Last Update 2017.8.21

Features

坂田学的アナログ5選&新作『木の奥』アナログ盤リリースに寄せて

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

音楽に対する真摯な姿勢が共感を呼び、多くのアーティスト、バンドの作品やツアーに参加する ”ドラマー/シンガーソングライター” 坂田学。
Polaris脱退前後の2005年頃から、ドラマーとしての活動と並行して少しずつ大切に創作と録音を続け、10年を超える制作期間を経た2017年初頭に、満を持して自身初のスタジオ録音オリジナル・アルバム『木の奥』をリリースした。今回は、坂田学本人に大切にしているレコードの中から5枚紹介していただいた。
そこからは彼自身のアナログレコードとの向き合い方がうかがい知ることができた。

THE METERS 『FIRE ON THE BAYOU』

1995年頃購入したと思うこのレコード。CDが主流になっていたけど、CD化されていない音源も多かったので、レコードを探して聴いていた。
当時の自分には高価なレア盤だったので思い出深い。ミーターズはCDやipodでも聞いているけど、このうねるようなグルーヴはレコードで聞くほうがより伝わってくる。

 

ELVIN JONES AND RICHARD DAVIS 『HEAVY SOUNDS』

ゆっくり店内で試聴させてくれる世田谷の某レコードショップで、ELVINのファンの自分に薦めてくれた一枚。
その後、世界最高峰のレコードを聴く環境とも言えるであろう一関のBAISEというJAZZ喫茶で、このアルバムを聴かせてもらった。
BAISEでレコードを聴くと本当にすぐそこで演奏しているように感じる。
それが何故かは解明できないけど、そこが自分にとっての最大のレコードの魅力である。
「レコードはタイムマシーンだ」と言っていた人がいる。空気感も含めて同時録音されたJAZZは、特にそう感じる。
ターンテーブルを回せば、録音当時の空気の振動、魂が蘇る。
もしかしたら、ある種のliveよりもliveになりうる、なんて事もあるかもしれない。

 

LUCHIANO 『ETUDES ELECTRONIQUES』

京都のレコードショップで試聴して購入した。細かいカテゴライズには詳しくないけど、クリックテクノというジャンルだろうか。
黎明期から現在までレコードが根強く浸透しているクラブカルチャー。
ダンスミュージックがどんどんデジタル化していく過程でも、アナログレコードが常に共存している事が興味深い。
このアルバムをクラブで大きい音で聞いたらもちろん良いと思うけど、家で昼間に聴いたり、どんな環境で聴いても素晴らしいビートミュージック。

 

ANDREW CHALK 『THE CABLE HOUSE』

手作りの版画のようなデザインのジャケットに惹かれてジャケ買いした。試聴はできなかったので、お店のお薦めのPOPと直感で買ったけど当たりだった。
自分は幅広く音楽を聴くが、言葉もリズムもメロディーも聴きたくない気分の時もある。でも何か聴きたい、そんな時に、このようなアンビエントは最高だ。
森の中で木々が風に揺られて鳴る音、虫や鳥の声、川のせせらぎ、波の音、そんな自然の音に近いような音。
良い音の定義は難しいけれど、自分が良いと思える音には、それが一音だけであっても、そこに言葉もリズムもメロディーもあるのかもしれない。
レコードの音は、何故か長く聴いていても疲れない。自然界の音に近いのだろうか。

 

THE BEATLES 『PLEASE PLEASE ME(MONO 2014)』

JAZZやビートルズの高価なオリジナル盤の世界に踏み込んでしまったら大変な事になってしまうけど、オリジナル盤を良い環境で聴くと、こんなに違うのかと思った事があった。
このビートルズの1stのオリジナルイギリス盤というものを聴かせてもらったら、今まで聴いていた印象とまったく違っていた。
皆さんご存知の通り、ビートルズは約10年の間に音楽的に急激に変化し、進化した。
中期~後期になると楽曲、編曲、録音技術もより優れた面が出てくるし、ビートルズは中期から後期の方が好きだと思っていた。
しかし、このアルバムをMONOのレコードで聞いてから変わった。初期には初期にしかない魅力がある事を再認識した。スタジオライブのような勢いと作品としての質感の絶妙のバランス。
マイクもトラック数もオーバーダビングも少ないからこそ空気感がある。あるエンジニアの方が、アナログテープの録音は空間情報が多いという話をしてくれた事がある。
レコードとしてアウトプットする時にも、空間情報の多さのようなものがあるのかもしれない。そんな事をこのリイシュー盤を聞いて感じた。

 


 

ーーおすすめのレコード店があれば教えてください

DISK UNION、HMV RECORD SHOP、下北沢 GENERAL RECORD STORE、広島 STEREO RECORDS、神戸 ハックルベリー、高松 ROOTS RECORDS、鹿児島 RECORD STATION、大分 RA’S DEN RECORDS など。
他にもたくさんありますし、旅先でも時間があればレコード屋を探してしまいます。

 

ーー坂田さんがレコードを買う、聴くときのポイントは何でしょうか?

