Last Update 2023.12.27

Interview

Record Store Day 2021《RSD Drops》開催記念 レコードショップZOOM座談会

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コロナの影響で今年も「Drops」として2ヶ月連続で開催されるレコード・ストア・デイ。ウィズコロナの時代に格闘するお店の方々のたゆまぬ努力もあり、今年もそれぞれの店舗でレコード・ストア・デイのアイテムが並ぶことになる。

さて、すっかり毎年恒例になったこのレコ屋店主対談、今年は通販時代を含めると30年の歴史を誇る東京・池袋の老舗「だるまや」の萩原貴久さん、東京・下北沢の「PINK MOON RECORDS」から、おなじみサニーデイ・サービスの曽我部恵一さん、そして、愛知県・豊川市に去年コロナ禍の8月にオープンした「LiE RECORDS」の平松章也さんにリモートで繋いで話を伺った。それぞれの地域に密着したお店のあり方は、レコードの販売という枠組みを超え、生活と文化という大きなテーマを浮き彫りにしていることがわかるはずだ。お店で会おう! とはなかなか大声では言えない昨今だが、レコードのあるところに文化は育つ、そう確信できるトークセッションになっているのでぜひご一読いただきたい。

 

参加者:
だるまや 萩原貴久さん
PINK MOON RECORDS 曽我部恵一さん(サニーデイ・サービス)
LiE RECORDS 平松章也さん

司会/進行:岡村詩野

 

──「LiE RECORDS」の平松さんは曽我部さんと実はミュージシャンとして会ったことがあるのだとか?

平松:そうなんです。2017年の『芋煮ロックフェスティバル』に曽我部さん出てらっしゃったじゃないですか。僕も実はあのイベントに、「小田島等と100%」というユニットでシンセサイザーを弾いていたんですよ。

曽我部:そうなんだ! いろいろ話しましたよね? あの頃は東京にいらしたんですか?

平松:いや、あの頃から愛知県にいて。それで、今は地元でレコード屋さんを始めたというわけなんですよ。

萩原:僕はお二方とも初めてです。今日はよろしくお願いします!

曽我部:僕、大学池袋だったんで絶対にその頃遊びに行ってますよ。池袋のレコード屋さんや古本屋さんはほぼ行ってたんで。お店はずっと池袋なんですか?

萩原:そうですね。池袋の東側で26年……通販時代を入れると今年30周年なんです。

曽我部:素晴しいなあ。

平松:僕はまだ伺ったことがなくて。でもHPはいつも見せてもらっています。楽しいですよね。

曽我部:HPで対談とかやってますよね。

萩原:YouTubeチャンネルでやっている企画ですね。スタッフにミュージシャンもいるのでなんかみんなで盛り上げていこうって感じで……こんなコロナ禍でもやっていかなきゃいけないんで。曽我部さんも今度ぜひ一緒に何かやってくださいよ!

曽我部:あ、もういつでも!

 

──「だるまや」さんはクラフトビールの販売も始められましたよね。

萩原:そうなんです。年末に今の場所に移転して、そこからクラフトビールも販売するようになって。今はレコード買いにきてクラフトビールも合わせて買っていってくれる方もいますし、逆にビールを目当てで来てくれる方もいますね。

 

──そもそもなぜクラフトビールを?

萩原:僕が好きだからです!(笑) レコードと一緒です。レコードが好きでレコード店を始めて、クラフトビールが好きでビールも扱うようになった。なんかね、似てるんですよツボが。どっちも集め出したら止まらないという。レコード・ファンならクラフトビールもハマってくれると思っています。

曽我部:「食べ物と文化」……いいのかもしれないですね。僕もカレー(「カレーの店・八月」)とレコード(「PINK MOON RECORDS」)、やってますけど、カレー食べに来て、ついでにレコードも見て帰ろうか、みたいな方いますよ。で、そのあと喫茶店寄ったり。

萩原:僕もそうです。レコードを売ってきたわけすけど、最終的には作り手の思いとかを届けたい。クラフトビールもそうで、大資本に頼らずマイクロブリュワリーで作られたビールには醸造家の思いがある。そのあたりレコードと似てるなって思いますね。

曽我部:マイクロブリュワリーって大きなタンクが必要だったりするんですよね?

萩原:いや、個人でやってる方は家のキッチンでやってらっしゃいますよ!

曽我部:へえ! アシッドフォークのプライベート・レコーディングみたいなものだ!

