Last Update 2023.12.27

Interview

OCHA∞MEインタビュー

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OCHA∞MEは下北沢のTHREEなどに顔を出している若者たちによって2018年くらいに自然発生的にできたバンド。最初は飲みながらの冗談から発生した遊びだったのかもしれないけど、そのピュアなパワーを放出しながらどんどん「バンド」になっていって7インチ2枚をリリース、途中一部メンバーチェンジを挟み、今回10”アナログのみでミニアルバムを発表するに至った(プロデュースはOCHA∞ME、レーベルはなりすレコードとFeelin‘ Fellowsのダブルネーム)。2020年春、コロナ・ウィルスの影響によりインディ、メジャー含めたミュージシャン、ライブハウス、オペレーターなどたくさんの音楽関係者が活動を止めざるを得ない状況の中でのリリースとなるけど、その状況下にあるからこそ「場」の意味とか友達のこと、楽しむこと、そして自分らしくあることなどなどが浮き出てくる作品であるな、と感じる。
本当は対面でインタビューしたかったのだけど、緊急事態宣言下にあるので、メールによるインタビューとなった。(2020年4月、メールによるインタビュー)

取材:Masao Nakagami (Target Earth)
写真:Romi Mori

 

メンバー表記は以下になります。
キ:キムキム(vocals, trombone)
b:ban(vocals)
つ:つづみっこ(vocals)
ナ:ナッチャン(vocals, guitar)
P:PAKO(drums, vocals)
今:今泉K(bass)
マ:マサヤ(guitar)

 

Q1. 結成のいきさつを教えてください。僕の知っている感じだとTHREEに溜まっている人たちで結成されたんですよね?個人的な感想としては、かつてZOO(SLITS)にて結成されたTHE DROPSに似たものを感じています。クラブに集まる子たちから自然発生したような

キ) ルーツはバラバラだけど、みんなそれぞれが下北沢THREEでライブしたりDJをしていて、お酒と音楽が大好きという共通点を持ったメンバーが少しずつ集まってOCHA∞MEになりました!

b) 一緒に飲みながら自然と結成した感じだったよね。好きな音楽のジャンルも基本バラバラですけど、これはダサいとかこれはかっこいいって思うものは一緒だと思ってます!

ナ) 酔っ払ったキムキムに『バンドやらない!!?』っていきなり誘われた時の事を今でも覚えていて。『ライブは1年に1回ぐらいのお祭りバンドでOCHA∞MEっていうの!!』って言われたから、年に1回ぐらいならやろうかなー思って『いいね!』ってすぐ返事したら全然1年に1回じゃなかった(笑)

 

Q2.それぞれ他のバンドもあると思いますが、OCHA∞MEというのはプロジェクト・バンドということでいいでしょうか?

キ) 最初はそういう向き合い方だったかもしれないけど、今はそれぞれやってるバンドと同じくらい本気バンドです(笑)!

P) あえて言うならあまり混じり合う事が無かったかもしれない7人が自然に集まって出来たというのがとても面白くて、好きな音楽や趣味、好きな物も全く違うので、凄く刺激になります!

 

Q3.バンド始めたときに音楽性のコンセプトなどありましたか?

キ) 始めた時で言ったら、可愛らしいメロディに強いメッセージの歌詞を乗せて、カッコつけずにおっきい声で歌う。みたいな感じだったかな、、?

b) 私個人としては高校生のときにコピバンをやっていた程度のド素人だったので、最初は見るに耐えない感じでした…(笑) でも、ひとりひとりが飾らずににステージに上がってプレイする!というのがOCHA∞MEの大事な部分ですね。それに、ライブをやっていく度に「らしさ」が見つかっていく感じも楽しんでます。

今) 当初はかわいい感じでいくのかな〜と思っていたんですが、スタジオや飲みの席でコミュニケーションをとっていくにつれ「パンクっぽい事もアリなんだ!むしろわりとなんでもアリなんだ!」と思い、今は好きにやらせてもらってます(笑)

 

Q4. 活動の幅というか、結果的にいろんなシーンに関わっているという面白さがありますよね。個人的には昨年なりすレコードと共同でやった企画があってSpampinato Brothers & Billy Bremnerのライブに出たのが面白くて。こういうのはどんどんやっていきたい感じですか?

