Last Update 2017.6.26

Interview

cero 12インチ・シングル「街の報せ」インタビュー & 聴いてみたいアナログ作品2選企画

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12インチ・シングル「街の報せ」をリリースするcero。前半のインタビューでは、これまでのアナログ・リリースについて振り返りつつ、『Obscure Ride』以降の流れの完結、そして次への進むためのステップでもありながらcero最高傑作とも言わしめる今回の作品について話を訊いた。後半の「ceroメンバーによる聴いてみたいアナログ作品2選」では、メンバーそれぞれが、「まだ聴いたことがないけれど、是非聴いてみたい!と思う作品」をテーマにハイファイ・レコード・ストア(https://www.hi-fi.gr.jp/)にてセレクトしたレコードを紹介する。

 

取材/文:松永良平
撮影:福士順平
取材協力:Hi-Fi Record Store(ハイファイ・レコード・ストア)

 

──振り返ってみたら、ceroはカクバリズムからのデビューが10インチ・シングル(「21世紀の日照りの都に雨が降る」2010年)だったんですよね。

髙城晶平(Vo, Flute, G) CDもまだ出してないのにいきなりレコードだったんですよね。当時は今ほどレコードのブームじゃなかったんで、「売れるのかな?」と思った感じはありました。でも、社長(カクバリズム角張渉)は「レコードを出すことで、まずコアな人たちに聴いてもらって、そういう人がDJでかけたり、口伝てで広がっていくのがうちのやり方だから」って説明されましたね。

 

──この10インチに収録されている「ディア・ハンター」という曲には、あらかじめレコードっぽいプチプチいうノイズが入ったミックスになってましたよね。

荒内佑(key) 「Summer Soul」(『Obscure Ride』2015年)もプチプチいってますよ。

橋本翼(G, Cho) 「あののか」(『WORLD RECORD』2011年)もそう。

荒内 音数が少ない曲の場合、高域にああいうプチプチを入れると聴いたときの満足感が上がるというか、薄化粧をかけるような感じがあって好きなんですよね。

 

──でも、ただの高い音のノイズじゃなくて、レコードのプチプチ音がいい、という感覚があったんでしょうね。

荒内 そうなんでしょうね。

 

──自分たちの作品がレコードになるということで、これまでに一番満足感を感じたリリースはどれですか?

髙城 『WORLD RECORD』や『My Lost City』(2012年)がアナログで出るときに、本(秀康)さんや、初代のドラマーだったヤナ(柳智之)が描いてくれたジャケットの絵が、このサイズで見られるというのは、すごくうれしかったですね。

 

──シングルの「Yellow Magus」や「Orphans」もファンに人気の高い曲ですけど、このあたりはアナログにはなってないですよね。

髙城 あのへんのジャケットも普通にレコードの大きさで見てみたいですけど、わざわざ再度アナログ・リリースするにはタイミングを逃したかなという感じですね。僕らの気持ちも、次の『Obscure Ride』を作ることに向かってたから。

 

 

──そういう意味でいうと、今回の「街の報せ」は、今がアナログで出すべきタイミングだったという気がします。

髙城 そうですね。僕は個人的には、「街の報せ」の12インチはceroの中では最高傑作だと思います。

橋本 (ceroの)アナログの中で?

髙城 いや、ceroとしての全リリースの中でも、仕上がりとして最高傑作。針を落として聴いたときの衝撃がすごいし、音としての満足感もある。

荒内 僕もそう思います。「よきせぬ」とかすごい音。

髙城 やばいよね。生々しさがはんぱない。

荒内 奥田(泰次)さんにやってもらったミックスは、『Obscure Ride』で鳴らしたかった理想の音でもあったし。

髙城 さらにいうとマスタリングは、トム・コインが亡くなる直前に手がけた仕事のひとつになったわけだし。そういう意味でも思い出深い感じです。

橋本 ジャケも、今回は僕らとはまったくゆかりのなかった写真家の滝本淳助さんに声をかけて作品をお借りできて、「この大きさで欲しい!」というものになったよね。

髙城 テーマとして、今まで関わりがなかった人たちと仕事して外と出会っていくというトライはあったかもしれない。それがこうして目に見える円盤になったというのは、結構意義深いですね。

 

──そういうトライも、「なんでもかんでも目新しい人とやりたい」みたいな感じじゃなく、ちゃんと今まで一緒に仕事してきた仲間たちとの積み重ねがあった上でのことだから、納得感がありますよね。今回ボーナス・トラックとして、トランペッターの黒田卓也さんが演奏も含めてリアレンジした「街の報せ(Rework)」も、一昨年ライヴで共演してからの黒田さんとの交流が一周して結実した感じがあります。

髙城 トラックメイカーの人にリミックスしてもらうっていうのは、よくある流れだけど、今回は、黒田さんに「“街の報せ”っていうイメージだけで作ってもらって、フレーズとか使わなくてもかまわない」くらいの依頼をして。その結果、これがあがってきたんです。すごく進歩的な付き合いができた気がします。

荒内 ジャズがポップスを題材にするのは昔はよくあるけど、すくなくとも最近、僕らの界隈で自分たちの曲を向こうに投げてみるということはなかったから、このアイデアを思いついたときは自分でもうれしかったですね。

 

 

──今、ライヴでも新曲がどんどんできてきてて、ceroとして次に向かう気持ちになってきてるタイミングで、『Obscure Ride』以降の流れをいったん完結させたリリースになったわけですね。次に進むためのステッピング・ストーンでもあり、現時点でのceroの最高傑作でもあるという。

髙城 そう思います。そして、おそらくだけど、「街の報せ」の12インチに収録された曲って次のアルバムに入らないと思うんです。

荒内 そうだね。

髙城 だから、この12インチは、僕らが『WORLD RECORD』のあとに出した7インチ・シングル「武蔵野クルーズエキゾチカ」(2011年)みたいな位置づけになるのかな。どこにも属さなかったから、ここしか出すタイミングがないという時期に出て、それだけでひとつの作品として完結してるという。

 

──「武蔵野クルーズエキゾチカ」は、B面の「good life」もそうだけど、すごく愛おしい感じのあるリリースでしたね。「この日々にはもう帰れない」という惜別的な感覚が両方の曲に宿っていたし、それがまた7インチというメディアのアナログ感にばっちり合ってた。

髙城 ヤナとの最後の録音もこのシングルだったし。「今しか出せない」というタイミングだったという意味では、「武蔵野クルーズエキゾチカ」と「街の報せ」は似てますね。

 

──橋本くんは、今回の「街の報せ」リリースについては、どう思いました? 橋本くんの曲「よきせぬ」がすごい音だったって話が出てますけど。

橋本 聴いてないんですよね……。

髙城荒内 えっ!

橋本 今日、いろいろレコードを買ったんで、これから聴きます。僕はレコードって半年に一回くらいでまとめて聴くんですよ。

髙城 半年に一回て!(笑)

橋本 レコード・プレーヤーはいつもはしまってるから、それを出してつなげるのは結構大きい作業で(笑)

 

──でも、この記事を読むレコード初心者の人は、「あ、そんなスタンスでもいいんだ」って思うかも。

髙城 そんなミュージシャンもいるんだ、って安心するかも(笑)。まあ、非日常として楽しむってことか。

橋本 (レコードを聴くのは)イベントだね。記念日みたいになりますよ。

髙城荒内 なんじゃそりゃ!(爆笑)《インタビュー終わり/次ページよりアナログ2選企画》

 

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