Last Update 2021.10.6

Interview

鈴木祥子&中山佳敬「GOD Can Crush Me.」発売記念インタヴュー

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長年、アナログへのこだわりを持ち続け、7インチ・シングルだけでなく10インチ・シングルまで発表してしまう偏愛ぶりでも知られる唯一無二のミュージシャン、鈴木祥子。新曲「GOD Can Crush Me.」も、もちろん7インチ・シングル(同内容CD封入)での発売である。しかも今回は、ビクタースタジオのチーフ・エンジニアとして職人技を磨いている中山佳敬を共同プロデューサーに迎えた意欲作ともなった。出会うべくして出会った二人の縁や、実際の現場でのやりとりなど、興味深いエピソードとともにご紹介する。

取材・文/藤本国彦
取材協力/VICTOR STUDIO
写真/下迫惠理

 

——まず、お二人の出会いのきっかけからお願いします。

鈴木:『Radio Genic』という、「優しい雨」などが入っている1993年のアルバムを作った時に、ビクタースタジオの今井邦彦さんのアシスタントとして録ってくださったのが、中山さんとの最初の出会いでした。

中山:その時は仕事に就いてまもない時期だったので、祥子さんと話なんてできるような状況ではなかったんです。でも、その時にやった仕事として鮮明に覚えていて、それから祥子さんの作品をすごく好きになっていったんですよ。

鈴木:その後、2018年に安野希世乃さんのレコーディングに作詞・作曲・編曲で参加した時にフライングドッグのプロデューサーの福田正夫さんから、「中山さんでぜひやりたい」という話になって。

中山:安野さんの仕事で「鈴木祥子さんです、今回ご一緒するのは」って聞いた時には、「おおー、マジか! やるやるやる!」という感じでした(笑)。長年の夢が叶ったという。

鈴木:(笑)。それで、ビクターの302スタジオでリズム録りをして、401でミックスをした際に中山さんの音を聴かせていただいたんですが、もう本当に素晴らしくて、「なんて良い音なんだ、素敵な音なんだ」と。そんなご縁があり、洋楽のカヴァー・アルバムを作りたいなと思った時に、やっていただくとしたら中山さんにと思い、去年の3月にお願いしました。その作品は、まだ世には出ていないんですけどね。

 

——お二人は、出会うべくして出会ったという感じですね。

鈴木:はい。私、大瀧詠一さんの大ファンで、大滝さんの生前に何度かやりとりをさせていただいたんですけど、「良いエンジニアに、素晴らしいエンジニアに出会えるということもミュージシャンの運のうちだ」という大滝さんからの忘れられない言葉があるんです。というのも、「感覚的に話をされてもわからない、専門的に言ってくれないと」とエンジニアの方に言われたり、ぶつかることが多かったんです。心が通じ合えるエンジニアの方に出会えないっていうのも私のミュージシャンとしての運のなさだから、もうここが限界なんじゃないかっていう感じがしていたんですね。そんな時に中山さんにお会いしたので、「自分の運は尽きてなかった」じゃないけど、「ミュージシャンとしてもうちょっとやれ!」ってことなのかな、と。中山さんの音との出会いが、本当にそういうふうに思わせてくれました。

 

——中山さんのことを良いと思ったのは、どのあたりでしたか?

鈴木:矛盾がひとつになっているということです。すごくクリアで明るくて端正な音っていうのをまず感じたんです。何も余計な意図が入ってなくて、ストレートに音がクリアに、ブライトに伝わってくるんだけど、その奥にすごく攻撃的な何かがある。私はロックが好きだし、ロックで育ってきたようなところがあるから、ただブライトで端正でクリア、だとやっぱりちょっと物足りない。攻撃的なだけっていうのも、エキセントリック過ぎて押しが強すぎる音も、心から良いとは思えない。中山さんはその両方が合致しているんです。すごく端正なのに攻撃的。そんな矛盾がひとつになっている。しかも、印象として明るくて美しいのがすごく魅力だなと思いました。

中山:安野さんの音から、そう感じていただけたのがすごく嬉しいです。心のどこかで頑張ろうと思っていたかもしれないですけど、そのためになにか奇を衒ったことをやろうという気はないし、逆にこれしかできないっていう。

 

 

——その流れで今度は祥子さんの新曲をやるとなったわけですが、目指すサウンド作りというか、実際にイメージしたものを完成していく中で、心掛けたことやこだわったことはありますか?

