Last Update 2017.10.17

Interview

Record Store Day開催記念 レコードショップ担当者&松田chabe岳二 スペシャル座談会

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ーー年を経るごとにお客さんが変わっていく感じはありますか?

DU池部 少なからず若い人が増えたっていうのはあるんですけど、日本でしか買えないものは、海外流通するわけじゃないので、海外からのお客様も相対的に増えてる印象はありますね。メインの客層は、店舗にもよりますけど、特に新宿とかは年配の方が多いですね。

ココナッツ矢島 2014年の時点では、だいぶ若い人が多かったですね。その流れで、もともとうちでCD売ってたバンドが限定のアナログ出す、みたいな感じでしたね。

 


2014年ココナッツディスク吉祥寺店 お店の外まで行列が
ー僕とやけのはらのリリースは、RSDがないと始まってないー

ーーchabeさんは、アーティストとしてなぜ参加しようと思った?

chabe レコードが単純に好きなのと、7インチのDJブームが来るちょっと前だったんだけど、なんとなく7インチ化したいなと思ったのが2011年ぐらいだった。DJでかける時に、知ってる曲を7インチで買い直すというのがマイブームであって、自分の曲が7インチであったらいいなと思って。7インチは基本的にストアデイに関してはDJに向けて出してるので、これはオルガンバーの人とかがかけてくれたら嬉しいなとか、これはロンドンナイト系のDJに地方でかけてほしいなとか。DJとして出してる、っていう感じ。バンドなんだけど、これならDJとしてかけられるな、っていうものじゃないと売れる気がしないんで。出しても売れ残るの嫌じゃないですか。これなら300人ぐらいいけるんじゃないかな?とかをイメージして。

 

ーー年中ライブ活動をやって行く中で、RSDで曲を発表したりして、良かったと思うことはありますか?

chabe 楽しいお祭りとして捉えていたので、ミュージシャンとしてそこに乗っかるのは楽しかったですね。

 

ーー本業のバンド稼業にフィードバックもってこよう、とまでは考えてない?

chabe 春のRSDと秋のレコードの日とかに7インチ出して業界が流通していく雰囲気なら、それに合わせて今年秋なんか出そうかな?とかそういうイメージにはなりますね。もはや、これだけいろんな人が出し始めたら、影に隠れていく人もいるので、全然関係ない時に出しても良いんだけど。JET SETからやりませんか?と話をいただいて、やけのはら君とたまたま酒飲んでる時に、何かやってみる?って話になって。2年に1枚やけのはらとやってみよう!みたいな感じで。それが僕にとってはフレッシュで。レコード二人共好きだし。僕とやけのはらとかあんまり繋がらないじゃないですか、パブリックイメージとして。それをJET SETが作ってくれるんだったら面白いかもね、とか飲んでる延長で話していて。僕とやけのはらのリリースは、RSDがないと始まってないんですよ。永井博さんとかも、RSDの雰囲気からあらためて再評価が起こってる感じするし。ポスターがずっとそうだしね。

ココナッツ矢島 2014年からですよね。やっぱり14年てすごかったんですね。

chabe そのぶん反対意見とかも絶対出てきはじめますよね。なんか、2014年はわちゃわちゃしたなあと覚えていて。

JET SET中村 確かにイベントの運営でゴタゴタとなったの、この年でした。

chabe 予約取る問題とか、通販の問題とか。

JET SET中村 それ以前、イベントとして大きくならないうちは問題にすらならなかったわけですけど。

chabe ラーナーズの1stアルバムをLPで去年出したんだけど、RSDで友達の店とかで出すとしんどくなるイメージだったんで、ガイドラインに沿っていくと。となると、得するのは大型店舗になって、友達の店とかはあんまり良くないんじゃないかなと思ったので、RSDの3日前に出しました。その方が僕にとって、独立資本のお店のためになるなと思って。RSDには、やけのはらと一緒に作ったやつを出して。今年は、ハナレグミとかが参加して昔作ったLPをRSDで出そうと思ってて。今年はディスクユニオンからのリリースなんですけど。僕はアイテムによって、乗る乗らないを選べています。

 

ーレコード買う人は、どういう風に買って聴くのかをイメージできてないと意味がないー

ーー今年のRSDはどんな様子を予想していますか?

