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時代に捉われないポップスを追求する“bjons”、7インチシングルリリースを記念してパイドパイパーハウス店長・長門芳郎との記念対談を公開! | Record People Magazine

Last Update 2023.12.27

Interview

時代に捉われないポップスを追求する“bjons”、7インチシングルリリースを記念してパイドパイパーハウス店長・長門芳郎との記念対談を公開!

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5月に1stアルバム『SILLY POPS』をリリースした、ちょっと風変わりなバンド名のbjons(ビョーンズ)。
発売以来、そのポップなメロディとエバーグリーンなサウンドの評判が口コミを中心にじわじわと広がり“早くも2018年にリリースされた最高のデビューアルバムの登場か?”と噂されている彼ら。
さらにこの勢いに乗って、人気曲のひとつ「ハンバーガー」と、PVも公開されている「そろりっそわ」の2曲がパイドパイパーハウス2周年企画として7インチEPでリリース!7/27には兄弟バンドroppenと共に、同店でインストア・イベントも行われる。そのbjonsと、レコードの監修を務めたパイドパイパーハウス店長・長門芳郎氏との座談会の様子をお届けする。

取材・構成:トミサワマイ(TOMAI MUSIC)
写真:大石弘子
取材協力:パイドパイパーハウス

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――そもそものbjonsと長門さんとの出会いのきっかけは?

渡瀬:3年前の夏、パイドパイパーハウスが横浜赤レンガ倉庫で期間限定で復活した時に、橋本と前からやっていたバンドroppenのCDを持って挨拶に行っていろいろお話をして、気に入ってもらえて扱ってもらえるようになったんですけど。それでroppenを気にかけてもらえるようになって。

長門:聴いてみて気に入って。店で結構かけてたんですよ。でも全然売れなかったね。

渡瀬:売れなかったですね~(笑)

――彼がCDを持ってきた時、長門さんはroppenのことはご存じだったんですか?

長門:いや、全然。持ってきてもらった時に初めて知ったんだよね。森は生きている(当時)の谷口(雄)くんとか共通の知り合いはいたんだ。谷口くんとは仲良くなって、森生きのライヴ観に行ったり、一緒にイベントやったりしてたんだ。

渡瀬:で、長門さんから電話がかかってきて「結構いいから(パイドに)置いてもいいよ」って。

長門:そんな上から目線じゃなくて(笑)ぜひ置きたいと。森生きやスカートもそうだけど、気に入った新しいバンドをお客さんにも教えたくて。これは昔のパイド時代から同じ気持ち。roppenの下北440のレコ発ライヴにも行きたかったんだけど腰がダメで行けなくて。あれは残念だった。

渡瀬:その後、長門さんのラジオでもかけていただいたりして。で、一昨年だっけかな?ポニーのヒサミツと、谷口くん、あとポニーのサポートのサボテン楽団の4人で何かやらないかって話を長門さんからいただいて。 インストア・イベントに出たんですよ。

長門:2016年にやったラヴィン・スプーンフルの紙ジャケCD再発のイベントだね。谷口くんに一夜限りのスプーンフルのカヴァー・バンドを組んでくれって頼んだんだ。で、招集されたのが渡瀬くん、ポニーのヒサミツくん、サボテン楽団で、僕がSpoonful of Lovin’というバンド名を付けたんだ。

渡瀬:その辺でなんとなく繋がっていて、今年の春にポニーのヒサミツの新作のレコ発の前座でまたこのカバー・バンドをやったんですけど、それを今泉が観に来ていて、長門さんもいらっしゃったのでbjonsの音源を渡したんです。

長門:あの時は最初のミックスだよね。で、あとでパイドに来て最終ミックスのCDRをくれたんだよね。

今泉:そうです。それが長門さんとの最初の出会いですね。

長門:roppenは渡瀬くんだけじゃなくてキーボードの松野くんも何度かパイドにきてくれて。菓子折り持ってきてくれたり、いいバンドじゃないかって(笑)。で、roppenの新作はいつ出るんだろうって気にしてて、渡瀬くんや松野くんに会うたびに言ってたんだ。で、谷口くんがミックス担当と知って、彼にも「もう録音終わった?いつ出るの?」ってプレッシャーをかけていた。結構苦労してるみたいな話は聞いてたけど。

橋本:録音を始めたのは2年前で、いろいろミックスに注文して、ようやく7月に出ることになりました。

長門:リリース時はなにかインストアとかやろうよ!という話はしていて、そうこうしているうちに、roppenより先にbjonsの方がデビューしちゃった。メンバーが二人も被っていて、結成したばかりの後輩というか弟のようなバンドに先を越された。でも皆、他にもいろいろなバンドに参加しているんだよね?