萩原:実はホームブリューイングのキットみたいなものが売ってるんですよ。近いうちにウチもオリジナルのクラフトビールを作りたいと思っているんです。実は池袋地区の飲食店が一緒になってショート・ムーヴィー*を作る予定になっていて。ウチも少し関わるので、そこに間に合わせてオリジナルのクラフトビールやグッズを作ろうかと思っているんです。

曽我部:やりますね~!

平松:すごいなあ。

萩原:チャレンジするレコード屋でいたいんで(笑)。

曽我部:生活の中で自然に文化を売る店ってことですね。

萩原:曽我部さんも下北沢に密着してやっていらっしゃいますよね。

曽我部:いやいや、憧れますよ、そういうスタイルに。ビールを買いにくるとかカレーを食べにくるついでにレコードも……って最高じゃないですか。おじちゃんやおばちゃんがビール飲んでる傍らに、レコードを探す若いディガーがいて。「あのコたちレコードなんか探してて面白いわね~」とか「イーグルス懐かしいから買って帰ろうかな」みたいな。そういうのが自然な在り方ですよね。

萩原:だから今、すごく楽しいです。仕事をしてて。

曽我部:僕も昔、自分の店でバーテンをやったりしたんですよ。今は飲まなくなったんですけど、バーのカウンターに立ってるとつい飲んじゃって酔っ払ったりしちゃって。そういうのはないんですか?(笑)

萩原:仕事中は飲まないんでねえ(笑)。仕事終わりにスタッフとかと一杯やったりはしますけど。ただ、ビールのついでにイーグルスじゃないですけど、そのクラフトビールに合ったレコードを紹介するような、何かもっと結び付けられるようなことができたらいいなとは思っています。音楽方面の切り口でクラフトビールのファンを増やしていきたいですね。

 


だるまや 萩原貴久さん

 

──一方、「LiE RECORDS」さんはまだ開店から1年未満、去年8月にオープンです。そもそもなぜコロナ禍にお店を始めようと?

平松:いやもう成り行きで(笑)。好きなものはレコードしかないからやろう!って感じで、思い立ったタイミングがたまたまその時期だったんです。去年(2020年)の頭くらいに「レコード屋やりたいな」って思ったんです。で、そこからトントン拍子でオープンまで進んでいったんです。ただ、一つだけ、ウチは通販をやっていないんです。むしろ、お店に遊びに来てもらいたい、近くの界隈の方々に気軽に寄ってもらいたいという思いでやり始めた感じですね。だから、今も僕は定休日に銭湯の番台のアルバイトをしたりもしているんですよ。

曽我部:番台って、素人男子がパッと立てるんですか?(笑)

平松:いや、さすがに中が見えないところにいるんです(笑)。

曽我部:ああ、よかったよかった。ちょっとドキッとしました(笑)。

平松:でも、その銭湯のアルバイトでも、ポータブルプレーヤー2台持っていってDJみたいなことしているんですよ。ジャズのレコードをかけたりして。

萩原:やっぱりそういうことやってるんだ(笑)。音良さそうだよね、銭湯って天井高いから。

平松:そうなんです。小さい音でもいい雰囲気になりますね。

曽我部:「LiE RECORDS」さんて、レコードプレーヤーも売ってるじゃないですか。で、買ってくださった方を「初めてのレコードプレーヤー」みたいにしてHPで紹介したりしてますよね。あれは本当に素敵だな、素晴しいなって思いますね。

平松:ありがとうございます! やっぱり近所の方とかで、レコードに興味はあるけど、どのプレーヤーを買ったらいいかわからないって方、多いと思うんですよ。そこで明確にちゃんと紹介してあげられるといいなと。安いものだと10000円以下で買えるようなものも置いてあるので、このくらいのものでも遊べるよ……みたいな感じで気軽に買っていってもらえればなと思っています。ウチの店、実は友達の事務所の一部を間借りしているんです。だから、お金がないなりにできる方法、やりたいことをやっていってる感じなんですよ。だから、親子連れや近所のおじいちゃんおばあちゃん、愛知県以外からのディガーの方とか、結構多種多様な方が来てくれていますね。買い取りもありがたいことに結構あって……。ただ、一度、レコードの中に違う盤を間違って入れて売ってしまったことがあって。お客さんは許してくださいましたけど、確認不足だったなあって反省しました。

曽我部:そういうミスなら僕もありますよ。ウチは小さな店だってこともあってポップが全部手書きなんです。で、10000円のレアな商品に、間違えて1000円って書いちゃって。

萩原:あ~!