つ) ありがたいことに場所やジャンル関係なく色々なイベントでライブさせてもらってますが、まだまだ未開の地もあるので場所もジャンルにも囚われず、やっていきたいです!

マ) バンド自体のキャラクターも個性的だと思いますし、メンバーそれぞれの個性も相まって様々なシーンとリンクするのは本当に楽しいです。特に昨年はそれが顕著に表れた感じだったね!

今) メンバーの好みがバラバラだからイベントごとに必ず誰かがメチャ気合い入ってたりしていて、それが毎回新鮮だし良い刺激になんだよねー。

P) Spampinato Brothers & Billy Bremnerの来日公演に出演した際、たまたま前日にメンバーの皆様とご挨拶をさせて頂いたのですが、凄く気さくにお話してくださり本当に楽しいひと時でした!!終わった後に記念撮影も出来て、またいつかご一緒できたら嬉しいです…!

 

 

Q5. 新作について。10”というフォーマットでなりすレコードとFeelin‘ Fellowsのダブルネームとなったいきさつを教えてください。

マ) なりすレコードさんとしっかりお話させて頂いたきっかけは、それこそSpampinato Brothers & Billy Bremnerの来日公演でライブさせて頂いた事が大きいですね。

キ) Feelin’ Fellowsは発足の場所である下北沢THREEの繋がりや、恵比寿LIQUID ROOMで行われた大型イベントへの出演、2018年に発売したコンピレーションテープ”FEELIN’ FELLOWS #1″に参加した経緯もあって、今回はご一緒に動いてみようという話になりました!

 

Q6. 今回サウンドで関わっているayU tokiO、Tadashi両氏との関係性みたいなものを教えてもらえますか?彼らもTHREEの繋がりだと言うことはできると思いますが。また、音の仕上がりには満足していますか?

b) お二人ともTHREEのつながりでお世話になっています!アユさんは7inchをリリースした時にもレコーディングしていただいていますね。個人的にはレコーディングの時に、声を褒めてくださってすごくいい気分で録れました(照)OCHA∞MEの空気感を深く理解していただいてるので、サウンドにも絶大な信頼を置いています。

今) 今回収録されている「ピラニアBOY」はマイクを一本だけ立ててポータブルのオープンリールで一発録りしたもので、ayUさんのアイデアです。ここまで思い切った提案をしてくれるエンジニアの方って他にいないと思って感動しましたし、本当にワクワクしたレコーディングでした。

キ) Tadashiさんは私がもう一つやってるジャポニカソングサンバンチのメンバーでもあるので、いつも何も言わなくてもOCHA∞MEの要望を察知して実現してくれる凄い人です!ayUさんは(褒め言葉の意味での)ヲタク精神で楽しみながら録音&mixしてくれて本当に感謝です!

 

Q7. 音は全体的にバンドサウンドを活かしたポップスと言えると思います。サウンド的に影響を受けたり参考にしたものなどありますか?

今) 「サラダデイズ」の録りたい質感が決まっていて、参考にしたのはTony MolinaやTimes New Vikingなどのローファイ ・パワーポップ的なところです。

ナ) 全体的にはWeezerのBlue Albumみたいな質感をイメージしてたんですが、「サラダデイズ」はその中にもノスタルジックさを出したいなと思ってました。「bookend」はすぐアレンジのイメージが沸いてThe Flaming Lipsみたいな幸福感のある、フェスで上から大っきい玉が落ちて来たり色々な生き物がステージにいたりするような、アウトロに向かっての部分がまさにイメージ通りにできましたね。

マ) 幸福感は僕の中にもキーワードにあって、レコーディング中は女性ボーカルが映えるキラキラした音源を結構聴いて頭の中のイメージを広げてました。具体的にはKirsty MacColl、Elizabeth McQueenのカバーアルバム、バンドだとSugar Stemsとか、、華やかでありながらもしっかりバンドサウンドにしたいなぁと。って、急に堅い感じになってるかな…(笑)

つ) 超個人的ですがわたし的2大ポップスJUDY AND MARYとモーニング娘。を意識してます!

 

Q8. 歌のテーマとしては自分たちの生活(つまり普段いる音楽シーン含む)という風に感じられますが、どうやって歌詞を含めて曲を作っていきますか?

