加納エミリ 1stアルバム『GREENPOP』発売記念、全国ツアー直前インタビュー
ネクストブレイクが囁かれるシンガー・ソングライター、加納エミリの傑作ファースト・アルバム『GREENPOP』のレコードが(発売延期の末に)遂にリリース。当サイトではバイオグラフィーを追った前回のインタビュー以来、二度目の登場。今回は本人の希望もあり、全曲解説という形でロング・インタビューをお送りする。実際のところ、加納エミリは果たしてどこまで「NEO・エレポップ・ガール」なのか!?
取材・文:南波一海
写真:畔柳純子
――リリース前に作られたプロモCDと実際にリリースされたCDではミックスが違って、リリースされたものは加納さんが自らやり直しているんですよね(※レコードとカセットはプロモ盤のミックスを採用)。
加納:パッと聴いてすぐにわかるくらいには変わりましたよね。プロモ盤のほうはかなりナローというか。私はもう少し分離がしっかりしていて……言葉にするのが難しいんですけど、シンプルなCDの音がよかったんです。私、ミックスとかマスタリングの知識がなかったから、スタジオ作業中、自分の思っているのと違うと感じたら言えればよかったんですけど、ミックスのあとのマスタリングでどこまで変わるのかがわかってなくて。
――ミックスで全体像はほぼ決まりますよね。マスタリングは最終的に整えるものだから。
加納:そうなんですよね。当時は無知だったので、ミックスではこんな感じだけどマスタリングでつるっとするのかなと思っていたんです。それで、全部できたあとに直したいと言い出して、迷惑をかけてしまって。挙句の果てにはカセットとLPが延期ということになってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいなんですけど……。本当はもう一度エンジニアさんにお願いしたかったんですけど、さすがにスケジュールが合わなくて、私がやるしかないということになって。
――ただ、これが加納さんのやりたかった音なんだなと感じました。これまでやってきた宅録の延長にある音像というか。すごくファーストらしいファーストだなとも思いました。
加納:インディーズでファーストということで大目に見てほしいです(笑)。次からはもう少しクオリティが向上したものを作れるかなと思うんですけど。
――それ以前の制作自体は順調でしたか? 8月にライヴを休んで制作期間を設けていましたよね。
加納:1ヵ月丸々休みました。でも、1ヵ月なんかじゃ全然足りなかったですね。3カ月くらいかかりましたもん。
――その間にゼロから作った曲もあるんですか?
加納:1曲だけです。「恋せよ乙女」はイチから作りました。その他はもともとライヴでも歌っている曲もありますし、「Moonlight」はストックから引っ張り出してきました。
――メジャー育成時代の。
加納:ですね。かなり直したんですけど、もともとは眠っていたものです。
――ということは、8月から始めた作業は主にレコーディングやアレンジですか。
加納:レコーディングは8月の頭にはほとんど終わっていた気がします。スタジオでミックス作業が週に3~4回あって。
――かなり入っていたんですね。お金もかかったでしょう。
加納:ね(笑)。いまどき珍しいやりかたで。
――しかも最終的にはそれをひっくり返したわけで。
加納:ね……。初めての作業だったので、すごくいい経験になりました。
――そうして時間をかけて仕上がった本作ですが、初めて加納さんに出会ったときに感じたユーモラスな部分よりも、都会の寂しさとか切なさみたいなものがすごく出ていると思ったんです。
加納:それは明らかに私の根暗な性格が出たのかもしれないです(笑)。アップテンポな曲もないですし。でも、そこは無意識でした。自分の作りやすいBPMとかってあるじゃないですか。それはミドルテンポが多くて。コード進行的にもパリピみたいな感じでもないし。
――歌詞には都会の虚無感みたいなのがあるし。
加納:言われてみればそうなのかもしれないです。
――『GREENPOP』がどんな作品なのか、1曲ずつ順番に聞いていきしょうか。「恋せよ乙女」は唯一の書下ろしの新曲とのことですが。
加納:前々から自分が作りたいなと思っていた感じの曲です。ギターのカッティングが前に出ているような、80年代の曲を持っていなくて。だから挑戦したかったんですよね。ちゃんとギターを弾いてもらって。
――以前のインタビューでギターはサンプル音源を使っていると言ってましたもんね。この曲のネタは……。
加納:マドンナの「Lucky Star」とエイス・ワンダーの「クロス・マイ・ハート」のふたつを混ぜこぜにしながら作りました。
――いつも組み合わせかたが面白いなと思うんです。曲を作るときに「この曲のここを使ってみたいな」というのがいくつも浮かぶんですか?