鈴木:最初は弾き語りで録ろうと思っていたら、中山さんが「いや、今回は弾き語りじゃないほうがいい」と言ってくださったんです。弾き語りは、良さもあるけど、雰囲気がそこで出来上がってしまうというか、決まってしまうところがあるから、そうじゃない方が絶対に今回は面白い、と。

 

——祥子さんとしては珍しいアプローチでしたか?

鈴木:はい、弾き語りで録ってそこにひとり多重で何かを被せていくっていうのがわりと多かったんです。今回はまったくそうじゃなくて、ちょっと変則的な作業でした。でも、フォー・リズムでバンド・サウンドで録るっていうのはすごく久しぶりだったんです。

 

——中山さんは、なぜそういうふうにしようと思ったのでしょうか?

中山:僕が実際に祥子さんの作品として最初に関わった洋楽のカヴァー・アルバムは弾き語りでしたし、その後、祥子さんがラジオに出た時の音を録ったりもしましたが、それもずっと弾き語りでした。それで、そろそろそれなりにカロリーのあるものをファンとしては聴きたいというか、皆さんもきっとそうだろうな、と。もちろん弾き語りの良さもあって、祥子さんは歌だけでも十分に強いけど、そろそろ「おおー、来たな」っていうような、お腹がいっぱいになるような曲をやりたいなと。だから、「弾き語りはいつでもできるから、たまにはちょっとドラムを入れてみませんか?」みたいなアプローチをしてみたんです。

鈴木:スタジオならできる、というんじゃなくて、中山さんが録ってくださるからこその音を目指した、という感じですね。レコーディングでは、まずピアノ、リード・ヴォーカル、コーラスの順に401スタジオで録って、そこに私のドラムと名村武さんのベースを加え、さらに設楽博臣さんにギターを弾いていただき、最後に(トルネード竜巻の)曽我淳一さんにキーボードで味付けしていただきました。

 

——人選はどのようにして決めたのですか?

鈴木:名村さんは私が一緒にやりたいなと思ったんですけど、他のメンバーは中山さんの推薦です。

中山:ずっと一緒にやっていた曽我くんとはいまだに繋がりがあるんですが、曽我くんみたいな音のアプローチはいいと思っていたんです。それで、祥子さんのCDを聴いてもらったらすごく気に入ってくれたので、だったら、こういう感じのものを一緒にやったら面白いんじゃないかなと。曽我くんはギターの設楽さんとも関係が深く、僕も別の現場で結構やったことがあったんです。

 

——やってみていかがでしたか。

鈴木:スタジオ録音の醍醐味を非常に感じた楽しいレコーディングでした。中山さんがメンバーの方も推薦してくださったのもありますし、ビクタースタジオで録らせてもらい、中山さんがミックスをしてくださったっていうのもありますし、中山さんなしでは考えられない録音だったと思います。

 

——今回の新曲がお二人の共同プロデュースになっているのも、そういう流れがあったからなんですね。

鈴木:はい。中山さんとは、60年代に育った人の共通言語というか、音に対しての共通の感覚がある気がしていたんです。私が何にも言わないのに、意図を感じ取ってそれを音にしてくださるようなところがある。そのセンスをすごく感じたんですよ、最初にレコーディングしていただいた時に。

中山:でも、自分の録り方とか根本的なものは特に変わっていないんです。ただ、今回は共同プロデュースという形でやらせてもらったから、アプローチはちょっと特殊でした。普通はアレンジャーとプロデューサーがまずいて、作曲家からのデモも上がっていて、「こんな感じで」というイメージに合わせて僕が本番を録るわけですから。今回は、出来上がったものを完成させるのではなく、曲が出来上がっていく瞬間からアレンジも含め、積極的にアプローチできたということですね。

 

