Last Update 2023.12.27

Interview

水原佑果、RECORD STORE DAY JAPAN 2019ミューズ就任記念インタビュー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

慣れた手つきでサクサクと盤を手探りしたり、棚をキョロキョロと覗き込んだり。「これほしい!」とか「う~ん、今日は諦めようかなあ…」などと一喜一憂してみたり。撮影ともなれば、あいにくの悪天候もなんのその、アナログの7インチ・シングルを両手に持って、まるで『雨に唄えば』のジーン・ケリーのようにポーズをとってステップを踏む。「7インチって可愛いですよね! 7インチだけでDJとかやってみたいな」と目尻を下げる彼女。その様子はまるで子供のように無邪気だ。

今年度から設定されたRECORD STORE DAY JAPANのミューズ、その映えある初代に選ばれたのはモデルとして活躍する水原佑果。自らDJとしてクラブでスピンすることが多いこともあり、普段からしょっちゅうレコード・ショップに足を運ぶのだだそう。そんな彼女にレコードへの愛着や思いを話してもらった。

取材・構成:岡村詩野
写真:平間至
動画:飯田康寛
取材協力:GENERAL RECORD STORE (https://generalrecordstore.com)

 

――そもそも音楽好きなのはお父様、お母様の影響が強いらしいですね。

水原「そうなんです。小さい頃からいつも家でいろんな音楽がかかっていました。マーヴィン・ゲイを中学の時にずっと聴いていたりしました。同い年の友達とはそういうところは話が全然合わなかったですね(笑)。でも、両親はレコードで聴いていたわけではなくて。私自身もレコードを買ったり集めたりするようになったのは3年くらい前からなんです。テイ・トウワさんの「LUV PANDEMIC」のPVに出演させていただいた時、メイクをやってもらっている際に、クール&ザ・ギャングやアース・ウィンド&ファイアーとかをかけていたら、テイさんが「それならレコード買って聴いてみたら? 楽しいよ!」って言ってくれて。そこからですね。今は7インチ(・シングル)をいっぱい集めています」

――そこからただ聴くだけではなくDJを始めたきっかけというのは?

水原「はい!始めはテイさんに誘っていただいたことがきっかけでした。テイさん主催のレコードオンリーのDJイベントにミュージック・セレクターとして参加させてもらって、最初のプレイの時、緊張しすぎちゃって手とか震えちゃって途中で音止めちゃったんです(笑)。でも、そこにいる人たちとみんなで同じ音楽を共感し合えてとても気持ちが良かったです!

雨の日のムードの時はわりと静かで心地のいいリズムのサウンド、例えばジャズやクラシックやイージーリスニングサウンドを聴きたくなっちゃう!最近はMichel Legend やBob Thompson orchestraあと Oscar Peterson TrioのVolareをリピートしてます。晴れの日にはハッピーなミュージックを聴いてモチベーションをあげてみたり。 JoseFelicianoやMalphinoのアルバムはお気に入りです!

最近は好きなフェスやクラブでDJトライしてみたいなって思っていたら、「ぜひDJやってください」って、お声をかけてもらえるようになってほんとに嬉しいです!!とっても幸せを感じます。常にフロアで踊ってくれる人達のテンションを見てみたりあとはいろんなDJのパフォーマンスを聴いて吸収したりするのがとっても楽しいです。音楽、レコードを通して常に喜びや発見の日々でとても人生充実している気がします」

――レコードって録音時期やスタジオ、エンジニアによってレヴェルが全然違ったりして、DJでつなげる時には、テンポとかリズムだけではなく、そのあたりも結構難しかったりしますよね。

水原「そうなんですよ!レコードあるあるなんですけど、音が割れてたり、針飛びしていたり……。でも、気にしないです!それもそれで味だなあって思うし、完璧じゃないのが逆に面白いですよね。今日はこんな感じでの選曲でいこうって決めて持っていっても、実際にはムードと合わなくて、「あのレコード持ってくればよかった!」って後悔したり。「これは間違いない、絶対もりあがる!」っていうのは持っていくようにしていますけど、その時その時のムードは常に変わっていくし、あくまで感覚ありきなので、本当にやってみないとわからないですよね……でも、DJってそこも面白いんですけどね!」

 

――同じ世代で好きなDJとかはいますか?

水原「KANDYTOWNのDJminesatah君とmasato君のDJを見たときとても刺激をうけたんです!気持ちと音楽がリンクしているのを感じて。渋くてカッコいいレコードをたくさんプレイしててとってもテンションが上がりました!レコードラヴァーは奥が深いですね」

 

――やっぱり好みとしてはブラック・ミュージックがメインなんですか?

