Last Update 2017.12.14

Interview

台風クラブ ロングインタビュー

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――台風クラブはシンプルなロックンロール・バンドだって思っている人も多くて、レパートリーもたくさんあるんだろうなって思われてるフシもあると思うんですよ。でも、実際に曲を聴いてみると、細かなところですごく丁寧で洒落た作りをしている。例えば「ついのすみか」のセカンド・コーラスの冒頭がベース・ライン中心になるというようなアレンジの妙味を実感するたびに、おそらくこういう“粋”がロックンロールの本質なんじゃないかって思ったりするんですね。そういう意味では確かにロックンロール・バンドなんだけど。

 

石塚「そうそう。いや、だからね、かつてあんなに憧れて苦しめられたロックンロールという単語、自分から離れて自由になった今、ライヴを見た人、音源聴いた人に“ロックンロール・バンド”って言われることが嬉しくもあり、意外だったりもしますね。でも、自分たちでは言わない。20歳くらいの俺が今の台風クラブを見て、自分たちで“俺たちロックンロール・バンドです”なんて言ってたりしたら「しばいたろか」って言うと思いますよ(笑)。難しいコード使いやがって!って。ああいう偏屈な20歳くらいのヤツにロックンロールって単語だけが先走るのは絶対イヤで。そういうこともあって、僕らは自分たちで“ロックンロール・バンド”だとは絶対に言わない。おこがましくてとんでもないですね。常にコンプレックスとか葛藤ってものがありますから、ロックンロールってものに対しては」

 

――でも、俺たちはロックンロールではない、そこを乗り越えて別の何かをやっています、というような肩肘張ったバンドでもない。

 

石塚「(笑)そうなんですよ。乗り越えたわけでもない。もともとロックンロールの偉いところって繰り返しがあって、ちゃんとAで始まってAに帰ってくる気持ち良さみたいなところにあるわけで、でも、巷に溢れているポップ音楽の多くがそこにのっとったものですよね。僕は今、昔みたいに何かをお手本にしたり、元のリフありき、みたいな作り方をしていないんです。ギターを手にして、コードを鳴らしたりしているうちになんかもやもやっとした感じでできていって、ここおもろい、気持ちいい、みたいなところをカタチにしていく。それをメンバーにその場で弾いて聴かせて…って感じ。そういう意味では、気持ち良さの部分ではロックンロールを借りてるのかもしれない」

山本「でも、確かに石塚の曲はコードがわかりにくい。たぶん誰もわかってないんじゃないかな(笑)」

石塚「うん、俺もわかってない(笑)。気持ちいいからジャ~ンっと鳴らしている、っていうね。理論に裏打ちされてないんですよね。「ずる休み」のAメロのところとか自分でも本当にコードがわからない(笑)」

伊奈「僕はよくわからんコードの曲とか好きなんだけど、石塚の曲はどっから出てきたんかわからん感じが混ざり合っている気持ち良さがあるって感じはしますね」

 

――加えて、石塚くんの書く歌詞はどうにもダメ感があるというか、ダルいというか。ポップな曲調で切れ味もあるのに、歌詞で描かれた心象風景はとてもかったるく倦怠的なものが多い。この落差は割と意図的なのでしょうか。

 

石塚「確かにそうなんですけど、そうしているつもりもないんです。自然にこうなっちゃうというか。普段からだるいというか、前向きじゃないというか、こんな感じなんでね(笑)。少なくとも20代の頃からずっと感じ。ロックンロールに苦しめられた20代。なのに、今、むちゃくちゃ前向きにバンドをやっているのがすごい不思議な感じですね。そろそろすごいハツラツとした歌詞の曲ができるような気もしてるんですけど(笑)」

山本伊奈「(大爆笑)」

石塚「20代の頃にこてんぱんな目に遭ったってことが未だに尾を引いてるってことなんですよ。10代…高校の頃はそうでもなかったんですよ。歌詞にも「あの娘」なんて言葉が出てきたりして、もう完全にロックンロール・マナーにのっとってました。で、20代の怨念を30歳になった今逆襲をしている感じですね」

 

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石塚、山本、伊奈 ナミイタアレの店内にて

 

――でも、こてんぱんな目にあった20代のダメな俺がとても可愛い、という優しさがロマンティシズムとして歌詞に現れていますよね。

 

石塚「そうですね、自分は可愛いですね。でも、なんとか成仏してくれ、とは思っていますよ(笑)。ただ、こういう感じが定着して、台風クラブはこういうことを歌ってるバンド、ってイメージになったら、絶対逆の方向に行くと思います。ライヴでコール&レスポンスをしてみたりね(笑)」

山本「ヴァイオリンを入れてみたり(笑)」

石塚「今んとこはその予定ないですけどね」

 

――この1年ほどの間でライヴも多くやるようになったし、多くの人に注目されるようになったし…で、状況が大きく変化したと思いますが、こうした活動によって20代の成仏が進んだ、浄化されたという実感はありますか?