加納:使えそうだなと思ったものでパズルを合わせていく感じです。でも、別に狙ってやってやるぜ、みたいなのはないんですよね。これ入れたら面白そうっていう感じでポンと入れてるだけなので。YouTubeとかを見てて、こんな曲作ってみたいな、じゃあ作ろうっていう感じです。
――歌メロに関してはトラックの作りかたとはまた違いますよね。
加納:メロはって結構一緒になりやすいじゃないですか。前に出した曲とちょっと似てるとか、そういうことにならように展開の仕方を変えてみたりして、なるべく似ている感を出さないように気をつけています。やっぱり元ネタに引っ張られることもあるんですよ。でも元ネタのほうが絶対にいいので、あえてまったく違うタイプのメロを自分の作ってるトラックに当ててみたりしてます。
――この曲もそうですが、歌詞は恋愛ベースのものが多いですよね。
加納:結果的にそうなりました。シンプルに恋愛が題材だと組み立てやすいんです。聴いてる人も感情移入しやすいだろうし。なので自ずと増えていきました。でも、もし「加納さんこんな失恋したんだ」とか思われたりしてたら恥ずかしいですよね。
――別に恥ずかしくないですよ(笑)。SNSを見ていてもプライヴェートをあまり出さない人だなとは常々思ってます。
加納:普通に友達と遊んだりしますよ。最近は忙しすぎてお家に帰って寝たいっていう感じでしたけど。でも、この仕事もある意味遊びながらやってる感じですよね。(なりすレコード平澤氏を見て)お友達は常に一緒にいるから(笑)。だから毎日楽しいなと思って生きてるんですけど、それをわざわざTwitterとかに発信したりするのも恥ずかしいんですよね。
――その気持ちはわからないでもないです。自分もいちいち報告しなくてもいいよなって思ってしまうほうなので。ステージに立って発信することに関しては別なんですか?
加納:正直、人前で歌うのもあんまり得意じゃないんです。「私を見て!」っていう感じの人間ではないので。でも、音楽やるなら演者がいいなと思っているので、ライヴもやるけれど、みたいな感じです。
――2曲目の「ごめんね」は加納さんが広く知られるきっかけとなった曲です。
加納:でも、まだまだ全然知られていないと思うので。YouTubeの再生回数を10倍にしたいと思ってます。今年の頭からアルバムが跳ねるようにずっと動いてきて、シングルをこまめに出したりして頑張ってきたので、あとはどれだけアルバムが売れるかの工夫をするかですね。
――そのきっかけのひとつがインタビューだったりすると良いんですが。この曲のネタもいくつもあるんですよね。
加納:ニュー・オーダーって言われてるけど、ニュー・オーダーはイントロしか使ってないんですよね。あとはシニータとかカイリー・ミノーグとか。わかりやすいユーロビートの曲を作りたいと思っていたから、5~6個くらいリファレンスがあります。
――この曲はインパクトが強いからライヴでも最後に置かれることが多くて。
加納:絶対に最後ですね。さすがに飽きてきたので変えたいんですけど。ただ、気持ちの面で「ごめんね」にかなり救われている部分もあって。良いって言っていただくことがすごく多いので、自信を持って人前で歌えますし。「ごめんね」以外にもたくさん良い曲があると思うので、それを知ってもらえるように頑張ります。
――「Next Town」は東京に出てきたときの気持ちを歌った曲なんですか?
加納:そうです。渋谷を歩くとエモいなって思うんですよ。この気持ちを残したまま作ろうと思って。
――渋谷を歩いていてどんなところにエモいと感じます?