——実際にご一緒してみて、祥子さんをミュージシャンとしてどんなふうに捉えていますか。

中山:すごいなとは思っていたんですが、才能が想像を超えていたというか。曲作りの段階で、歌って弾いてという流れでデモを聴かせてもらいましたが、できてくる曲の感じにびっくりしたんです。この曲をさっき書いた人が、今度はこんな曲も書いてくるのかという、そういう凄さ。30年もやってきて、何枚もアルバムを出している中で、今まで聴いたことのないメロディーや曲が出てくる。何十年もやっている人って、仕方がないことなんですが、ワンパターンになりがちなんですよ。でも祥子さんにはそれがないっていうのが衝撃でした。レコーディングの前段階で「こういうアレンジにしたらかっこいいんじゃないか」とか、二人で話す時に出てくるイメージも、人並外れているというか。

鈴木:最初に中山さんに、デモテープの段階で送って聴いていただいたんですが、中山さんのディレクションって、その時は「えー、そうかな」と思っても、「ああ、こういうことを中山さんはあの時に言ってたんだな」ということに後から気がついたりするんです。細かいことで言うと、「サビのこの音がここまでいかないほうがいいんじゃないか」と言われ、自分で曲を作っているから「えっ、ここにいくのが良いのに」ってちょっと抵抗するんですけど(笑)、あとから流して聴いてみると「あっ、やっぱり全然そっちの方が聴きやすい」と。中山さんには、リスナーとしての耳と、エンジニアとしての耳の両方備わっているんです。オーディオ的に聴くんじゃなくて、感覚で聴くっていうか、音楽として聴くっていうか、そういう感覚があるので、中山さんはプロデューサー向きだなと。だから、安心して任せられました。「あ、すごいそれわかる」みたいな感じで共感しながら。そんな感じじゃなかったでしたっけ?

中山:感覚がすごく近いところはあります。だからその感覚があんまり違うと、「いやいや、違うでしょ」になっちゃうけど、これだけのキャリアのある人が「そうか」っていう解釈を持ってくれるっていうのはなかなかできることじゃないです。

鈴木:あ、また褒め合ってる(笑)。中山さんのおっしゃっていることはとても的確だからです。的確なことじゃなかったら、「えー、そうかな」って私も思っちゃうけど、中山さんのディレクションって、一周回って二周回って、「あ、本当だ」って。深いんですよね、聴いているポイントが。それはすごく感じました。

 

 

——今回も、祥子さんのこだわりや愛着の深いアナログ・レコーディングですね。

中山:最近は、壊滅したわけじゃないけど、アナログ・レコーディングは少ないです。自分としては、キャリア的にも年齢的にも、たまたまそういう状況に懐疑的になってきたという時でもあったんです。

 

——いい機会でもあったわけですね。

中山:祥子さんは、めちゃくちゃ“アナログな人”だから、こういう方じゃないとなかなかできない環境でもあったので、できるんだったらやりたいと思いました。

鈴木:カヴァー・アルバムを録っていただいた際、中山さんが最後のミックスの時に、プロトゥールスで録った音を最後にアナログに通してくださったんですよね。私がお願いしたんじゃなくて、中山さんが「うちにテープが偶然あって、今回の作品に合うと思うから、アナログに通してみたら?」って言ってくださって。私、すごく感動しちゃって。

 

——そうでしたか。

鈴木:はい。実は諦めかけていたんです。このご時世、お金もかかるし、手間もかかるので、アナログで録ることにずっとこだわってやってきたけど、「諦めなきゃいけないことなのかな」っていうのが自分の中であったんですよ。アナログで録れない、ってなったら、自分はミュージシャンとしてやりたいことが見つからないっていうか。アナログで録るっていうことにすごいモチベーションとかやりがいを見出して何年かやってきたけど、限界も実は感じていたんです。そうしたら、お願いしたわけでもないのに、中山さんに「テープに通してみた」って言われて。そこで感動が蘇ったというか、やっぱり自分はアナログで録りたいんだ、やりたい音というか、求めている音っていうのはそういう音なんだっていうふうに、そのときに思い出したというか。中山さんが結局そういうことを思い出させてくださったわけです。

 