今) 自分とかけ離れた別世界の話を想像する事が苦手なので、歌詞を書くと大体自分の生活範囲内のことになってしまいます。ただ、OCHA∞MEの曲に関しては自分が歌うわけではないので、なるべくネガティブなまま終わらせないようにしてます。それによって自分の思考も若干ポジティブになりましたね(笑)

P) ドラムを考える時は必ず歌詞をノートにおこして、自分の中の引き出しと出来るだけ照らし合わせながらよく理解した上で叩くように心がけてます!

マ) ギターは二人それぞれ作り込むポイントが全然違うから合わせていてすごく楽しいです。歌詞も音も、聴く人たちが自身の生活や思いを投影できるような仕上がりになってるといいなと思ってます。

ナ) みんな他にもバンドをやっている分、色んな解釈がすり合わさってそれが自然と特徴になっている気がします。なので、OCHA∞MEの曲はすごい真っ直ぐなメッセージ性を感じる一方で、多角的にも捉えられる曲に仕上がってるのかなと。私は頭の中で曲の世界を決めて自分のギターをマサヤさんのギターと合わせていく感じですかね。どちらかというとマサヤさんのギターを先に決めてから私は後乗せで隙間を埋めていく方がサクサク進みますね。隙間産業的な。

 

 

Q9. bookendという曲はアンチ・レイシズムのテーマがありますよね。まえにシングルで出た”2019年のガールズカラー”という曲にも同様のテーマが隠されているように感じるのですが、体験的に思うところがあったりしますか?

b) 自分も含め、知らず知らずのうちに他人の趣向などを勝手に制限したり、決めつけたりしてしまっていることってあると思います。なので、考え方が自分よがりにならないように心がけています。「2019〜」の歌詞にもありますが、「I am I」、私は私の生き方があって、大切にしたいものはそれぞれが自由に持つべきだと強く思います。

ナ) 幼少期から割と色々な国の子供たちとか家族と関わっていた環境だったので、大人になっていくに連れてたくさん人と出会っていく中で色んな視野のメガネをかけている人達がいるんだなと驚きましたね。なのでOCHA∞MEの曲を聞いて何かピンと思うところや考えるきっかけになってくれてたりしたら嬉しいですね。

つ) 10代の頃、狭いコミュニティーの中で周りと合わなくて戸惑ってました。自分は自分って。だから、中学生のころOCHA∞MEがいたらもっと自信持ててたかもしれない(笑)

 

Q10. トロンボーンのメンバーがいるのがユニークで、バンドの特徴にもなっていると思いますが、どうですか?

b) もともとホーンがいるバンドが大好きで、特にトロンボーンは個人的に一番好きな管楽器なのでメンバーとしても嬉しいですね!前向きな気持ちになる音をしていてバンドにぴったりな楽器だと思っています。哀愁スパイスなってるかなぁ!

キ) 吹いている本人的には、OCHA∞MEの数ある特徴の中の一つくらいに思ってました!いつも良いトコで良いメロディー吹かせてもらって、ありがたいです!頑張ります!

P) 10インチの曲で特に私が好きなのは「bookend」のアウトロのトロンボーンです。大聖堂の鐘が壮大に響き渡り、白い鳩が自由に羽ばたいて行くそんな風景が毎回浮かんできます!壮大過ぎるかな。。。?(笑)みなさんも聞いてみてください!

 

Q11. カヴァーについて。80年代の曲をカヴァーしてまして、僕なんかは10代(中学・高校)のときにリアルタイムで聴いた音楽だったりするんですが、みなさん、どうやってこの曲にたどり着いたのか?他にもLike A Virginもライブでやってますよね?
※カヴァー曲:シンディ・ローパー、中島みゆき、キャ→

つ) とっても嬉しいことに、周りの先輩たちや友達からOCHA∞MEにこれやってほしい〜!とリクエストされたりするんです。”Girls Just Want To Have Fun”はわたしにとっても特別な曲だったので、OCHA∞MEでやれて嬉しい。歌詞がOCHA∞MEにもぴったりな曲だし!

マ) カヴァー曲って「誰がやるか」が重要な気がしていて。なので音楽好きの先輩方に薦められたりするはとても嬉しい事だよね。曲が決まったら、メンバー全員で歌詞の意味を話し合ったりするし。

b)「ピラニアBOY」を聴いた瞬間「うちらでやらなきゃだれがやる!」って感じだった(笑)

ナ) 「悪女」はサーフ的なサウンドを思い描いていたので、ライブでやった時もやりたかった事がお客さんにも伝わってたみたいだからうまいこと出来たと思ってます!

