レコードコレクター御用達になること必至!スマートフォンアプリ「REVINYL(リバイナル)」に迫る〜株式会社ケイ・オプティコム 山下慶太氏 インタビュー〜
株式会社ケイ・オプティコムが2017年10月2日(月)よりアナログレコードのマーケットプレイスを活性化させるプラットフォームサービス「REVINYL(リバイナル)」(https://www.revinyl.jp/)の提供を開始した。「REVINYL」サービスの一つであるスマートフォンアプリでは、レコードの情報検索機能、自分の所有するレコードのライブラリを作り、それを他のユーザーとシェアする機能などを搭載しており、後にアプリ内で売買ができる機能の追加も予定されている。一見、アナログレコードとなんの繋がりもないように思える企業が画期的なサービスの開発に乗り出した背景や、具体的な内容を探るべく、「REVINYL」の制作担当者である事業開発推進室の山下慶太氏に、アプリの制作秘話や機能、今後の展望などについて話を伺った。
取材/文:相澤宏子
撮影:福士順平
ーーアナログレコードのマーケットプレイスを活性化させるスマートフォンアプリ「REVINYL」が10/2(月)にリリースされましたが、構想はいつ頃からあったのでしょうか?
アナログレコードの市場に着目し、取り組みを始めたのは去年の12月ごろですね。
ーーそれは山下さんが個人で何かやりたいなと思った、ということですか?
そうですね。最初に部署内で話した時も、「個人の趣味じゃないの?」と言われたのですが、そこから色々理由を見つけていって…。
ーーどのように企画を通したんですか?
方向性を変えて、アナログレコードをビジネスにしたいなと。当初は個人間での購買だけのものを考えていたんですが、弊社の新規の事業部で、「技術的に優れているものを検証する」、「新しい発想を取り入れて今までになかった機能を取り入れてお客様に提供する」、といったキーワードがありまして。「画像認識で物の値段がわかったら面白いのでは?」というのをキーワードにしようと。レコードは、画像がしっかりしているものが多く、かつ値段がわかりにくいものが多いので、題材として面白いのではないか、という風に提案しました。
ーー具体的な制作に入ったのはいつ頃でしょうか?
画像認識でレコードを認識できるのか、何のレコードなのかを正しく認識できるのか、というところで、データベースを簡単に作り始めたのが今年の1月ですね。アプリの原型が出来始めたのが、2017年3月のSXSW(米国・テキサス)への出展の時期あたりです。
ーーSXSWの出展ではどんなことをしたのですか?
レコードの写真を撮って、そのレコードの情報と値段が出てくる、という簡易的なアプリを出しました。
ーーその時の反応はどうでしたか?
Awsome!と(笑) discogsを使っているユーザーさんから、もっとこういう機能あったほうが良いよ、等の意見がいただけたのは有意義だったかなと思います。
ーーその時すでにアプリ名は決まっていたんでしょうか?
はい。事務局でいくつか出して、最終候補は2つでしたね。黒円盤価格表示、とかもありました(笑)
ーーそれはそれで面白いネーミングですけれど(笑) アプリ名にはリターン、リサイクル、リヴァイヴァル、と言った意味が込められてますよね?
事業計画書を作成する時に、アナログレコードの市場が戻ってきた、少しずつ伸びている、という現状に即して、リヴァイヴァル =「復活」とヴァイナル掛けたらかっこいいんじゃないか?と考え名前を確定させました。
ーーアプリの制作過程で一番苦労したことは何でしょうか?
レコードが好きな開発者ばかりではないのでレコードに関する説明をしたり、オフショア開発だったので、細部のやり取りが大変でしたね。
ーー機能の全体構成は、山下さんが一人で考えたのでしょうか?
大枠はそうです。細部の機能はアジャイルで作っていく中で、開発担当者やデザイナー、職場メンバーの意見を反映させました。
ーーDL数等、数字目標はありますか?
年度で言うと、アクティブユーザー10,000人ですね。日本だけだと難しい数字だと思います。
ーーレコードコレクターは世界中にいると思いますが、多言語化の予定はあるのでしょうか?
海外の方にも使っていただきたいということで、現在のアプリの文字表示も簡単な英語だけで構成しています。ただ、本格的に海外展開となった時には改めて対応を考える必要があります。
ーーアプリのデザインは、どんなことを意識されましたか?
最初はレコードっていうことで、白黒を基調としたデザインにしようとしていたのですが、女性からの評価が不評でして。女性の目線は大事にしたいというのがあったので、もっと明るい色を使っていこうと。
ーーロゴはどんな意味が込められていますか?
無限大、ループ、そういった意味を持っています。レコードは無くなっていくものではなく、時代を超えてループしているものですよ、と。
サイクル、リサイクル、と言う意味も込めています。
ーーなるほど。それでは、アプリの具体的な中身、機能についてお伺いしていきたいと思います。アプリ自体は、レコード初心者、レコード愛好家の両方に向けられたものでしょうか?
ヘヴィーコレクター向け要素が強いかなとは思います。ただ、アプリは簡単にDLして使えるものなので、アプリを通してヘヴィーコレクターと繋がることができるという点において、ビギナーに優しいアプリと捉えていただけるかなと。
ーー情報検索機能等は、便利そうですね。
自分の知っているアーティストのレコードって案外高いんだなとか、今までレコードに興味はなかったけれど、家に眠ってるレコード売ってみようかなとか、市場にレコードが出るきっかけづくりに意味があると思っています。
ーーアプリのプロモーションはどのように行っていく予定ですか?