新譜や新品レコードはネットで買う事も多いですが、お店に行く事によって新たな発見や出会いがあるのが面白いので、お店でよく買います。
試聴ができるお店はありがたいです。

 

ーー今回、新作『木の奥』アナログレコード化に際して、リスナーの方へメッセージをお願いいたします。

制作に10年かった「木の奥」。構想から換算するともっと長い年月になります。
その間に音楽業界も変わり、音楽の聞き方もずいぶん変わりました。
1973年生まれの自分は、最初はレコードを家で聴き、80年代に流行したウォークマン、ラジカセでカセットを聴き、時代はCDへと変わっていった。
自分が音楽の仕事を始めた90年代以降もメディアや聞き方が変り続けている。DAT,MD,CD-R,MP3,ipod,ハイレゾ、youtube,apple music・・
それでもレコードという存在は生き続けてきた。そして、配信やストリーミングの波がCD市場を覆い始めると同時にレコードの再評価が始まった。
レコードで新譜をリリースするミュージシャンも増えてきた。そんな時代の変化を肌で感じながら、自分が作品を作るならば、どういう形でリリースすれば良いのだろうか、自分は何を作りたいのだろうかと考え続けていた。
90年代中盤から音楽の仕事を始めた自分が今まで参加した作品、リリースした作品は、ほとんどCDだった。
いつか自分の作品をレコードで出したいという長年の思いと、レコード再評価のブームが重なり、アルバムをレコードでもリリースする事ができました。
どんなに時代が変わっても、常に生き続けているレコードのように自分もアルバムを作り続けたいと思っています。

 

■作品情報

坂田学『木の奥』(LP)
レーベル: Lifework Records
品番:LR-002
発売日:2017年3月15日
価格:3,300円(税抜)
トラックリスト:
1. モノクローム / Monochrome
2. ウーレイロー / Ureiro
3. ヴィクティムとヒポクリット / Victim and Hypocrite
4. 木の奥 / Deep in the Heart of a Tree
5. 回転する空白 / Revolving Blank Spaces
6. 1月のピアノ / Piano in January
7. 静寂 / Silence
8. good night my daughters  good bye our yesterday

■ミュージシャン: 坂田学(vo, pf, g, b, dr, etc.)、エマーソン北村(pf, org)、中島ノブユキ(pf)、石井マサユキ(g)、おおはた雄一(g)、高田漣(g)、鹿島達也(b)、イノトモ(cho)、朝倉真司(per)、影山敏彦(g/tico moon)、吉野友加(hp/tico moon)、橋本歩(vc)、今井香織(vc)、萩原薫(vla)、坂田桃子(vn)
■Rec & Mix エンジニア: 中野正之、笹原与志一、zAk、坂田学
■マスタリング・エンジニア: zAk
■カッティング・エンジニア: 小鐵 徹

■プロフィール

1973年生まれ。父はサックス奏者の坂田明。10歳からドラムを始め、高良久美子、仙波清彦に師事。
93年米国Musicians Instituteへ留学。94年帰国後、ドラマーとして活動を始める。
共演者は、森山直太朗、ハナレグミ、秦基博、中島美嘉、ハンバートハンバート、Bonnie Pink、トータス松本、等のポップス系から、
大友良英、塩谷哲、勝井祐二、坂田明、ジム オルーク、小沼ようすけ、たなかりか等のジャズ、即興音楽まで幅広い。
ピラニアンズ、Polaris(05年脱退)、ボッサピアニキータ、ダブダブオンセン,the Herz等のバンドでも活動してきた。
2004年より多数の楽器と映像を使ったソロ活動をスタートさせ、ソロやアンサンブルで毎回趣旨の違うライブを展開し、
2005年に「Music for Nyancos ~ Hello ! Brilliant future」「Solo Live at Penguinhouse」「gradation」の3枚のソロアルバムをリリース。
そして、 ソロ作品としては12年振り、制作期間10年、自身初のスタジオ録音による歌もの中心のアルバム『木の奥』を 2017年初頭にリリースした。
(1/18 CD, 3/15 Vinyl リリース)
オフィシャルサイト https://www.manabusakata.com

 

■ライブ情報

《坂田学&おおはた雄一》
ダブルリリースツアー ” タイム・フライズ &木の奥” 東京 篇
2017年6月12日(月)
代田橋・CHUBBY (世田谷区大原2-27-9)
http://www.chubby.bz

出演: 坂田学(vocal, guitar & drums) , おおはた雄一(vocal & guitar)
ゲスト: ticomoon (影山敏彦: guitar, 吉野友加: harp), 石井マサユキ(guitar)

《坂田学&おおはた雄一》
ダブルリリースツアー ” タイム・フライズ & 木の奥”

2017年7月6日(木)
名古屋 Tokuzo(名古屋市千種区今池1-6-8 ブルースタービル2F)
http://www.tokuzo.com
出演: 坂田学, おおはた雄一

7月8日(土)大阪 cafe martha(大阪市西区江戸堀3-8-16)
http://www.marthanet.com
出演: 坂田学, おおはた雄一

7月9日(日)京都 CINEMATIK SALOON(京都市中京区河原町通三条上ル下丸屋町410番地7階)
http://cinematiksaloon.com
出演: 坂田学, おおはた雄一

 

《坂田明, 坂田学 DUO ” It’s a Family Affair”》
5月26日(金)渋谷 Hot Buttered Club(渋谷区渋谷3-1-9 渋谷第三KKビルB1F)
http://hotbuttered.club
出演: 坂田明, 坂田学

 

《たなかりか(ドラマーとしてサポート参加)》
5/14(日)たなかりか ~Japanese Songbook2 リリースツアー~
名古屋ブルーノート(名古屋市中区錦3-22-20 ダイテックサカエビルB2)
http://www.nagoya-bluenote.com

5/18(木)たなかりか ~Japanese Songbook2 リリースツアー~
JZ Brat Sound of Tokyo(渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル2階)
https://www.jzbrat.com

坂田学
おおはた雄一
たなかりか
坂田明