加納:それは私が地方の人だからかもしれないです。一応、夢を持って東京に来たので。新人さんがヴィジョンに映っていたり、街のスピーカーから音楽が流れていたりするけど、そんなこと誰も気にせずそれぞれ生きているわけじゃないですか。そういうのが……人生だなと思って(笑)。私もいつか渋谷のタワレコで大きく展開されるようになりたいなとか考えていたので、頑張るぞ、夢を掴むぞっていうキラキラした気持ちでいましたね。その時は。
――今は違いますか(笑)。
加納:今はもう全然。音楽は金を稼げなくてしょうがないものだと思ってます(笑)。以前に比べて夢も希望もないんですけど、地道に自力でやるしかないですよね。だから逆に「Next Town」はこの時だからこそ作れた曲かもしれない。今だったらこういう歌詞は書けないかもしれないです。
――この曲もヒントにしたものはありますか?
加納:マイケル・フォーチュナティの「Give Me Up」です。
――もしかして全曲に具体的な元ネタがあるんですか?
加納:基本的にあります。しかも全部言います(笑)。参考曲を隠す人もいるじゃないですか。それもどうなのかなと思っていて。リファレンスは絶対にあるのに。音楽はリファレンスとか引用とかオマージュでできていると思うので、それを隠して自分のオリジナルですというのもダサくない? って思うんですよ。そこで意地を張らなくてもいいのに。私は、例えば、このカンカンカンってカウベルがいいなと思ったら、ばっちし使ってやろうと思って作ってます。
――4曲目の「ハートブレイク」はストレートに失恋の曲で。
加納:これは特にリファレンスがなかったんですよね。恥ずかしいんですけど、降りてきたってやつで。
――パッと浮かんだ?
加納:これは実体験で、3年くらい前の話なんですけど、悲しみに暮れながらバイトしていて(笑)。バイト中、急に思い浮かんだんですけど、頭のなかでさらさらってメロができあがっちゃったんです。これだ! と思って、小走りで家に帰って、パソコンに向き合って、2~3日くらいでできました。歌詞とメロを同時進行で作っていきました。
――それが一番いいですよね。
加納:一番時間かからないし楽しい。歌詞を見返すとめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど。
――それが作った側の実体験であろうと聴く側は気にせず聴くと思いますよ。むしろ恥ずかしいくらい踏み込まないと刺さらないと思ったりもしますし。
加納:そうですよね。恥ずかしいのはきっとこっちだけですよね。みんなが曲に自分を投影してくれたりもするから、それでいいんでしょうね。私にとってはこんな時期もありましたわって感じの曲です。こうやって経験を形にできるから音楽って本当にいいなと思います。悲しい過去もお金に還元できる(笑)。
――続いて「恋愛クレーマー」。ドゥーワップをやってますね。
加納:これは一番古い曲で、19歳の頃に作りました。当時、メーガン・トレイナーがそういう曲をやって(「All About That Bass」)、すごいヒットしたんですよ。私はコニー・フランシスみたいな感じの曲を作りたいと思っていて、でもそれをまんま60年代の音にするのは今の時代に合わないと思ったんです。メーガン・トレイナーのは昔っぽい曲なんですけど、音が新しかったんですよね。これだと思って、リファレンスではウッドベースをだったのをシンセにしたり、ドラムも生じゃなくてリズムマシンを使ったり、だけどピアノには古めかしいエッセンスを入れたりしました。これは作ってて楽しかったですね。
――19歳の頃というと、上京してきて音楽を作り始めて間もないですよね。
加納:まだ1年経ってないくらいです。あのときは勢いがありました(笑)。ビギナーズ・ラックというか、曲を作り始めの頃はポンポン浮かんでくるんですよね。
――やってみたいことばかりだし。
加納:そうなんですよ! なんでも新鮮に感じて。一個一個が初めてやってみる曲じゃないですか。それが楽しくて、この時期のは結構いいなと思う曲が多いです。「Next Town」を作ったのもこの辺なんですよね。
――話を聞いていると、これまでのキャリアのすべてが詰まった集大成なんだなと感じます。あの頃は勢いが……みたいな話が出てますが、最近は曲を作るのが大変?