今泉:僕は不器用なのでbjonsだけです。

渡瀬:今泉はボーカルだからね(笑)。僕はクララズのサポートとか他にもいろいろやってます。

橋本:僕は夢見る港でもベース弾いてますね、サポートでは他にもいろいろと。

長門:70年代、僕がマネージャーとかやってた頃は、ひとつのバンドに集中してるって感じだった。例えば、シュガー・ベイブをやりながら他のバンドやることなんてなかったし。ほかのバンドのライヴのゲストでギター弾いたり、コーラスしたりとかはあったけどね。いまは自由だよね。自由すぎる!それはとってもいいことだけど。

今泉:バンドへの帰属感みたいなものはあまりなくて、常に演奏家集団みたいな感じでやってるんでしょうね。

橋本:セクションだったり、キャラメル・ママだったり、そういう憧れはありますね。

渡瀬:レコード買うときも、クレジット見て買ったりするじゃないですか。もちろん自分たちはそこまでの存在じゃないけど、そうなれたらいいなという思いはあります。 谷口くんなんかもいっぱいやってるし。どこいっても参加してる。

長門:いいことだと思うよ。あの頃は、はっぴいえんど、はちみつぱい、シュガー・ベイブ、センチメンタル・シティ・ロマンスとかって、それぞれ個性の強いバンドで自分たちだけの音を追求していて、同時に別バンドをかけもちでやる余裕なんてなかった。ライヴ・ハウスの数も多くなかったし、ライヴやる機会も今ほど多くなかった。
いまのミュージャンは幸せだよね。機会も多いし、気の合うミュージャン同士、さまざまな場所で自由に交流できる。
昔はレコード会社や事務所のしばりもあって、表向きは出来なかったからね。80年代になるとピチカート・ファイヴとオリジナル・ラブって、田島(貴男)くんが両方のヴォーカルだった時期があって、一度対バンしたことはあったな。そういえばroppenとbjonsで同じギターのリフが出てくるけど、その辺の棲み分けとかは意識してるの?bjonsは控えめで行こう、roppenでは弾きまくろうとか考えてるの?

渡瀬:そこまでいろいろ器用にできるほうではないので、あんまり考えていないですね。バンドというより曲ごとにアプローチは変えたいですけど。

長門:ベースは?歌う人に合わせるみたいな感じなの?

橋本:基本的にはそうですが、その中で「なにかしてやろう」という思いはありますね。

長門:なるほどね。ネガティヴな意味じゃなくて、本当にカルチャーショックだったんだよね。バンド始めたら、なにか成し遂げるまでは続けていくってのがあって。で、うまくいったり、方向性の違いやガールフレンドの取り合いとかが原因で解散したりとかするし。いまはそんなことはなさそうだもんね。

――長門さんは今回のbjonsのCDを最初に聴いてどう感じましたか?

長門:roppenよりいいじゃん!って(笑)。それは冗談だけど、まず曲がいい。あと、声。歌声がいいよね。今回シングル・カットする「ハンバーガー」と「そろりっそわ」この2曲がまずいいなあ、と。他の曲もいいんだけどね。この2曲は全然タイプが違うんだよね。「ハンバーガー」の方はシュガー・ベイブの遺伝子が感じられる心弾むグッドタイム・ミュージックで、「そろりっそわ」の切なさも沁みるよね。bjonsはアートワークもいいし、こないだ観たレコ発も大盛況で演奏も良かった。SNSでの評判もいいみたい。昔はレコード会社が莫大なお金を使って宣伝していたけど、いまは必要ないもんね。バンドの周辺にITに強かったり、デザインできたりする仲間がいるから自分たちでホームページやジャケット、フライヤーを作ったりできるし。いまの若いバンドはマネージャーもいないし、みんな自由で楽しそう。

橋本:bjonsとroppenもツイッターやってるので宜しくお願いします(笑)

長門:昔はバンド活動をやるにも大変だったから。自分たちのライヴの宣伝するにも人気のあるほかのバンドのコンサート会場の前でチラシ配ったり、電柱にポスターを貼ったり、ライヴハウスもオーディション受からなきゃ出られなかったからね。73年のシュガー・ベイブのデビュー・コンサートの時、デッカいポスター看板を電柱にくくりつけてるところを警官に職質されたりしたこともあったりね。音楽誌も月刊だから告知にも3ヶ月は必要だったけど、いまは週末にライブをやります!と発表してもすぐに情報が届いて人が集まる。発表の場もたくさんあるしね。サウンドクラウド、ユーチューブ、それ聴いていいと思った人がライヴ行ったり、音源を購入する。いい時代だよね。

――ところで今泉さんは、約8年くらい音楽活動を休止してたそうですが、このタイミングで音楽活動を再開したのはなぜですか?

今泉:ホルモン的なタイミングですかね?(笑)。もともと静岡で大学時代に渡瀬とバンドをやっていて、なんだかんだで僕が先に東京に行ってて。で、彼が一緒にやろうよと言ってくれてて。

長門:最初に音源をもらった時はレーベルが決まってなくて、どうするんだろうなあって思ってたら、なりす(なりすコンパクト・ディスク)から出ることになったんだよね。

――なりすから出すことにしたのはどうしてですか?

