ザ・クロマニヨンズ インタビュー
――それはCDのスペースではできないですもんね。
甲本 ちょっと難しいね。ハイロウズは自分たちのことなのに、<誰か奴らを止めてくれ>とかね(笑)。やっぱりデカいからこそ、ジャケットにいろんな情報を入れられるっていうのもあるし。
真島 うん。
甲本 音とは関係ないけど、そういう楽しみもある。
――それもひとつの文化でしたからね。
真島 そうそう。
甲本 とくに、日本でロックンロールを楽しんできた人たちにとって、帯の煽り文句って大事なんですよ。
――帯とかも絶対に捨てなかったですよね。
甲本 捨てなかった。
――180グラムの重量は、最初からのこだわりだったんですか?
甲本 ううん。もともと昔のレコードは重いんだよ。微妙なかすかな振動を増幅させるわけだから、ペラペラのものよりどっしりしたものの方がいいと思う。
真島 最初は俺たちも200グラムで作ってたかな。たしか200が最大重量だったんだよ。今は180が最大だけど。
甲本 今は200グラムでつくる工場のラインがないんだよね。
真島 とにかく重いのがいい。一番重くしようって言ってね(笑)。
甲本 スタビライザー(乗り物などに取り付ける揺れを押さえる装置)みたいになってくよ(笑)。ヤワなプレーヤーだと回らないくらいのね(笑)。
真島 でも実際、重い方が音が安定するんじゃないかな? 盤が重い方が。そんな気がするけど。
甲本 気がする! なんかかわいそうだったのは70年代のパンクのバンド。
真島 ああ! ペラッペラだもんね、レコード。クラッシュのファーストとかも。
甲本 ポヨンポヨンって、下敷きみたいだよ。だんだんあの頃から(レコードが)軽く見られてきて、CDに入れ替わっていくんだよ。
――ニューアルバム『JUNGLE 9』ももちろんアナログリリースがありますが。
前回のステレオ録音からモノラル録音に戻ったのは何か理由がありますか?
甲本・真島 ない。
甲本 今回ほどこだわってないこともないくらい、ない。
真島 なんとなくだね。
甲本 すごくない? 全然こだわってなくてなんとなくモノラルになるなんて。そういうのがいいんだよ。
真島 自分たちが聴いてカッコよければ何でもいいんだ。
――初めてアルバム名に数字も入りましたね。9枚目の9。いろいろ想像が膨らみます。
甲本 数字を使うとしたら9(ナイン)か11(イレブン)しかないなと思ってたんだよ。
――イレブン?
甲本 (アニメの)『赤き血のイレブン』とか。ナインだと野球チームみたいだし。
――今回のジャケットも面白いですね。
甲本 儀式で使うようなお面を菅谷くん(菅谷晋一)がつくってきてくれて、それを写真に撮った。ちゃんと目の位置もあってるんだよ。
真島 被れるんだよね。
甲本 かなり重たいけど。
――LPサイズだとまた迫力があってすごくいいジャケットですね。
真島 ぜひレコードで。
甲本 カラーコピーしたらお面にできるね。
――改めて、めちゃめちゃカッコいいアルバムです。
甲本 ありがとうございます。
――<つまらない生活なんて 笑い飛ばしちゃえよ>と歌われる1曲目の「生活」から、ラストの「今夜ロックンロールに殺されたい」まで全12曲。もう、ロックンロール聴いていれば間違いないなと思いました。
甲本・真島 ははははは(笑)。
甲本 そりゃありがてえ(笑)。
真島 今の、ものすごくバカっぽくて良かった。最高だよ(笑)。
甲本 望むところだ!(笑)。
取材・文/秋元美乃、森内淳
撮影/岩佐篤樹