JET SET中村 たくさんレコードを企画して作っている僕の仕事の目線からいうと、実はすでにRecord Store Dayのリリースを避けた方がいいですよ、とアドバイスするケースも出てきています。これだけいろいろなタイトルが一斉にリリースされると、埋もれてしまうタイトルも出てきていて。もちろん人気のあるアーティストであれば、全国のレコード店が取り扱いやすいタイミングでメリットもあると思うのですが、逆に新人アーティストの場合だと、普段以上にお店からの仕入れの優先度が下がってしまいます。個人経営の小さなお店からすると、一度に沢山のタイトルがリリースされても、そんなに仕入れられる体力もないわけですし。

chabe 作る側として、7インチ出しゃいいってもんじゃないと思ってて。7インチなり、ヴァイナル化することに意味がないと、メディアと音楽とが噛み合ってないと意味がないなと。レコード買う人は、どういう風に買って聴くのかってのをイメージできてないと意味がないかなと。だったらカセットでもCDでも良いわけで。

JET SET中村 RSDのリリースに関しては「Record Store Dayって盛り上がっているみたいだから作ってみよう」というノリでやっていると、そもそもアナログ盤のニーズがないものを出して、事故ってしまっている企画も多いんですよね。もちろん国内アーティストのアナログ盤リリース自体が壊滅的になくなっていた頃と比較したら、贅沢な悩みではあるけれども、それでもRecord Store Dayのタイトルが売れ残ってしまって、盛り下がっているみたいな感じに見えてしまうと、面白くないのかなと…。

DU池部 自分は洋楽担当なので、洋楽でいうと、ポール・マッカートニー、これはRSDと言いつつカセットなんですけど、まあ注目は集まってるかと思います。日本人のものだと、個人的にはH Jungle with tが欲しいなと単純に思ってますし。リリースのタイミングとして『WOW WAR TONIGHT』を出して、それがあってからの『GOING GOING HOME』に行くっていうやり方はうまいかなと。

 


神妙な面持ちのDU池部さん

JET SET中村 H Jungle with tはJETSETの企画です。その流れは気を配っています。まず『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』を確実に完売させて売り切って、『GOING GOING HOME』は「ちゃんと当日にお店に行かないと買えないぞ~!」っていう雰囲気にしないと、Record Store Dayの目玉アイテムとして盛り上がらないわけですよ。即完売した『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』よりもプレス枚数は絞っているので、おそらくどこのお店でも1週間後のWEB販売解禁を待たずに完売するはずです。

ココナッツ矢島 うちは、一般的なお店とはちょっと違うというか、RSDにうちとずっと付き合いのあるバンドがアナログを出していれば、それが一番メインになるしっていう感じで。全くうちと繋がりのない人のアナログとかは、多分売れるだろうなっていうのも取らなかったり。うちで売る意味がないので。去年だと多くのお店ではスマッシュヒットしたMETAFVIVEのLPもうちは取らなかったし。2013年とか2014年の頃は、RSDとかのきっかけがないとアナログを作らなかった感じだったので、それでアナログが実際に出ると「出た嬉しい!」みたいな。ずっとCDで取り扱ってきた作品がアナログ化される、それが当時はRSDぐらいしかなかったので。あまり「売れそう」とかは考えてないというか、考えられない。アジカンのLPとかいきなりココナッツで売ってもね…。今年だったら、うちは台風クラブをずっと推してるので、それが7インチで出るので、一番メインかなあと。逆にそういうのがないと、うちはRSDで置くものがなくなっちゃうんで。スカートも、RSDの数日前に出すんですよ。「なんで、RSDに出さないんだよって、置かせてよ」って(笑) そこにはカクバリさんの想いがあるみたいで。