曽我部:それが目の前で売れちゃった。「あ、それ間違いです!」って言えないじゃないですか(笑)。その晩はちょっと寝れなかったですね。

萩原:わかります。僕もそういう値付けのミスは今まで結構やってきました。今でこそレコードの値段ってインターネットで簡単に調べられますけど、昔は店によってマチマチだったから、相場より安く売っちゃったりして……まあ、それが面白かったりするんですけどね。

曽我部:もともと僕はレコード屋さんをやろうとして始めたわけじゃないんですよ。3階建てのビルの1階と2階をカレー屋さんとして借りて、3階もすごく狭いから家賃も安いので借りたんですよ。で、「ここでトークイベントとかちょっとしたアコースティック・イベントができたら……」って思っていたんですけど、コロナになってイベントなんてとんでもないってことになって。それで、「CITY COUNTRY CITY」(同じ下北沢にある曽我部がオーナーのカフェ)でもレコードを扱っていたので、ここに持ってきてレコード屋でもやる?ってところから始めた店なんです。だから、値段のこととか買い取りのこととか、どういう値段で売ればいいのか、どういう値段で買い取ればいいのか……みたいなことを全く知らないところからスタートしたんですね。でも、レコード屋って勉強にもなるんですよ。例えばそれこそイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』とかって、まあ、普段家でそんなに頻繁に聴かないわけですけど、店に出す盤のポップを書くために改めて聴いてみると発見がある。全然聴いてこなかったレコードも改めて聴くと、ああ、いい曲あるなあって気づいたりするし。もちろん、家賃と人件費をいかに捻出するか……という運営面での側面もありますけど……でも、たま~に行くとあの店何かあるんだよね……みたいな感じの店になればいいなと思って。毎日の積み重ねの上にあるので、ちょっとずつ頑張ってやっています。

 


PINK MOON RECORDS 曽我部恵一さん(サニーデイ・サービス)

 

──曽我部さんの場合、普段ミュージシャンであり、レーベル・オーナーでもある、という多様な側面を持っていて、今度は音楽を直接売る小売店の立場にもなったわけですが、そういう中から見えてくるものはありますか?

曽我部:やっぱり音楽のソフトをお金を出して買う人たちを目の前で見る、ということですよね。僕は作品を作って流通させて生活をしているわけですけど、実際に買っていく人たちの顔が見られるっていうのはすごく大きいんです。財布の紐が固いか緩いか……みたいなのも直接わかる。このくらいの値段なら嬉しそうに買って行ってくれるな、とかね。あとは、僕自身のレコードを並べたらサインを欲しがってくれる人がいるし、そうしたらサインしてあげた方がいいな……とか(笑)。アーティストであるってことは個人の頭とか心に閉じこもる仕事ではあるんですけど、実際に聴いてくれるのはお店に来てくれるような人たちなんですよね。だから、「どこでもドア」じゃないですけど、開けたら売り場が見えるっていうか、いろんな気づきがあるんです。やっぱりみんな、いい音楽を求めている。ただ、流行ってるとかレアだってことじゃなくて、いい曲が入っているいいレコードを本当にみんな探しているんだって。そういうシンプルなところが一番大事なんですよね。作る側としては新しかったらいいんだとか過激だったり急進的だったりすれば……みたいなのってあるんですけど、実際は「A面3曲目のあの曲がいいんだよね」みたいなところからお客さんはレコードを買っていくんです。現代音楽のすごくエッジーな作品を推しても、お客さんはすごくいい曲が入っているレコードを買っていくんだ……ということはわかったかな。

 

──実際に「PINK MOON RECORDS」は決してマニアックではない、オールジャンルで“誰でも知ってる有名なあのアルバム”がたくさん置いてありますよね。しかも小さなお店だから自然とコミュニケーションが生まれる。

曽我部:そうですね。逆に言えば、誰でも知ってるカーペンターズのアルバムが買い取りで入ってきたら、それをなんとかして売らないといけないんですよ。でも、そういう機会に改めてカーペンターズを聴くと、すごくいいんですよね。で、こんなにいい音楽はやっぱり一家に1枚あった方がいいだろう、という気持ちでポップを書くわけです。実際、それで買って行ってくれる人がいると嬉しいですしね。

萩原:今、店頭でレコードを買うような時代じゃなくなってるのかもしれないですけど、でもやっぱりお店に行きたいって方はいるんだなって実感しますよね。カウンター越しにお客さんとレコードの話をしたりすると、特にそういうのは感じます。「あ、こういうのが欲しいんだな」って気づいたり……。