加納:大変ですね(笑)。最初に作っていたような感情では作っていないので。今はただ楽しいというより、自分の今までの作品を越えるような作品をしっかり作らないとなっていうプレッシャーもあります。前と違って浮かんでこないことばっかりだし。それに私は理論とかの知識がないので、工夫の幅がそんなに広くないんですよね。その辺の苦労はあります。もっと広い視点を持って作りたいなと思ってますね。
――「Just A Feeling」は耳に残るキャッチーな曲だと思いました。
加納:これは唯一の共作曲で。メロディーは児玉智広さんです。アレンジも完パケでできていたものを私が自分なりに自分っぽいものに変えて。コーラスは私が考えて、歌詞も8割くらいは変えさせていただきました。
――どういう経緯でこの形に至ったのでしょうか。
加納:もともと児玉さんと私の知り合いが男女ユニットを組んでいて、そのときに歌っていた曲なんですよ。当時からミュージック・ビデオとかライヴ映像を見ていて、めちゃくちゃいい曲だなと思っていて。3年くらい前からずっと頭に残ってたんですよね。そのユニットは実を結ぶ前に解散しちゃって、ネット上からも完全に消えていたので、どうしてるのかなと思って。で、自分のアルバムを作るときに、この曲が入っていたら絶対によくなるなと思って、直接ご本人にコンタクトを取って、使わせてほしいとお願いしに行きました。その際に私なりにアレンジを変えていいですかというお話もして、承諾をいただいた上で作りました。
――以前話していたレーベルの育成時代の繋がりがここで形になったわけですね。
加納:本当にそうですよね。私は人生無駄なことなんかひとつもないと思います。
――続いては「フライデーナイト」。金曜の夜に華やかな街に繰り出すという歌ですが、これこそ都会の寂しさを特に感じる曲なんですよね。
加納:たしかにこの曲では完全にアッパーな感じは出してないかなと思います。これも結構前に作った曲で。3年半前くらいかな。
――加納さんはきっと金曜日に遊びに行くタイプではないですよね。
加納:クラブとか行ったことないです(笑)。だから本当に概念で作ってる感じです。80年代って景気が良かったじゃないですか。でもそれは終わりと背中合わせだから、そういう感じが出た曲を作りたいなと思って作りました。
――素朴な疑問なのですが、加納さんがこの時代のどんなところに惹かれるんでしょうか?
加納:生まれてない時代のことだからファンタジーなんですよね。だから良いのかもしれないです。今、海外でシティポップとか歌謡曲が流行っているのも、自分たちの世界じゃないというファンタジーがあるからハマったんだと思うんですよ。
――たしかに今の海外需要はエキゾチックでミステリアスな音楽として楽しまれている部分もあるのかなと思ってます。昔、日本人がエキゾチカとかを掘っていたみたいに。
加納:それと同じ感覚なのかもしれないです。私が80年代を好きなのも。
――「フライデーナイト」はブルーノ・マーズだと思うのですが、これをはめ込もうとか思いつくのはどんなときなんですか? パズルを合わせる感覚という話も出ましたが。
加納:今まで聴いたことある曲って何となく頭に残ってるじゃないですか。とある曲を聴くと、あれに合うかもなって自然と検索上位に上がってくるみたいな感じなんですよね。それで、これとこれを組み合わせたものを作ってみようって。カーリー・レイ・ジェプセンの「Boy Problems」を聴いていたら、これとブルーノ・マーズの「Treasure」が合うかもと思って。合わせてみたら簡単にできちゃったから、そういうことかと思って。
――どういうことなんですか(笑)。その着想がユニークだなと。
加納:そうなんですかね? ベースラインは「Treasure」だけどメロディが全然違うのはそういう作り方してるからなのかなと思います。
――実際にやってみてパズルが合わないときもあるんですか?
加納:いや、大体が合わないなと思いつつも無理矢理やってる感じなので(笑)。
――「1988」はお父さんとお母さんの恋の話ということなんですか?