chabe 例えば、今のRSDのレギュレーションでは1週間ぐらい通販できないのでレコード屋の多い都市部の人しか買えないのは、地方の人がかわいそうだなと。ラーナーズは最初から地方にお客さんがいるのを知ってたので、そのクレームがレーベルじゃなくバンドの方に来る。ミュージシャンとしては、お店とは違うので、やっぱりお客さんに届かないのはおかしいなと。1週間の間に、レコード屋さんに行ける人たちだけで完売したいって思うし、でも完売するとラーナーズのアナログ欲しかったのに買えないっていう人が出て来ると、LPに関しては、タイトルによりますけど、出た瞬間から地方の人には通販できるようにしたかったっていうのはありますね。同じ年のやけのはら君とのリリースは趣旨からしてRSDだったんで、自分の中で使い分けて良いかなと。1週間通販禁止問題に関しては、その間にソールドアウトしたいのはミュージシャンとかレーベルの人の気持ちなんですけど、そうすると凄い欲しかった人、友達に頼まないと買えない人、もっというと友達もいなかったらどうすんだろうとか(笑) たまにメールとかでメンションくるんですけど、レコード屋が近くにない人はどうすればいいんですか?とか

ココナッツ矢島 レコード屋しか取り扱えないんでしたっけ?知り合いの古着屋がいきなり発注してて。

chabe レーベルが対応できればそれはすごく面白いよね。Kilikilivillaのタイトルがすごい変なところでいっぱい売られてる。美容室とか。10枚からだったら卸すみたいで、古着屋入ったらKilikilivillaのコーナーがあったりして。そういう方が楽しいかな。

JET SET中村 でも、Record Store Dayの商品でそれやっちゃうと、どうなんでしょうね。そもそもレコードショップのためのイベントで、レコードを出すことが目的のイベントではないわけです。レーベルやアーティスト側も販路を拡げるべきリリースなのか、あえて販路を限定したリリースにするのか、そこは自覚的になってもらった方がいいですよ。

 


企画・制作担当として想いが溢れるJET SET中村さん

 

ーゴールとして、お店に来てもらって買い物してもらえればそれで良いー

ーー今年の目玉アイテムは?

DU池部 洋楽は確実にデヴィット・ボウイとポール・マッカートニーだと思います。日本の商品はある程度オーダー数を集計した上でプレス枚数が決まってると思うんで、きちんと頼んだものが入ってくると思うんですけど。自分がロックの担当なんで、日本の担当の人たちはいいなあと。洋楽はこんだけ売ろうと思ってた商品が全然確保できませんでした、っていうのがずっとザラにあるんで。終わってから入荷する、とかもザラにあります。いつもハラハラしてますね、前日まで。

JET SET中村 自社で企画しているものは全部こだわってつくっていますよ。一般層というか普段はレコード屋さんに来ないお客様まで巻き込みたいと思っているのが、前出のH Jungle with tです。JET SETが懇意にしてきたアーティスト様との関係性で世に出せたのが、カジヒデキさんの7インチ2タイトルだったり、Enjoy Music Clubのブックレット付7インチ、一十三十一のXTALリミックス盤。それとカルトなところでは、坂本慎太郎さんの作品に参加していたオノシュンスケさんによる全編スライのカバー・アルバム『Electro Voice Sings Sly Stone』は、データ・リリースしかされていなかった作品のLP化です。さらにユニークな企画としては、フェイ・ウォンの映画『恋する惑星』の主題歌を7インチにしたり。JET SETは普段からレコードをたくさん企画しているので、Record Store Dayというきっかけがあってこそのリリースにできるように、差別化は考えています。

chabe RSDってアーティストたちも屈託無くカバーして出したりとか、そういうイメージありませんでした?海外のアーティストが、RSDだから好きなアーティストへのリスペクトでB面でカバーして出すとか。NINがすごいちっちゃいレコード屋でインストアライブやったとかレコードを使った遊びみたいなのをミュージシャンがしてるイメージがあって。

DU池部 限定盤が買える日、みたいなことにしちゃうと、それは良くないというかRSDじゃないと思うので。レコード屋としての発信が必要だと思いますね。そもそも、レコード屋で働いている人間が内側から楽しむ日かなと思ってるので。

JET SET中村 ゴールとして、お店に来てもらって買い物してもらえればそれで良いのですよ。お客様に来てもらえる理由は、限定盤が動機でも、インストアイベントが動機でも、そこはなんでもいいわけじゃないですか。

 


2015年JET SET TOKYO インストアイベントの様子

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RECORD STORE DAY
松田chabe岳二
LEARNERS
JET SET TOKYO
ディスクユニオン
ココナッツディスク