基本はレコードショップさんやDJ、アーティストの方々にご協力を仰いでいこうと。レコードを買った方へのアプローチ、店頭でのプロモーション協力、レコード関連のイベントに出向いて何か企画を一緒にやっていくとか、そういった形が考えられると思います。webマガジン(https://www.revinyl.jp/donutsmag/)も自社で展開しているので、そこからDJやアーティストの方々にライティングしていただいたものを自身のSNSで拡散していただいて、レコードに興味ない人にもアプローチできたらなと。HMVさんには既にご協力いただいてるのですが、会社が大阪なので、大阪のレコードショップなどは自分で回ってみようかなと。
ーー山下さんが一番推したい機能について教えてください。
ユーザーさんのレコードライブラリのインターフェースをそのまま共有できる、シェアの機能ですね。シェアから始まる購買の行動というのは、今のCtoCのサービスの概念であまりないと思うんです。人のレコード棚を覗き見して、良いものがあったらピックアップしていくという、友人の家でレコードを物色する関係性みたいなものがアプリ内で実現できると、購買が進むのではないかと思っています。
ーー今のCtoCサービスだと、単に商品が並んでいるところからピックアップしていくタイプのものが多いですよね。
そうですね。検索ワードで引っ掛けて探してくるというマーケットが大半かと思います。「REVINYL」は、人づてで探していく形式なんですよね。自分と趣味が合う人が自分の知らないレコードを持っていたら気になるじゃないですか。「これってどんなレコードなんだろう?」と。そういう時に、「ちょっと問い合わせてみようかな?」と思わせるようなチャットの機能があったりとか。コミュニケーションとシェアの機能は、アプリの要素としては面白いんじゃないかなと思っています。
ーーアプリ内でコミュニケーションできるのは便利ですね。ユーザー同士がどんどん会話して、購買が盛んになれば良いですね。
大学時代に、レコードショップで働いてる先輩がいて。その人の家に行くとやっぱりレコードがものすごくたくさんあるんですよ。僕らの持ってないレコードとか、クラブでかかっていて欲しいなと思ってたレコードとかがあるので、交渉するんです。1枚だけ買うとなると、やっぱり値段が高く設定されるんですよ。そこで、高いなあと思ってると、ちょっと欲しいと思っていた500円ぐらいの盤を持って来て、「3枚セットで同じ値段でどうですか?」とか、「これ買われたんですね〜。じゃあこれ要らないんじゃないですか?」っていう会話がなされたりして。そういうのが多かったですね。結果的に、良いレコードを持ってる人は、自分の知らない良いレコードをたくさん知ってるし、持ってるんじゃないかっていうのがありますね。
ーーそれってレコードならではの感覚ですよね。「REVINYL」は、そういう体験に基づいて作られているんですね。他に、新たに加えたい機能等ありますか?
写真を撮って画像検索、というところで言うと、例えば旅行中に海岸線を黄昏ている時に写真を撮って、その画像に紐づいたオススメのレコードを検索する、なんていう機能があったら面白いなと。風景がジャケ写になってるレコードって多いじゃないですか。
ーーなるほど。それは思いつかなかったです!その時の気分に合わせたレコード検索、みたいな感覚で使えますね。
つまりは、究極のジャケ買いですよね。普通の買い方に飽きた人向けに良いかと。
ーー「REVINYL」の使い方について、だいぶイメージが具体的に持てるようになってきました。では最後に、「REVINYL」のアピールポイント、山下さんご自身の思いをお願いいたします。
レコードに特化したアプリを作ろう!っていう企業さんってあんまりないと思うんですよ。まだニッチな市場だと思います。関西で通信事業をやっている会社がそこに本気で乗り出したのは面白い動きだなと思っています。まだ走り始めたばかりなので、暖かい目で見守って欲しいというのも正直なところですが…。そして、こういうサービスを盛り上げるために、レコードを持っている人は是非使っていただいてご意見頂けたらと。ユーザーさんのご協力が必須なアプリですので、「俺にも開発させろ!」という方からのお問い合わせお待ちしております!《終わり》
インタビューからも分かるように、ご自身が大のアナログレコード好きである山下氏に、お気に入りのレコードを何枚かお持ちいただいたので、ショートコメントと合わせてどうぞ。
■REVINYL 詳細情報
株式会社ケイ・オプティコム(以下ケイ・オプティコム、代表取締役社長:藤野 隆雄/本社:大阪市北区)は、2017年10月2日(月)よりアナログレコードのマーケットプレイスを活性化させるプラットフォームサービス「REVINYL(リバイナル)」の提供を開始。
ケイ・オプティコムでは、ユーザーがアナログレコードとつながり、加えて、ユーザー同士がつながることにより、地域、世代を超えてアナログレコードに気軽に触れることができる機会を提供していく。また、音楽業界の各事業者との連携を通して、多くの方に関心をもってもらえるような、アナログレコードとの出会いの機会を提供。
今回は、アナログレコードとの“つながり”に関連するサービス機能を先行して提供することで、多くの“つながり”を創り出し、将来的に売買機能を追加することで、より多くのユーザー、事業者にご利用いただけるプラットフォームサービスの展開を目指していくとのこと。
サービス提供は、サービスサイト、スマートフォンアプリケーションの2本柱となる。詳細は下記オフィシャルサイトより。
○REVINYLオフィシャルサイト
https://www.revinyl.jp/