加納:じつはこれ、お父さんに相談して作ったんですよ。そういう当時のワードがたくさん欲しいと言って。共作みたいな感じですかね。
――やたらと当時に詳しい名詞が出てくるなと思ったんです。
加納:すごい情報量ですよね。正直、自分もよくわかってないんですけど。この言葉には意味があるんだろうなっていうくらい。最後の“31年前のパパとママなの”っていうのはお父さんが作ったところなので、多分そういう話なんだろうなって。たしかにもうすぐ結婚30周年だなと。
――加納さんの解釈もわりとざっくりした感じなんですね(笑)。お父さんと共作しようと思いつくのも面白いです。
加納:仲が良いんですよ。お父さんは私の活動にやんや言ってくる人で。私のTwitterとかも監視してるんですよ(笑)。ステージパパとかではないんですけど、「次はこういう曲作ってみなよ」って連絡が来たりとかします。この曲は完成するのに3年くらいかかっているんですよ。
――長いですね。書きあぐねていたからお父さんの力を借りて。
加納:そうです。これまで10回以上直してきて、この形になりました。これでも納得いってないところもあって、もっとできたんじゃないかなとも思うんですけど、これが今の自分の実力だからしょうがないなと思ってます。曲を作っていると、これはきっと良くなるなっていうのはわかるんですよ。だから、この曲を放置して闇に葬るのはもったいなと思って、なんとかベストを尽くしてリリースしたいなと思っていたので、時間をかけて作りました。
――このアレンジは歌謡っぽいディスコですね。
加納:リファレンスはいくつかあるんですけど、矢島美容室の「ニホンノミカタ-ネバダカラキマシタ-」が大きいです。
――また意外なところから!
加納:キラキラしててうるさくていいな、景気良いなと思ったんですよね。
――「二人のフィロソフィー」はフィリー感のあるストリングが爽やかなダンス・ナンバーです。
加納:もともとノーランズがすごい好きで、やってみたいと思って作ったんですけど、ノーランズ感はそんなに出なかったかなって。
――「ごめんね」に次ぐ代表曲になりそうじゃないですか。それこそライヴの締めの曲としてもハマりそうだなと。
加納:「二人のフィロソフィー」はいつかもう一回出したいなと思っていて。私がもっとステップアップして、満を持した状態でメジャー・デビューしますってことになったときに出したいんですよね。もっと知れ渡ってもいい曲だと思うんです。これも結構前……二十歳くらいのときに作った曲です。
――これもそんなに前の曲なんですね。歌詞はハッピーな感じで。
加納:結婚ソングとまではいかないですけど、それに近いような幸せに溢れているものがこの曲には合うと思ったので、こんなふうに書きました。
――最後が「Moonlight」。ストックからの曲ということですが、やはりアルバムを作る上での流れは考えていたのでしょうか。
加納:アルバム全体のストーリーみたいなものはないんですけど、こういうテンポでこういう曲調のものは絶対に入れるべきだというのはあったので、最後にしんみりとしたのを入れてみました。曲順に関してはほとんど平澤さんが作ってくれたんですよね。自分は普段、サブスクで曲単位でしか聴かないから、アルバム丸々1枚聴いたりすることがあまりないんですよ。ここでこの曲を入れたらいいとか考えたこともなかったんです。
――今、改めて加納さんは新世代なんだなと感じます。アルバムはあまり持っていない?
加納:持ってないです。今年、3年ぶりくらいに買ったのがKing&Princeのアルバムです。
――キンプリ! 僕も大好きです。どうしてキンプリはCDを買おうと思ったんですか? 配信がないから?