——そうして生まれた新曲が「GOD Can Crush Me.」だったわけですね。歌詞は神様が題材で。

鈴木:はい、「ニュー・クリスチャン・ロック」と呼んでるんです。2019年にクリスチャンになりまして、クリスチャンとして音楽をやるにあたって、やっぱり神様に捧げて書くっていうのが一番主眼になったんです。ちょっと前に加納エミリさんとやらせていただいた「助けて!神様。〜So Help Me,GOD!」っていうポップな曲を書いたんですけど、今回はシリアスにしました。聖書で定められている「罪」では「姦淫の罪」や「異性の罪」は最も重いと言われているんですけど、その罪に対して自分の欲望とか愛とかがぶつかってしまう時がある。聖書的なるものと、自分の内にあるものがぶつかる時に、神に「どうしたらいいのでしょうか」とお願いしているという、そういうシリアスな罪と欲というか、罪と愛の葛藤みたいな内容です。私に限らず、クリスチャンにも限らず、たとえば良心と欲望じゃないですけど、何かと何かが葛藤するっていうことは誰もの心の中にあることかなと思って。これって「ある程度普遍的なことなのかな」と思ったから、クリスチャンだけに聴いてほしいわけでもないんです。心が葛藤して「苦しい、どっちに行ったらいいんだ」という時に、人ってやっぱり「神様」って言うと思うんですよね、クリスチャンじゃなくても。そういう瞬間の葛藤のことを書いたんです。

 

——ビートルズで言うと、ジョージ・ハリスン的ですね。

鈴木:最初は「You Can Crush Me.」っていうタイトルでした。「あなた」って「神」であったり、愛してる人であるのかもしれないし、二重写しになるような感じなんです。なので、ラヴ・ソングとして普通に聴いていただけたらな、と思ってます。

 

——曲調は荘厳ですが、ギターがグワーンと鳴るポップでハードな音像ですね。

中山:デモ音源の制作段階で、最近でもないけどエモ系はこういうのだと、ジミー・イート・ワールドを祥子さんに送ったんですよ。

鈴木:私、すぐ暗示にかかっちゃうんで(笑)、エモな感じが投影されていますね。

 

——コーラスも印象的ですよね。

中山:4声で、「Kyrie」の箇所は4声トリプル。なので、あの一瞬だけ、ぶわーってなる。

鈴木:ボーナストラックとして入れた「Kyrie」は、コーラスだけを抜き出していただいたんですけど、あれは自分のアレンジじゃなくてモーツァルトのレクイエムの「Kyrie」をそのまま歌っているだけなんです。スコアにある「Kyrie」の合唱の一部分をそのまま歌ってみたら、曲にすごく合致したから。

 

——それは祥子さんのアイデア?

中山:あの部分はもともとなかったんですよ。ちょっとあそこにスペースがあるから、何かを増やしたいなと。そうしたらあのコーラスが最後に乗っかってきたから、「おー、スゲーな」と思って。

鈴木:増やしていただいた時点では何を入れるのかまだ決めてなくて、ベース・ソロかなとか思っていたんですよね、普通に。

中山:ソロ・パートをね。

鈴木:ジャケットを撮ってくださったカメラマンのTajioさんが自宅に来られた時に、「モーツァルトのレクイエムを聴きたい」とおっしゃったので、それを流しながら撮影したんです。で、「Kyrie」が流れてきた時に、「あっ、これだ!」と。

中山:ピッタリはまってるんです。

鈴木:コード進行も、「Kyrie」はDマイナーで「GOD Can Crush Me.」はDメジャーなのに、不思議と、なぜかはまったんです。そういうことってよく起こるんです、違う場所で違う人からヒントをもらうということが。今回も、中山さんから「エモ・コアいいよ」って言われて曲を書いて、何か8小節増やしたい。。。と思って増やしていただいて。撮影の時にTajioさんに言われてモーツァルトを聴いたら「Kyrie」がハマった。何でしょう、私が作っているというよりも、いろんな方の感性が合わさっているのかなと。

中山:祥子さんって、そういうフックを逃さず、ピッと手を出せるタイプなんですよね。

鈴木:でも、やっぱりいろんな人の感性が入っている曲というか、いろんな人の感性のその時の閃き——煌めきというか、そういうものを私は拾っているだけで、自分で音楽を作っているという意識が年々なくなっていくんですよ。肉体を通してやってるのは自分かもしれないけど、自分だけで作っているとは思えないんですよね。

 

