Record People TV #7 CHAI
※こちらは2017年8月~2018年1月まで、SPACE SHOWER TVにて放送されていた番組「RECORD PEOPLE TV」のインタビューになります。
2018年、Record People TV初にして最終回の今回は新春お年玉企画ということで、CHAIからマナ(Vo./Key)、ユウキ(Ba./Cho.)の二人が登場!
今ノリにノッているNEOかわいい系最強ロックバンド・CHAIの二人にお年玉を渡して
「2018年のCHAIのテーマ」と「N.E.Oかわいいジャケット」をテーマにレコードをディグしてもらいました!
舞台は、HMV RECORD SHOP コピス吉祥寺店! さて、二人は何を選ぶのか乞うご期待!
取材/文:小田部仁
写真:スペースシャワーTV
お年玉1万円を握りしめ、CHAIが「NEOかわいい」レコード・ディグ♡
入店するなり「レコードがいっぱいだ~」とアゲなマナとユウキの二人。テンションが上がって、早速店内をテンション高めに物色。
昨年10月に発売した「N.E.O./sayonara complex」のシングル7インチは即完売(ちなみにOKAMOTO’Sのハマ・オカモトも発売日にダッシュで買いにいったとか)。
次いで1stアルバム『PINK』のアナログ盤も2月7日リリース予定のCHAIですが、彼女たち自身は生まれた時からCDやダウンロードサービスが身近にあった世代。
レコードを聴いたことはあるんでしょうか?
マナ 誕生日プレゼントでもらったレコードプレーヤーはあるんだけど。実はしまいっぱなしで聴けてないんだよね。チャレンジしてみたいとは思ってたんだけど。だから、今日はとっても楽しみ!
ユウキ 東洋化成さんに一回、自分たちのレコードがプレスされてる現場を見に行ったことはあるよ。できたてほやほやのレコード聴いたよ。とっても楽しかった。
でも、普段からレコード聴くことはあんまりしないかなぁ……。CHAIハウス(編集注:CHAIのメンバーは同じ家で共同生活をしながら音楽づくりをしている)で、レコード流れてたら……考えただけで最高だよね!
それなら、これを機会にレコードの魅力にどっぷりハマってもらいましょう
——というわけで、早速二人に番組から「お年玉(現金1万円)」をプレゼント。お年玉の金額内で二人で相談してレコードを探してもらいます。
番組からお願いしたテーマは「2018年のCHAIを表すレコード」と「CHAIが考えるNEOかわいいジャケット」!
「1万円」というレコード・ディガーなら頭を悩ます絶妙な金額設定の中で、二人は何を選ぶんでしょうか?!
「どれにしようかなぁ~。これはガチ勝負だよ! DEVOとかいいかなぁ、でも聴いたことあるからなぁ」と、マイペースに「ニューウェーヴ」の棚をうろうろとするユウキ。
エサ箱を一枚一枚じっくりと探していきます。対してマナは「あ、私、Jelly Fishが欲しい! 本当に欲しいやつを選びたいよね」と、ピンポイントでガンガン盤を探す派。
「それ、もう持ってるじゃん! 車で聴いてるし」と、ユウキから入るツッコミを受け流しながら、店内を素早く動き回りつつ盤を集めていきます。
途中、「探し方がわかんないよねぇ」と悩む二人。マナは早速、店員さんにヘルプ! 「それ、ズルくない?! 私、こんなに真面目に一枚一枚探してるのに!」と嘆きつつ、
ユウキも店員さんからちゃっかりアドバイスをもらっちゃってます。ジャンル別に分かれた箱の中から探す方法のほか、
自分の好きなアーティストから関連アーティストを探す方法などを教えてもらいつつ、さらにディグる二人。
うず高く積まれていくレコードの山に、こちらが若干不安になりつつ夢中な二人の姿は実に楽しそう。
「あ、これNEOかわいくない?」と、ユウキが反応したのは壁にかけてあったデヴィッド・ボウイのオリジナル盤。
余裕の「万」越えにしばらく眺めた後「これは無理だな……」とあっさり諦め、棚の下にあった格安レコードの入ったエサ箱を漁り始めました。
ユウキのお財布事情を省みる現実的なセレクトとは裏腹に制限金額お構い無しにとりあえず「あれが欲しい!」「これが欲しい!」とレコードを集めまくるマナ。
二人の人間性の違いが若干垣間見えました。
「決まった~!」と、熟考の末、悩みに悩み抜いてセレクトした盤をレジに持ってきたマナとユウキ。「レコード買うの初体験だよ~! どうしよう!」と、なぜか恥じらう姿がNEOかわいい(?)。
Record People TVがそんな二人の初めてのお相手になれて、とても光栄です! お会計を済ませ、いざ初めてのレコード視聴タイム!早速、聴いてみましょう。
マナとユウキが選んだ5枚!