曽我部:わかります。前にウチの店に、パリピみたいな男子が二人で来たんですよ。何を買うのかなあって見てたら、そのうちの一人が加川良さんの『親愛なるQに捧ぐ』を買ってったんですよ。それが僕すごく嬉しかったですね。もし、そのコを街で見かけても、たぶん自分とはあまり関わりのない人だって思っちゃうと思うんですよ。でも、加川良が好きな人なら仲間じゃん!って思うわけです(笑)。こういう見た目の人はこういう感じの音楽が好きなんだって凝り固まっちゃうとダメだなって思いましたね。

萩原:僕だったら聞いちゃうなあ。「なんでこのレコード買うの?」って。

曽我部:「どこで知ったの?」とかね。

萩原:それで思い出したんですけど、先日、10代の女の子が店に来て、お父さんにレコードをプレゼントするんですって言って探してたそうなんですよ。その時は、僕、たまたま店にいなくてスタッフに後から聞いたんですけど、そういうことって結構あるんですよね。親子で買いにきてくれた人が、また別の日に今度はお母さんが一人でやってきてビートルズの赤盤と青盤が欲しいのよねって言って買ってってくれたりして。レア盤が売れたりするより、そういうことがあると嬉しいですよね。

曽我部:僕の音楽のファンの方が息子を連れてきて、「コイツの初めてのレコードを選んでください」みたいに頼まれたこともありましたよ。すごい責任重大で。結局、考え抜いてエルヴィス・プレスリーがサン・レコードから最初に出したLPを選んであげましたね。「今わからなくてもそのうちわかる」って。でも、難しいですね、選んであげるのって。その男の子の場合だと、その世代の頃に自分も戻っていかないといけないじゃないですか。自分が10代の頃、何に感動したか?ってことにシンプルに戻っていく必要がある。その時は、そうやって戻ってみたらエルヴィス・プレスリーにたどり着いたんですけどね。

 

──自分の好きなミュージシャンに、自分の息子のためのレコードを選んでもらえるなんて、すごく贅沢なことですね。

平松:羨ましいですよね。僕も「最初の1枚を選んでください」って頼まれたりするとすごく迷います。ついついビートルズの赤盤と青盤を選んであげたり。そういう日本盤の名盤を1000円以下……500円くらいで売ってあげられたらいいなって思いますね。

萩原:赤盤・青盤、初めての方にはいいですよね。安いし手頃で。ウチでも結構売ってきました。

平松:逆に、かつてレコードを聴いていた世代の方々も戻ってきているんですよ。ウチにレコードを買いにきてくれるようになったりして……10人くらいのおじさん世代の方がレコードに復活しましたよ(笑)。

曽我部:素晴らしい!

平松:「久しぶりに近所にレコード屋ができて嬉しいよ」って言ってくれて。豊川市にはここのところレコード店がなかったんですよ。隣の豊橋市には10年くらい前に「ラビット・フット・レコード」って名店があったんですけど、そこからはしばらく近隣にはあまりなかったんです……。浜松にはあったりしますけど、ちょっと距離があるんですよね……。

萩原:実は僕、浜松出身なんですよ。

平松:そうなんですか!

萩原:95年に池袋で最初に今の「だるまや」を始めるにあたって、「ラビット・フット・レコード」の小川(真一)さんにレコード借りましたよ。

平松:小川さん、今、よく店に遊びに来てくれるんですよ。

萩原:ぜひよろしくお伝えください(笑)。

 


LiE RECORDS 平松章也さん

 

──今日は地域ネタが多くて面白い話が展開されていますが、ツアーやライヴで地方にいくことが多い曽我部さんはたぶんこの中では一番日本中のいろいろなレコード店を訪ねていますよね。

曽我部:そうですね。だいたいライヴにいくとその町のレコード屋さんを探して遊びに行きます。こないだも熊本に行った時、2~3時間いたかな、同じ一つの店に(笑)。そしたら、そこの方が知り合いでした。以前は別のお店にいた方が、独立されてそのお店を立ち上げられていたんです。すごくいいお店で、その時もたくさん買わせていただいたんですけど、地方のお店って、だいたい店主の方の個性がすごく出ていることが多いんですよね。クセがあるというか味があるというか。

平松:わかります。独特の空気感みたいなの、ありますよね。

曽我部:東京だとカフェだけど、地方だと喫茶店、みたいな。僕は、でも、そういうクセの強い店が好きですね。クールな感じの店、東京にはたくさんありますけど、店主の人の味が出ちゃってるなって店の方が好きだなあ。僕、レコードのあるところには絶対にいく、そういう風に心がけてるんですけど……。

