Last Update 2018.11.12

Interview

レコードの日に3作同時アナログ化。クレイジーケンバンド横山剣の熱き“アナログ愛”

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取材・文:岡本郁生
写真: 福士順平

今回の「レコードの日」にあわせて、クレイジーケンバンドのアナログ化されていないアルバム『もうすっかりあれなんだよね』(2015年)、『香港的士』(2016年)、そして最新アルバム『GOING TO A GO-GO』がアナログ・レコードとしてリリースされる。2015年に過去のオリジナル・アルバムをアナログ化して以来ご無沙汰だったアナログ・シリーズが復活するのだ。さらに、厳選した“フロア対応”の楽曲を7インチ・シングルでもリリースするという。
この機会に、横山剣さんの熱き“アナログ愛”を語っていただこう。

 


 

再生する機械にはあまり神経質ではないですね、ええ。安いプラスチッキーなやつはプラスチッキーなやつで、なんとなくこう、哀愁のある音がするし、やっぱり、いいものだといいなりの音がする。それぞれにいい音があると思うんです。
むかし、チャーリー宮毛という本牧の友だちの部屋に行くと、プラスチッキーなステレオなんだけどグッとくる音で、それを“本牧音(ほんもくおん)”ていう名前をつけたりして(笑)。特にブーガルーとか、ニューヨリカン系の音にマジックがかかるっていうか、その音でジョー・バターンとか聞くとたまんないんですよ。高級な音よりも、そのチープな音がなんかこう、ね。FMラジオもいいんですけどAMの音にもマジックがあるように、ザラついた音がたまんない。
気分も含めてですけど、聞く場所によって音まで違って聞こえることがある。同じ曲でも海外で聞くといい曲に聞こえて日本で聞くとそうでもなかったり、っていうことがあるように、なんか、シチュエーションで自分自身にエフェクトがかかっちゃったりすることがありますね。
アナログは、スクラッチ・ノイズに奥行きが感じられるんですよね。あと、A面が終わって、ひっくり返して、そこからまた後半戦みたいな。それがワクワクしますね。

 

 

今回、マスタリングをアナログでやったんです。特に最新アルバムは、ハナっから、アナログ・リリースありきで(笑)。
そもそも、途中にジングルを入れてるのもLPの感覚で。ヒップホップでいう“インタールード”みたいに、盤をひっくり返せないかわりにインタールード入れて、起承転結というか、A面B面C面D面……みたいな気分をそれで出せたらと思ってるんです。やっぱりレコードへの郷愁があるというか、ま、CDにはCDなりの良さもありますけど、その郷愁はどうしてもなくならない。
ジャケット的にも、『GOING TO A GO-GO』のアナログ盤は、表と裏が別の写真で、最初から全部意識しました。

 

世間でアナログ盤の需要があるかないかは別として、自分が欲しいので出してるんで、それがなかったら発想自体がなかったと思うんですけどね。持ってるアナログ盤、数えたことないんですけど、思ったよりありました。断捨離しなきゃと思うんだけど捨てるに捨てられなくて。CDと比べてアナログは断捨離して後悔することが多い。アナログは持っていたくなりますね。CDだと、取り込んじゃったらもういいやって感じですけど。
で、決定的にそういう考えになってからは、紙ジャケットもやめて、CDはもうCDでいいんだ、ということでプラスチックのジャケットにしたんです。ただ、ディレクターの藤田さんに「ユニバーサルに移籍したとたんにプラジャケにすると、メジャーに行ったからそうなったんだ!ってファンに思われるから、ファーストは紙ジャケにしてください」っていわれて、移籍した1枚目は紙ジャケにしました。普通、アーティストは紙ジャケがいい、メーカーはプラジャケがいいって言うんですが、逆で(笑)。CDはプラジャケでいいから、そのかわりアナログを出すっていう、そっちの方が重要なんで。

 

 

「ある晴れた悲しい朝」(1999年のアルバム『goldfish bowl』に収録)という曲があるんですが、60年代70年代のアナログの“滲み”……全部クッキリじゃなく“滲む感じ”をどうやったらできるのかな、っていうのをノッサン(ギターの小野瀬雅生)と一所懸命研究したんです。「ミックスダウンでやるんじゃなくて、音を出してる段階でそうなってなきゃダメだろう」ってことで、録音のときに、あえて分離しないで、他の音が漏れる……ドラムの音がわざと漏れるように録ったりとかいろいろ工夫したら、なんとなくその音になって。“滲み”っていうのは、レコードのいちばん大事なもののような気がします。
あと、地下鉄日比谷線の「銀座駅」のホームにいると隣の「日比谷駅」がちょっと見えるんですよね、うっすら。あんな感じで、針を置いたら始まる前にちょっとゴーストの音がする。ちょっと怖いんだけど奥行きを感じる。あれにやられて(笑)。
それと、フェードアウトの向こうってどうなってるんだろう、って子供のころよく考えました。だんだん音が小さくなって、でもよく聞くと後半で結構いろいろやってたり。CDではそんなこと考えないんだけど、レコードのときはそんなことばっかり考えてましたね。

 

 


 

アーティスト: クレイジーケンバンド
タイトル: GOING TO A GO-GO
販売価格(税抜) : 3,800円
発売元 : ユニバーサル ミュージック合同会社
フォーマット : LP
仕様 : 重量盤2LP
品番 : UMJK-9099/100
アイテム詳細はこちら→

 

アーティスト: クレイジーケンバンド
タイトル: 香港的士
販売価格(税抜) : 3,800円
発売元 : ユニバーサル ミュージック合同会社
フォーマット : LP
仕様 : 重量盤2LP
品番 : UMJK-9097/8
アイテム詳細はこちら→

 

アーティスト: クレイジーケンバンド
タイトル: もうすっかりあれなんだよね
販売価格(税抜) : 3,800円
発売元 : ユニバーサル ミュージック合同会社
フォーマット : LP
仕様 : 重量盤2LP
品番 : UMJK-9095/6
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