レコード視聴、初体験しちゃいます♡
——お二人ともお疲れ様でした! バッチリ5枚選んでいただいたようで。それでは早速、聴いていきましょうか。
マナ・ユウキ わ~!! やった~!!
——まず「2018年のCHAIのテーマ」を表す3枚から紹介していただきましょう。1枚目は、ABBAの『VERY BEST OF ABBA』(1981)ですね。
帯付きの日本盤、なぜABBAを選んだんでしょうか?
ユウキ ヴェリーでベストだよ。絶対いいよね、っていう理由(笑)。
マナ そう、絶対的エース。みんなで車の中で「Dancing Queen」とか聞いて「今日もいい天気だねぇ~」とか言って、一日を始めるの。
ユウキ ABBAはいつ聴いたって、いいよね。『黄金伝説』の曲(「Money, Money, Money」)も入ってるしね。
実は「Dancing Queen」以外の曲はあんまり知らないんだけど「ヴェリーなベストだし、きっといいでしょ」って思って。
マナ ジャケはあんまりカワイくないね。壁には飾らないと思う(笑)。でも、レコードで聴いたら絶対いいよねって思ったの。やっぱりABBAはさ、「永遠のABBA」だよね。
ユウキ そう「永遠のABBA」なの。私たちも「永遠のCHAI」になりたい!
マナ 「永遠の女」でもあるよね。女といえばABBA、母性そのものって感じ。子宮の温かさがあるよね。
ユウキ わかる。あったかいよね。海って感じだよね。
マナ あ、でも、開けてみたら。中の歌詞カード、超カワイイよ!
ユウキ 針落とすのドキドキだねぇ。初体験だよ……(「Dancing Queen」が流れる)。流せた!
マナ・ユウキ 最高だね! You Can Dance~~♪(踊り始める)
——盛り上がってますね(笑)。
2枚目はThe xxの『I See You』です。2017年1月13日にリリースされたアルバムのLP盤ですね。豪華版で色々中には入ってるみたいですよ。
日本でも人気で2018年にもまた来日しますよね。
マナ これはまさに2018年のCHAIって感じ。でも、Thexxにはどうやってもなれないからすごい好きなの。憧れちゃうんだよね。メンバーの人間性とかも凄く好き。
ユウキ なんかさぁ、フジロックでライヴを観たんだけど、もう神様みたいだった。
マナ LOVEの重さが人より違う感じがしたよね。LOVEが無限大。
ユウキ でも、曲にそれが凄くこもってるんだよ。適当なLOVEじゃない。
マナ いろんなLOVEをThe xxは知ってるんだよね。
ユウキ すごい盤を選んじゃったよね。デラックス盤だ。開けてみよう……わぁ~~~!
マナ めっちゃいいね。写真とかCDとか色々入ってるんだね。鏡みたい!
——『I See You』ってタイトルだから、顔が反射するようになってるんですね。凝ってるなぁ。
マナ すごーい! 感動するね!
ユウキ 「I Dare You」が聴きたいな。最後から2曲めだね。この辺に針を落とせばいいのかな。
マナ 33と45って数字なに?
ユウキ レコードの回転数の速さだって!
マナ (曲が流れ始めて)すごーい! 感動するね、めっちゃいい!
ユウキ もっとザラザラすると思ったけど、綺麗な音だね。
——1991年結成のアメリカのオルタナティヴ・ロックバンド、Luscious Jacksonの『Electric Honey』(1999)ですね。この盤を選んだ決め手は?