平松:「心がけ」(笑)。

曽我部:そう、心がけてるんです。でも、そうすると、とんでもない出会いが訪れるんです。あるラジオ局で、もう閉めるからってレコードライブラリーのところから好きなだけ持って行っていいよって機会をいただいたこともあるんです。その時に、金延幸子さんとかもういろいろいただいてきました。抱えきれないくらい。今思えば、10tトラック呼んで回収すべきでしたけどね(笑)。

 

──「PINK MOON RECORDS」には今もそうやって曽我部さん自身が買い集めたもの、買い取ったものが並んでいるんですか?

曽我部:そうです。あとは、自分の所有レコードから、アメリカ盤とかイギリス盤とか別々に複数枚持ってる場合は、好きな盤だけ置いて店に出すようにしてますね。

萩原:今、コロナ禍だから、家を整理してレコードを売りにくる方、多いですよね。ただ、正直、コロナになってからは厳しいですね。ウチも去年は売り上げ落としましたし、先月も協力要請で閉めていましたし……。でも、もう元には戻らないんじゃないかなって思っていますけどね。そういう意味では通販もやっていかなきゃいけないし。ただ、それだけに、お店に来ていただける方は大切にしなきゃなって思いますね。だからこそ、YouTubeチャンネルやブログやSNSもマメにやってますし、クラフトビールもそうですけど、お客さんが店頭に来てもらえるようなアイデアはどんどん出してやっていきたいと思っています。初心に戻って商売をやってるって感じですね。でも、売り上げは下がっちゃいましたけど、さっきもお話したように、今、レコード屋やっててとても楽しいです。

平松:そうですよね……ウチも春先とかはすごくよかったんですけど、ゴールデンウィーク明けくらいにはパタッと(客足が)止まって。こりゃ今月の支払いキツいぞ~って思っていたり(笑)。でも、そうかと思えば、1日に何十人とお客さんが来てくれたりもして。正直、見えないですね……。

 

──さて、今年のレコード・ストア・デイも「Drops」となりましたが、それぞれどのように展開する予定でしょうか?

曽我部:ウチも「LiE RECORDS」さんと同じ、今年初めてなので手探りでやってみて、この先どういう風にしていこうか……って考えていきたいと思っています。ただ、今年は僕がプロデュースした作品(れいちも「愛の武器よ!」)があるので、その作品はもちろんウチでも扱います。あとは、僕自身がミュージシャンなので、これからはこのレコード・ストア・デイに販売できるよう、サニーデイ・サービスとかのレコードをエントリーできるようにしたいなと思っています(笑)。来年こそは……と!

平松:ウチはなるべく大勢の人に楽しんでもらえるように、広くいろんな作品、多くのアイテムを扱うようにするつもりです。もちろん細野晴臣さんとかは少し多めに入れますけど、地域の方が遊びにきてくれるので、1枚ずつでもいろいろな作品を並べたいですね。

萩原:ウチはもうピンポイントで。アイテム数より、ウチで扱いたいと思えるものを毎年販売させていただいています。僕自身、ここ5、6年やってないですけど、ずっと池袋のレコードフェアのオーガナイズしてきたので、そういうイベントは本当に大事だと思っています。レコードを買う方が喜んでもらえるような仕掛けを考えていきたいですね。

曽我部:「だるまや」さんでレコードを買ったら、ウチの「カレーの店・八月」で「だるまや」さんで買ったクラフトビールがディスカウントで飲める……とかね!

萩原:いいですね! いつかやりたいですね!

 

だるまや

〒170-0013 東京都豊島区東池袋2-59-7 松山ビル1F
https://recordstoreday.jp/storeinfo/だるまや/

 

PINK MOON RECORDS

〒155-0031 世田谷区北沢2-14-19 3F
https://recordstoreday.jp/storeinfo/pink-moon-records/

 

LiE RECORDS

〒442-0045 愛知県豊川市駅前通4丁目18
https://recordstoreday.jp/storeinfo/lie-records/

 

*池袋に点在するカフェ・バーと、店舗ゆかりのインディーズ監督が映画製作を通してコラボレーションする企画「巡る×シネマ×カフェ」。第三弾「だるまや×山口ヒロキ」は20221月公開予定。

 

RECORD STORE DAY JAPAN オフィシャルサイト
https://recordstoreday.jp