところでいうと、このシリーズもB面はヴァージョン、いわゆるダブ・ヴァージョンをそれぞれ入れていて、次に出るシングルももちろんB面にダブを収録。このあたりにもレゲエ7インチ好きっていうのがすごい伝わってきて。ちなみに、それぞれダブ・ミックスをやっているエンジニアが違いますよね。

asuka はじめの「かなしいほんと」はA面のmixもしてくださった森(俊也)さんで、その次の「今夜がトロピカル」は参加してくださっていた外池(満広)さん。「やる!」って言ってやってくださって。「ふゆのおわり」は一連のマスタリングをしてくださっているe-muraさんが施してくださっています。私としてはいろんな人のダブ・ミックスを聴きたいというのがあって。ひとつの楽曲に全員にやってもらいたくらい(笑)。

 

──「あまいひとくち」はIchihashiDubwiseさん。

asuka 市橋さんには結構タイトなスケジュールでお願いしちゃったんだけど、一気に作るというよりも丁寧に作る人という印象でした。

 

 

──で、〈レコードの日〉に出るのこの「あまいひとくち」。今回はNONCHELEEEさんがジャケットに。鈴木潤さんのキーボードがすごい印象的な作品ですよね。

asuka 鈴木潤さんは私が音楽はじめたときからの知り合いというか、ずっと一緒にやっていた方で。あるタイミングで、引っ越してしまったのですが、いつか絶対に関わって欲しいな、と以前からARIくん(7インチ三部作のプロデューサー、ギタリスト)とも話していて、「今回の曲には潤さん節が必要!」となり、お願いしました。 

──これまで3部作の7インチと違うところは、新しいアルバムに向けてのシングルっていう感じなんですよね。いわゆる先行カット的な。

asuka  そうです。「あまいひとくち」は最初からカラー・ヴァイナルにしたくて。今回は自分の好みというか、レコードはやっぱり黒い盤の方がいいっていう人も多いと思うんだけど、最終的にはCDもリリースするのでカラー・ヴァイナルの音質も楽しめるくらいの遊び心もたまにはアリかな、というところがありました。

 

──「あまいひとくち」を7インチのカラー・ヴァイナルにしてみたかったていうのは、やっぱり7インチ愛的な話でしょう。

asuka そう、完全にその通り(ニヤリ)。前の3曲はアルバムの先行としては間が開き過ぎちゃったというところがあって、もう1枚ぐらい出した方がいいかなと。今回はアルバム自体のジャケットもNONCHELEEEさんにお願いしています。私はその作品自体の世界観を示したいと思っていて。そういうなかで、とにかくNONCHELEEEさんの世界観が日を追うごとに私の中ですごくなっていて、今回はお願いしようと思いました。

 

──サウンド的に「あまいひとくち」で目指したところってあるんですか?

asuka ヴィンテージ・サウンド?(笑) いやなんか恥ずかしくて、でも現代のスタジオで録って、プロツールズも使ってるし、最終的にそのままではならないんだけど。でもオープンリール・テープや、リボン・マイクを使って録っていて。2017年なりのヴィンテージ・サウンドができればいいなと思って作りました。

 

──さらに新曲含めたアルバムを制作中と。

asuka そうですね。年明けリリース目指して進めています!

 


asuka ando「あまいひとくちep」(7inch)
「レコードの日」アイテム!!
発売日:2017/11/3
LABEL : Gardenia Garden
品番 : GDG-007
価格(税抜) : 1,500円
http://レコードの日.jp/items/201

 

asuka ando
メロウなムードまといつつ、レコード盤をこよなく愛するシンガー。2011年自主制作mini album「dream of you」でデビュー。その中に収録された「jiri jiri」の7インチシングルがJazzy Sportよりリリースされ、界隈で話題となる。2015年エマーソン北村をゲストプレイヤーに迎えた7インチシングル「ゆめで逢いましょう-see you in my dreams-」を含む ©メロウすぎるにもほどがあるファースト・フル・アルバム『mellowmoood』発売。それが引き金となり「井の頭レンジャーズ」、「思い出野郎Aチーム」、「EVISBEATS」との制作・7インチリリースを重ね、2016年は7インチシングル3枚を自主レーベルより発売。この度2017年11月3日レコードの日にはアルバム先行として7インチシングル「あまいひとくちep」をリリース。セカンド・フル・アルバムは2018年発売予定。
www.mellowmoood.com

 

 

虎子食堂
住所東京都 渋谷区宇田川町10-1 パークビル2F
電話番号 03-6416-1197
営業時間 日〜木 18:00 ~ 04:00(ラストオーダー 23:30) 金・土・祝日 18:00 ~ 04:00(ラストオーダー 03:00) 
定休日 なし
http://toranoko-shokudo.com/

 

 

asuka ando
レコードの日
2017