ユウキ これは今後、取り入れたい系音楽だね。
マナ この人たちの「Naked Eye」っていう曲を新年一発目に聴いて、凄く衝撃を受けて。曲ができたんだよね。こんな女の子たちがいるんだって思って。
ユウキ あ、全員女の子だったんだね。ちょっと暗い感じがいいよね。
マナ 超影響されて、こういう曲作りたいって思ってトライしたんだけど、全然できなくて。でも、最終的に違う形に落ち着いた(笑)。マジで超いい曲だから。
ユウキ この人たちのこと何にも知らないし、この盤には「Naked Eye」も入ってないんだけどね。「電気の蜂蜜」ってタイトルがダサめでイイね(笑)。
マナ (曲を流し始める)あぁ、いいね……。違う曲聴きたいな。
ユウキ 針が折れちゃうよ! あ、でも1曲目いいんじゃない?
マナ カッコいい! バンド感あるね!
——じゃ、ここからテーマが変わって「CHAIが選ぶNEOかわいい盤」ですが、お話伺う前にそもそも「NEOかわいい」ってなんですかっていう定義を伺っておきたいんですけど。
ユウキ そうだね……。ちょっと普通じゃなくて。見たことなくて。でも、可愛さを狙ってない感じだね。
マナ でも、可愛く、面白くなっちゃった感じ!
ユウキ そう! 思わず、笑っちゃうみたいな。絶妙なところなんだ、キュンってしちゃう感じ。
マナ 抱きしめたくなる感じだね。
——なるほど。勉強になりますね。さて、その「NEOかわいい盤」の1枚目はアメリカの女優でシンガーのPolly Bergen『My Heart Sings』(1959)ですね。
このクラシックなジャケットが「NEOカワイイかわいい」ということですが。
ユウキ ジャケだけで選んじゃいました。まず、歌ってる人を知らないです。ジャズのヴォーカルもの?
マナ ジャズは普段聴かないんだけど、その棚にあるのがカワイイかわいいのが多かった!
ユウキ 昔の映画の世界って感じで、カワイイかわいいよね。多幸感に溢れてる……曲はどうなんだろう(曲を流す)。
マナ なんかすごい! 踊れる系だね。え……これジャズ? 民族系じゃない? 全然普段聴かない音楽だ。
マナ 結構、声が太いんだね。これかかってるCHAI HOUSEは洒落てるね(笑)。
——続いても、ジャズ棚からですね。Ella FitzgeraldやAnita O’Dayが参加しているかなり豪華なコンピレーション・アルバムですね。1956年にリリースされた『Here Come The Girls』。
タイトルもCHAIらしいですが、これも「NEOかわいい」んですか? 結構、見た目、シュールですよね。
マナ これ、ジャケに歌ってる人の名前が入ってるの。これ超カワイイよね(笑)。CHAIも名前入れたいな。
ユウキ 『Here Comes The Girls』ってタイトルがいいよね。黄緑って色もNEOカワイイかわいい。
マナ 描かれてる顔の表情もいいと思う。表情が好き。ちょっと不機嫌そうな人もいるし。エラの眉毛と鼻いいね。これはユナだね!
ユウキ 早速かけてみよう! レコードかけるの慣れてきた。……これ、めっちゃいいね。『白雪姫』みたい!
マナ これ、どなたが歌ってるんだろうね……? Jane Powellさん? めっちゃいい!
ユウキ 出会っちゃったねぇ~! こういう出会いはレコードならではだね。
マナ レコードで聴きたい音楽って感じだったね。イメージの通り、ちゃんとガサガサだった。このジャケット真似しようと思いま~す(笑)。
ユウキ わー、楽しかったね! ありがとう!
2月7日に1stアルバム『PINK』のアナログ盤がリリース!
2018年以降のCHAIのモードにも迫りました!
——じゃ、ここからは2018年のCHAIについてお話を伺いたいんですが。新年一発目に早速リリースがあって。昨年10月にリリースされたファースト・アルバム『PINK』のアナログ盤が出ましたね。
ユウキ まず、このサイズ感で出るってことが嬉しいよね。
マナ 7インチは出したことあったけど、LPは初めてだから。
ユウキ レコード自体もピンク色なの。完全にピンクでしかない。圧がすごい。
マナ 飾れるし、すごいカワイイよね。
——なるほど。確かにこのジャケットは大きいサイズで見ると見ごたえがありますよね。実際、このアルバムってものすごくいろんなところで耳にしました。
ライヴ会場とかではもちろんですけど、街の雑貨屋さんとかでも。CHAIの名前がすごく届いって言っているなぁっていう感覚があったんですけど、ご自身たちではいかがですか?