橋本:なりすから出てるCDのHYCAという品番のCDが好きで。それはNRBQの国内盤の紙ジャケCDの品番がHYCAで、調べたら同じ発売元(ハヤブサランディングス)だった。それで僕らにCD出さないかいって声かけてくれた人が、なりすレコードの平澤さんで、そのNRBQの再発とかも平澤さんが手掛けていたんです。それで出したいなあと思いました。

長門:そういうのはいいね。憧れのミュージシャンが所属してるレーベルから出したいというのはよくわかる。僕はミュージシャンじゃないから、逆に好きなミュージシャンのレコードを自分のレーベルから出したいとかね。もう、この夢は随分叶ったけど。

――今回発売になるbjonsの7インチは、ジャケットが面白いですよね。こちらは長門さんがアートワークを監修されていますが、パレ―ド(※)のパロディという。

長門:今回、パロ・ジャケにしたいなというのがあって、3人組だし。メンバーにパレードの2度目のCD化の時のジャケット見せたら、賛成してくれて、急遽ロスのローレル・キャニオンまで撮影に行って… あ、ウソです。平澤くんが近場でぴったりの場所を見つけて。知らない人は普通にいいなあ、と思えて、知ってる人はニヤッとするような。その辺を狙ったわけです。そういう洒落がわかる人も結構いて、SNSでの反応も良かった。

――オリジナル盤のアートワークを監修した人が、自らそのジャケのパロディをディレクションするというのがあまりないことで、面白いと思いました。

長門:ただのパロディではなく、音楽性とも重なる部分があって、そのあたりでなるほどなと思ってくれる人がいると成功かなと。70年代にラジオでパレードを日本のポップス・ファンに紹介したのは大瀧詠一さんと山下達郎くんだったのね。彼らのファンにも反応してもらえたらいいな。

――最後に、7インチが発売されて今どんな気持ちですか?

今泉:メンバーみんなアナログ・レコード大好きですし、自分たちの7インチをパイドパイパーハウスから出せるなんて夢みたいですね。長門さんや東洋化成の方をはじめいろんな人達の協力を得てアナログ化が実現したので、本当に嬉しいし感謝しています。長門さんの案でこの7インチはアルバムと違うミックスに仕上げているので、その違いも楽しんでくれたら最高です!

長門:パイドの2周年記念で、フィフス・アヴェニュー・バンド、ハース・マルティネスの7インチに続いて何か出したいなあ、と思っていて、今回は日本ものにしようと。 僕が2018年の渋谷でパイドをやる意味は、もちろん昔のいい音楽を置くというのもあるけれど、「ネクスト・ジェネレーション」という棚を作って、若いバンドの後押しをしたいという想いがあった。それを知ってか知らずか若いバンドの人たちが音源を持ちこんでくれるようになった。bjonsもその中のひとつで、こうしてパイドパイパーハウスから7インチを出せるというのは嬉しいね。パイドで出会った音楽や人をきっかけに、ちっぽけでもいいから新たなシーンみたいなものが生まれていったらいいな、と思っています。

 

(※)パレード:フィル・スぺクター門下生のジェリー・リオペルと、ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズのメンバーでもあるマレイ・マクリオド、そしてスモーキー・ロバーズによるバンド。当時は数枚のシングルを残して解散したが、68年録音の未発表アルバムのCD化(1988年/1995年)の企画・監修を長門氏が務めた。今回のシングルのジャケットは95年に再発された際のジャケットのオマージュになっている。

 

◆bjons(ビョーンズ)プロフィール
静岡で局地的な人気を得ていたバンド「kodomonokodomo」の今泉雄貴(Vo&Gt)を中心に2017年結成。渡瀬賢吾(Gt)は大学時代から今泉と同バンドを共にした後、roppenをはじめ多数のバンドでも活動。そして橋本大輔(Ba)もミックスナッツハウス等を経て、同じくroppenなど様々なバンドで活動を行っている。現在は上記3人のメンバーに加え、サポートメンバーとして岡田梨沙(Dr/ex.D.W.ニコルズ)、谷口雄(Key/ex.森は生きている、現1983等)を加えた5人編成で、都内を中心に活動中。 洗練と朴訥さの両面を持つ練り上げられたソングライティングと、豊潤なバンドサウンドが織り成すのは、時代にとらわれない確かなポップミュージック。ライブハウス等で静かな熱を生んでいる。

 

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「bjons + roppenダブル・レコ発ミニライヴ&サイン会」

7月27日(金)20時~
パイドパイパーハウス(タワーレコード渋谷店5F)

出演:roppen / bjons / 長門芳郎

【イベント参加方法】
タワーレコード渋谷店 にて7月24日(火)の商品入荷時以降、bjonsの7インチ・シングル「ハンバーガーc/wそろりっそわ」(PPH-18725)
またはroppenのフル・アルバム『sweet twilight』(Gallway NKMR- 0310)のどちらかをお買い上げ頂いたお客様に「サイン会参加券」を1枚お渡しいたします。

※トーク&ミニライブは観覧自由です。

≪対象商品≫
7月25日 (水)発売


bjons 『ハンバーガー c/w そろりっそわ』
7インチ(PPH-18725)
税込定価1,620円

 


roppen『sweet twilight』
(Gallway NKMR-0310)
税込定価2,160円

 

MORE INFORMATION
http://towershibuya.jp/2018/07/21/122905