 

 

Q12. Romiさんというレジェンドに写真を撮ってもらうことになった流れを教えてください。
※Romi Mori :UK在住のフォトグラファー、元Gun Clubのメンバーでもある。一般的にはザ・スミスの1stジャケにおけるモリッシーの写真で有名

マ) Romiさんとの出会いは、東京で写真展を開催された時に友人を介してお手伝いした事がきっかけでした。その繋がりでライブを観にきてくださって控え室で集合写真を撮影して頂いたんですが、それが見事にメンバー全員の個性を捕らえていてものすごい感動したんです。今回のジャケット案では当初からメンバーの写真でいきたい!っていうアイデアがあったので、ぜひRomiさんにお願いしたいと思ってメンバーに提案しました。

キ) 偶然ですが、その写真展の会場は私が働いていた飲食店だったっていうのもあって、ご縁も感じています。最高のジャケットとアー写になったと思います!!

ナ) その場の雰囲気や衣装やアイテムでポージングを誘導して頂いたり、ぎこちなかったみんなの良さを引き出すために、とりあえず飲もっかって(笑)乾杯から始まってどんどんみんなの写りが良くなっていくのが見えて来たとき流石だなって思いました。

つ) OCHA∞MEの一番イイ瞬間を撮ってもらえて嬉しいです!!

 

Q13. 2020年になって、コロナウィルスの影響で、ライブハウスや音楽シーンが想像もしないダメージを受けました。この時期にリリースというのもある意味逆風になると思いますが、この音源はもう出るべくして出たという感じもします。この見えない状況の中ですが、なにか希望的な思いがあれば教えてください。

b) 私自身、レコ屋の店員ということもあって、リリース日に店頭に並ばないというのはすごく残念だし、悔しいです。やりたくてもできない悶々とした日々のなかで音楽が風穴になると信じています。目に見えない「ナンカ」を救う作品になれば思います。私自身もこの楽曲たちに救われています。とにかく元気になれるのでたくさんの人に届いてほしいです。ライブにもぜひ遊びにきてください!一緒に飲める日を心待ちにしています!

今) 発売日にレコード店がどこも休みという事が確定しているためタイミング的にはとても残念です。ただ、遊びにも行けずリフレッシュしづらい今の暮らしの中で僕達の音源が少しでも心の清涼剤になればいいかなと思います。

マ) 社会の状況が目まぐるしく変わっているので、このインタビューが掲載される時のことも想像できないんですが、音楽を聴くことによって気持ちが軽くなったり、楽しみや希望を持ったりできる世の中がなるべく続いて欲しいです!

 

Q14. 現在の状況を受けて、「そのときを待ってる」という未発表曲を配信リリース&動画公開しましたよね。こういう行動力、いいな、と思いました。行程など教えてもらえますか?

今) 楽曲のベースとなるものは以前からあってバンド練習でアレンジを考えたりしていたんですが、その最中に今回のCOVID-19の影響がみるみる大きくなってライブが出来なくなったりスタジオ練習が出来なくなったりして。仕方がないから家で練習しようと思って聞いたこの曲の歌詞が妙に刺さって、またみんなで演奏できる、輝ける日が早く来て欲しいと思い、宅録でカタチにして今のタイミングでリリースしたい!部屋で悶々としてるみんなに聞いてもらいたい!と思い立ったのがきっかけです。

キ) ライブができない、仕事ができない、会いたい人にも会えない状況の今、自分たちに出来る事を考えて、辿り着いた一つのアクションです!MVはそれぞれ家で自由に過ごしているところを撮影しました。いつか大好きなあの場所でまた乾杯するために、きっと、私たちと同じ気持ちの人がたくさんいると思うので、そんな人達に響けば嬉しいです!

 

 

【発売情報】

アーティスト:OCHA∞ME
タイトル:New mistakes
発売日:2020年4月29日(水)
レーベル:なりすレコード/Feelin‘ Fellows
品番:NRSP-1078
仕様:10インチ
価格:2,727円(税抜)
JAN:なし
備考:DLコード付

トラックリスト
A面
1.サラダデイズ
2.bookend
3.too much to love
B面
4.Girls Just Want To Have Fun
5.悪女
6.ピラニアBOY