マナ 前よりは届いてる感じがする。
ユウキ ライヴですごく歌ってくれる人が増えて。私たちの音楽が広がってってるんだなって。「ボーイズ・セコ・メン」を男の人が「セッコイ〜!(野太い声で)」って歌ってるのにグッときた。めっちゃ面白いって思ったね。
マナ 歌った後、凹んでたりしてね。俺もセコイかもって思ってるかな(笑)。「N.E.O.」をみんなが待ってる感じも最近、感じるよね。すごい盛り上がってくれるんだよね、一緒に踊ってくれるし。
ユウキ 煽ってるわけじゃないのに、勝手に手が上がる感じとか嬉しいよね。
——反響に手応えを感じているという事ですね。作品としてはご自身たちとしては今振り返ってみていかがですか?
マナ すごくやりきった感のある作品だなって。超いいアルバムだと思うね!
ユウキ めっちゃ考えて作ったからね。私たちも飽きっぽいからすごくよくわかるんだけど、メインの曲だけ聴いてポイってされちゃうアルバムにはしたくなかったんだよね。
全部の曲がメインになるような、それぞれの曲が違うジャンルのキラーチューンにしたかったんだよね。
——確かに。ドンっと肉の塊が次々と出されるような、そんな感じがありますね。餃子なのかもしれないですけど。
マナ 「いきなりステーキ」だぁ~! 大好きなんだよね(笑)。
ユウキ それ、すっごい嬉しいね(笑)。
——「いきなりステーキ」ですか(笑)。じゃあ、次はどんなお店にしたいとか今考えてる事あります?
マナ 次はやっぱりもう……焼肉屋じゃない?
ユウキ いろんな味が楽しめるのがいいよね。
マナ それぞれ違う、いろんないい部位を食べたいね。
——年末から年始にかけてのハマ・オカモトさんのラジオにCHAIの皆さんが出てるのを聴いたんですけど、CHAIの2018年のテーマが「フェス映え」だって聞いてビックリしたんですけど。
マナ 去年の流行語で「インスタ映え」ってあったじゃん。あれのフェス版なの。
絶対、今年いっぱいフェスいっぱい出るから。いっぱいお客さんがいる景色に合うような曲。
ユウキ 広くて、海とか山とか草原とかもっと自由な気持ちで「ワァ~~~」って盛り上がれるような。空とか夕日とか夜とかが似合うような曲。
マナ 気持ちは3万人の前で歌うような感じだよね。広さが似合う曲。
——あぁ、なるほど。いわゆる、一昔前に流行った四つ打ちとか拳上げる系っていう意味でも「フェス映え」って意味じゃなくて、
3万人規模の観客を前にして歌っても恥ずかしくないスケール感の楽曲ってことですね。
マナ いやいやいや(笑)。そういうフェス映えじゃないよ、CHAIなりのフェス映え(笑)!
ユウキ CHAIの音楽やメッセージかわいいを、もっとワールドワイドな音楽にしたいって意味だよね。次のアルバムは、いい曲がいっぱいあるよ!
マナ それこそ、LusciousとかBeckに影響受けた楽曲とかもあって。CHAIをね、抱きしめたくなっちゃうと思う。
ユウキ そうそう、好きすぎてギュってしたくなっちゃうぐらい。
マナ 愛らしいっていうか、より子どもになったし、音楽的になったと思う。すごく伝わる作品だと思うよ!
——次がどんなものが出てくるかわからないだけに、今からすごく楽しみです! 最後に2018年の抱負をお二人に伺って終わりにしたいと思います!
マナ 抱負はね。日本だと、もっといろんな場所でワンマンがしたい。あとは世界中でライヴがしたい! です!
ユウキ 私生活だとCHAIは今、4人で2DKに住んでるから3LDKに住みたいね(笑)。一人一部屋なくていいから、ちょっと広めのリビングが欲しいな。ソファー置けるくらいの。
マナ 独立洗面所も! あと、玄関も広い方がいい! 靴が置けないから!
ユウキ それが、今年の目標だね(笑)。
——ありがとうございます! CHAIハウスでレコード生活も楽しんでくださいね。
マナ・ユウキ ありがとうございました!