加納:シンプルに好きなんです。DVD付きを買ったんですよ。可愛い男の子たちの和気あいあいとした映像が見れるから買っちゃった(笑)。ジャニオタとかではないんですけど、ジャニーズの楽曲とか、あの若干奇妙な存在感も好きなんですよね。今の時代にド直球なキラキラしたことをやるのも逆にロックだなとも思うし。個人のスキルも高くて、あれが集合体になっているのが奇跡だなと思うんです。アイドルグループって一人二人はポンコツがいるのに、ポンコツがいないのもすごい。それに、今の輝きが儚くも感じるし。勝手に裏側も想像して、応援しようって思うんですよね……語っちゃってすみません。
――いや、新鮮で驚きました。ともかくアルバムはあまり聴かないから、曲順は平澤さんに任せて。
加納:はい。ただ、こういう曲があったほうがいいだろうなとは思って、「Moonlight」収録しました。今の自分が昔の自分の作った曲を直してっていう。これはマルーン5の「Don’t Wanna Know」を参考にしてます。バックの木琴みたいな音はモロに使ってますね。
――といった感じで全10曲についてうかがってきましたが、参照元からもわかるように、加納さんの音楽は80年代のイメージが強いけれど、じつはとても幅広いんですよね。
加納:80’sの曲がそこまで多いわけじゃないんですよね。実際はニュー・ウェイヴもないし。昔の音をそのまま現代でやっても新鮮味はないし、売れないなと思うんですよ。
――ラベリングされることが鬱陶しく感じたりもします?
加納:どうしても私を昔の曲とくっつけたいんだろうなって感じたりすることはあります。その曲は全然意識してないのに、なんでもかんでも昔の曲を参照にしてるって言われると……勝手に喋ってもらうのは構わないんですけど、へー、そういう感じで見るんだって思ってます。そんなに昔の音楽が好きなんですねって。
――というような思いもアルバムで伝わるといいですね。色んなポップスをやっているよと。
加納:伝わってほしいです。既視感みたいなのは親しみやすいという意味で大事だと思うんですけど、「古い感じの曲だね」って時代が止まっちゃうのはイヤなので。過去は尊重するけど、今を生きていくしかなくない? っていう、自分の哲学がアルバムに投影されているかなと思います。どこかで新しい、現代っ子が作ってるんだなっていうのがわかる音楽をやっていきたいですね。
【リリース情報】
加納エミリ1stアルバム「GREENPOP」2019.11.20 RELEASE!
《アナログLP》
アーティスト:加納エミリ
タイトル:GREENPOP
品番:NRSP-1270
仕様:LP(ジャケット4種類)
レーベル:なりすレコード
発売元:なりすレコード
流通:東洋化成ディストリビューション
発売日:2019年12月18日(水)
価格:3,000円(税抜)
収録曲:
SIDE A
1.恋せよ乙女
2.ごめんね
3.Next Town
4.ハートブレイク
5.恋愛クレーマー
SIDE B
1.Just a Feeling
2.フライデーナイト
3.1988
4.二人のフィロソフィー
5.Moonlight
《カセット・テープ》
アーティスト:加納エミリ
タイトル:GREENPOP
品番:NRCT-2501(限定300本)
仕様:カセット・テープ
レーベル:なりすレコード
発売元:なりすレコード
流通:東洋化成ディストリビューション
発売日:2019年12月18日(水)
価格:2,500円(税抜)
収録曲:
SIDE A
1.恋せよ乙女
2.ごめんね
3.Next Town
4.ハートブレイク
5.恋愛クレーマー
6.Just a Feeling
SIDE B
1.フライデーナイト
2.1988
3.二人のフィロソフィー
4.Moonlight
5.Been With You(ライブVer.)
6.Next Town(ライブVer.)
#SIDE B M.5&M.6=カセット・テープ収録のみのボーナス・トラック
【ライブ情報】
「加納エミリ“GREENPOP”リリースツアー2020」
2020.1.11(sat)
大阪ELEVATE
open 15:30 / start 16:00
adv ¥2,500 / door ¥3,000
LIVE: 加納エミリ
DJ: dj boyfriend / DJ FUNNY BOY / カジカジ銀座
協力: ハワイレコード
2020.1.18(sat)
福岡UTERO
open 18:30 / start 19:00
adv ¥2,500 / door ¥3,000
出演: 加納エミリ / 村里杏 / uami
2020.1.26(sun)
京都ネガポジ
open 18:00 / start 18:30
adv ¥2,500 / door ¥3,000
出演: 加納エミリ / 象の背 / 本日出演
2020.2.2(sun)
名古屋ネガポジ
open / start 18:30
adv ¥2,500 / door ¥3,000
DJ & OA: HF International
詳細&予約
https://emirikanou.themedia.jp/