 

石塚「そうですね……確かに多くの人が聴いてくれるようにはなりましたけど、でもまだその実感はそれほどないですね。みんなもっとライヴの予約をしてくださいって感じです(笑)。実際に、僕らもまだ出してない部分たくさんあって。例えば「台風銀座」みたいな昭和感が出た曲とか、もっとあってもいいのかなとは思ったりもするんです。でも、そこをあまり強く打ち出すとそれはそれでまた抵抗があったり。スカっぽい曲をやってみたくなったり、ランシド聴いていいなと思ったり。全然変わっていく可能性あるんですよね」

 

――進化にあまり極端な重みや意味をもたせたくない。

 

石塚「それはありますね」

 

――そういえばこの前、グリーン・デイの「バスケットケース」の独自日本語カヴァー「遠足」をライヴでやっていましたね。武蔵野タンポポ団もやればグリーン・デイもやる。体系的な辻褄を合わせようとしない、その軽やかさが面白いと思います。

 

石塚「ああいうのもやるし、あと、台風クラブではないけど、タカダスマイルさんとかとサンハウスの「ふるさとのない人達」をやったこともあるし。結局、バンドってこういう感じでいいちゃうかなって思ったりもするんですよ。「バスケット・ケース」なんてラジオでかかってたからよく知ってる、みたいな感じの人多いじゃないですか。それを「いいなあ」って素直に思うのも一つの真実だと思うんですよね。なんか特権的な感じ……例えばデルタ・ブルース御三家、みたいなのあるじゃないですか。そういう絶対的な何かみたいなものにしばられたくはないですね」

 

――例えば、アナログ・レコードへのこだわりみたいなものについてはどうですか? 世代関係なく、それをよしとする人もいれば、懐疑的な人もいますよね。

 

石塚「僕はレコードを割と買う方なんです。中学くらいの頃、ミッシェル・ガン・エレファントやハイロウズがレコードを出して、それを聴くにはレコード・プレーヤーが必要なのか、ってことを知って、大阪の日本橋に行ってプレイヤーを買ってもらったのが最初ですね。とにかくメチャメチャ、クールなアイテムだって思いましたね。その思いは今もあります。京都は中古レコード屋も多いからよく行くんですけど、今度はそんな話ももっとしましょうよ(笑)。ヤマさんも伊奈くんも結構買いますよ、レコード」

 

――今度雷音レコードから出る「ずる休み」は、台風クラブにとって今年夏に出たタカダスマイルとのスプリット・シングル「ついのすみか」に続く2枚目の7インチ・シングルになります。7インチへのこだわりもあるのですか?

 

石塚「いや、7インチだけにこだわりがあるわけではことさらにはないですね。「ついのすみか」は、僕らも馴染みの『えむじか』っていうレンタサイクル屋さんの10周年記念でレコードを出すからって、社長に「新曲でええやん新曲で!」って言われて「じゃあそうします」って、ほんとそういうノリで作ったんですよ。今度出る「ずる休み」も雷音レコードの本(秀康)さんに声をかけられて、じゃあ…って感じでお世話になったんです。本さんは東京でのライヴを見にきてくれていろいろお話をしました。ありがたいですね」<<終わり>>

 

【作品情報】

 

rhion

台風クラブ『ずる休み』(7inch)

sideA:ずる休み sideB:まつりのあと

label:雷音レコード /品番:RHION-13  /価格(税抜):1,000円

 

taifuclub7inch

 

台風クラブ『ついのすみか』 タカダスマイル『かくれんぼ』(スプリット7inchシングル)

税込1,000円+CD付き

 

zuruyasumi03

台風クラブ『ずる休み』(3曲入シングル)

1.処暑

2.ずる休み

3.まつりのあと

 

helgapress

Helga Press Presents『From Here To Another Place』(CD)

まつりのあと収録

label:Helga Press/品番:HPCD001 /価格(税抜):1,500円

 

 

 

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