水原「音楽のジャンルもムードによって日々変わっていくので、結構ランダムなのですがやっぱりソウルは大好きで一日何曲か必ず聴いている気がします!DJの時とかはアース・ウィンド&ファイアーやマイケルジャクソンは絶対にかけたくなっちゃう!かんぺきなグルーヴがたまらなくて、ジェームス・ブラウンとかWARとか!彼らのライヴ・アルバムのレコードをゲットして聴いてみたとき、ああ!生で体感したかったな~」って本気で思っちゃう(笑)。

でもレコードを聴いていくうちにだんだんタイムスリップしてるみたいな感覚がしてその瞬間がとっても心地よくて好きだなぁ。音って不思議だなぁと思います」

 

――モデルのお仕事で色々な町を訪ねたりすることもあるかと思いますが、そういう旅先でもレコード・ショップを覗くことを欠かせないそうですね。

水原「そうですね。DJイベントに呼んでいただいたときにその街にあるレコ屋を探したりします。ネットで調べたら沢山レコード屋さんが出てくるのでもっといろんな所にディグしに行きたいです。東京では下北沢のフラッシュ・ディスク・ランチとかにもよく行きます。一回行ったら3時間くらいかかっちゃうんですけど…無限に欲しいものが出てきてお金がいくらあったとしても足りないです(笑)」

――店に入ったら真っ先に見るコーナーってあります?

水原「ソウルやロック、あとはYMOチームが作ったり携わっているものを探します!持っていないものがあったら絶対にゲットしなきゃって思っちゃう!

最近はシーナさんの細野晴臣さんプロデュース「いつだってビューティフル」という素晴らしいアルバムを見つけてとっても幸せです!」

 

――立ち入ったことをうかがいますが、中古レコード1枚に払ったこれまでの最高価格はおいくらなんですか?(笑)

水原「1万5千円くらいかなあ……安いですかね?(笑)レコードってモノによるけど、すごくレアなモノって桁違いに高価ですよね!」

 

――全く安くはないでしょう!(笑) ちなみに、おうちではそういうレコード・コレクションをどういう風に飾ったり収納したりしてるんですか?

水原「まずはYMO様とテイトウワ様のコーナーが棚の上の方に(笑)。あとはレコードの中に入っているポスターやカレンダーを壁に飾ったりしてます。最近レコードが増えすぎちゃったから、選別してフリマしたいなと思ってます。」

 

――レコードはCDやストリーミングと違って簡単にスキップさせたり、プレイリストのようなものを作ることもなかなかできなかったり、逆にA面とB面をひっくり返したり、と、いろいろ所作含めて手間がかかりますよね。でも、それが却っていとしい、みたいな気持ちはありますか?

水原「そうですね。A面B面ひっくり返しながらアルバム聴くのって、全体を深く知れてとっても面白いです!アルバム全体を通してバンドの製作意図も感じられたり。

私はドリーミーな物語をみているような世界観のレコードがとっても好きで 最近は南佳孝さんの冒険王のレコードを聞き入っちゃってます」

――例えば、今背後に並べられてるジャケットの中で、聴いたことのないものでジャケットでピンとくるものってあります?

水原「(振り返って)迷いますね……そうだなあ……これとか気になりますね。オシャレなジャケットですね」

 

――パール・ジャムですね。ロック……90年代以降に大ブレイクしたオルタナティヴ・ロック系のバンドです。

水原「へえ!カッコイイ!とてもアーティスティックですね。ジャケのアートワークってそのレコードをゲットするかしないかの時にすごく影響されますよね!好きな雰囲気だなと感じてゲットして聞いてみると、よくドンピシャリとハマったりすることがあって!

たくさんある中で私のお気に入りは横尾忠則さんがアート・ディレクションを手がけられた細野晴臣さんの「はらいそ」です!これは永遠の宝物だな」

 

――じゃあ、ゆくゆくは自分でレコードも出してみたり?

水原「はい!いま試行錯誤してます!自分の気持ちをうまく言葉遊びしながら、面白可笑しく歌とリンクさせて作りたい。あと私、ミステリアスな宇宙の世界観が好きなので宇宙スピリットもどこかに取り入れたいな。あとは自然があふれるあらゆるところにアドベンチャーして、いろんな生き物と出会って音を録っていきたい!それらを組み合わせて綺麗なメロディーのハーモニーや心地の良いビート、音を作るのが目標です!もしレコードを出すとなったら、きっとレインボーカラーでハート形のレコードにします!」

 

――では、最後に、水原さんが自分でRECORD STORE DAYに何かイベントを企画できるとしたら、どんなことをやってみたいですか?

水原「そうだなあ……ちょうど4月で春だし、外でピクニックみたいな感じでレコードをかけたりするようなことがやってみたいですね。気持ちのいい季節だから、海辺でもいいですね。風や波の音とかと一緒に聴いて音楽を楽しんだりできたらいいな。で、もちろんDJは私がやります!(笑)」

RECORD STORE DAY JAPAN オフィシャルサイト
https://recordstoreday.jp