——知らぬ間にそうなっている感じだと。

鈴木:近いです、すごくそれに。導かれるがままに行ったらこうなったというような。本当に大枠の大きな道に導いてくれる力みたいなものを私は信じていて、音楽っていうのもまさにその力だと思うんですよね。中山さんに出会えたのも「主が出逢わせてくれた」というところがすごくあると思うから、それに従って、音楽に正直に、音楽に導いてくれる力に正直にと。中山さんはその辺りはどうですか? 「どうですか?」って訊かれても困りますよね(笑)。

中山:やっぱり「縁はあるな」とすごく思うし、実際に今回のレコーディングは、全然構築していないんですよ。エモっぽいっていうキーワードはあったかもしれないけど、全然アレンジするつもりもなかったし。曽我くんにしても設楽さんにしても、何にもヒントを与えられないまま、いきなりボンっとやってあの音が出てきたんです。設楽さん、ギターを一本しか持ってこなかったし(笑)。もう決め打ちで来ているんですよね。実際にすごく曲に合ったギターだし、天才なんですけどね、あの人は。一発で弾いてああいう感じだったから。何日も何日もアレンジを考えて、ダビングをしてとかはなく、たった1日でこうなったから、不思議な力を感じますね。

鈴木:中山さんにピンク・フロイドを聴かせていただいたんですよね。『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン(狂気)』。ピンク・フロイドは初めて聴いたんですが、そうしたら設楽さんが何にもそんなことを知らないのに、「なんかピンク・フロイドっぽいですね」って(笑)。

中山:「ああ、なんか感じるものがあるんだな、この人」と思った(笑)。

鈴木:説明しなくても音で通じ合うというか、心で通じ合うというか、音を作る心っていうか、聴く耳っていうか。新曲は、それだけで出来上がっていったような感じがします。

 

——“ネイキッド・ミックス”も、ボーナストラックとして入っていますね。

鈴木:はい、最初に401で録らせていただいたヴァージョンを入れたいと思って。バンド・サウンドになるとこうなるっていう。遠近感みたいなのを感じてもらえればと。

中山:そもそもピアノの弾き語りだから、リズムの揺れが尋常じゃないんですが、名村さんとの息がビタっと合っている。だからこそ、ドラムとベースが抜けてもちゃんと成立している。同じ曲なのに、入っている意味がすごくあるんです。

 

——カップリングの「NO FEAR / あいすること」(坂本真綾への提供曲のセルフ・カヴァー)も同じように録ったのですか?

鈴木:あれは、自宅でピアノと歌を一緒に録りました。中山さんが録音とミックスを手掛けているTAPE ME WONDERという素晴らしいバンドの曲に私のピアノをダビングすることになり、中山さんが自宅に来てくださったんです。その最後、帰り際にお願いしました。でも、全然声が出なくて、今日はやめたほうがいいんじゃないって中山さんに言われて、ちょっと難しいかもってなったんですけど、収録した1テイクだけが大丈夫だったんです。

中山:火事場の馬鹿力が出たんです、最後の最後で。「うお!」っと思った。

鈴木:あと一回だけやらせてください!って言って、そしたら声が出た(笑)。その後、曽我淳一さんがダビングをしてくださった。キーボードのあの不思議な世界を。「弾き語りでピアノだけだとオリジナルと一緒になっちゃって面白くないから、曽我くんの世界観でいろいろ入れてもらわない?」って中山さんが言ってくださったんです。

中山:合いそうな気がしたんですよ。曽我くんの世界観のまんまなんですけど。“まんま”が良いからってお願いして。

鈴木:「NO FEAR / あいすること」には「とても怖いけど、大丈夫」という歌詞があり、真綾さんに提供した時に、「このフレーズ、良いですよね」って言われたんです。何が出てくるかわからないし、どういう結果になるのかもわ分からないけど、でも大丈夫だと思える——今の自分の気持ちそのままというか、音楽に対しても、人生にも、今はそんな感じがしているんです。

 

 

【作品情報】

アーティスト:鈴木祥子
タイトル:GOD Can Crush Me.
フォーマット:7インチ・レコード
品番:BEEP-005
販売価格:2,750円(税込)
発売元:BEARFOREST RECORDS
発売日:2021年7月28日(水)

BEARFOREST RECORDS
http://www.bearforestrecords.com/