アナログ・ミステリー・ツアー September Records出張版!~ビートルズからJBまで、世界アナログの旅!~
群馬県高崎市に2016年9月にオープンしたばかりのセプテンバーレコードにて、2016年11月27日(日)【アナログ・ミステリー・ツアー September Records出張版!~ビートルズからJBまで、世界アナログの旅!~】が開催されました。
このイベントにあたり、東洋化成からはレコードの日に際してbukatsudoにて行った展示「アナログレコードができるまで」に使用した、ラッカー盤やアナログレコードの原材料等を貸し出しさせていただきました。
セプテンバーレコード店主の山崎つよしさんからのレポートが届きましたので、是非お読みください!
群馬県高崎市に2016年9月オープンしたばかりの当店にて、【アナログ・ミステリー・ツアー September Records出張版!~ビートルズからJBまで、世界アナログの旅!~】が開催されました。 僕の人生を良い意味でも悪い意味(笑)でも狂わせた名著、「アナログ・ミステリー・ツアー/湯浅学・著」に出会ってから、何枚ものレコードと沢山のカートリッジを購入して聴き比べをする毎日でした。当店オープン当初、セプテンバーレコードの壁がアビーロードだらけになっていたのは、実はこの本の影響が大きいのです。
「ビートルズのUK盤は音が良い」、「インド盤はシタールの音が違う」等と言われても、実際に音を聴く事は普通の人には困難ですし、「そもそも音が良いってなんなんだ?」と思っている方も多いと思います。 稀少価値が高いレコードや、高級オーディオから聞こえる音だけが本当に”良い音”なのか?今でもとても疑問が残ります。
「この曲は日本盤で聴いた方が曲に合っている」、「このUS盤はジョンのフェロモンがハンパない」、「こっちの方が風情がある」など、この本では様々なカートリッジで各国盤を独自の聴き方で検証してくれています。 そんなアプローチがとても面白く、アナログの新しい魅力に気付かせてくれたこの本を片手に音盤の世界に没頭していた毎日でしたが、お店のオープンをきっかけに駄目もとで「アナログ・ミステリー・ツアー」編集者である浅川満寛(兜田麟三)氏に店内イベントができないか相談したところ、快く引き受けていただき、「アナログ・ミステリー・ツアー」を大幅グレードアップして再現するイベントを開催することができました。
今回の試聴会ではビートルズはもちろん、世界各国で製造されたレコードの数々のうち、桁外れの音を持ったものばかりを揃え、浅川氏が試してみたかったという超ハイパワーの真空管アンプを持ち込み、JBL-4312を鳴らしまくりました。
↑↑浅川氏
有料のイベントだったにも関わらず、店内は満席。
簡単ないきさつを話してからは余計な説明はせずに、次々とカートリッジとプレスを変えながら進めて行きました。針を落とした瞬間、一瞬凍り付いた様な空気になりましたが、あまりにも凄い音にあっけににとられていたようです。とても大きな音なのに心地よく、うっとりしてしまうような音で、贅沢な時間を過ごせたと感じられた参加者の方もいらっしゃいました。
曲の合間には、東洋化成さんからお預かりしたラッカー盤やマザー盤などの展示を見つつ、レコードが作られる行程を説明していきました。レコードが作るのにどれだけ多くの手間がかかるか、なぜ同じ音楽なのに各国盤で音が違うのはなぜだろう?と疑問に思っていた方も、視覚的に理解することができ、今回のイベントにぴったりの展示内容となりました。
↑↑当日使用したカートリッジがこちらです。
●78回転SP盤用
Garrard Type 46864
(1948年製・高出力改造版)
Decca XMS
(通称「ゲンコツ」・Kabuta Audioユニバーサル改造版)
●オリジナルモノラル用
ESL (Ortofon) C-60
Fairchild 225-A
●再発モノラル用
Linn Karma
(Kabuta Audioモノラル化改造版)
●ステレオ用
Denon DL-103 Paradoxリケース
(Kabuta Audioムクシバタ化カスタム)
イベントは1日2回開催され、各々の回の聴き比べプレイリスト及び感想は下記をご覧ください!
【第1回目聴き比べプレイリスト】
01.The Beatles / Drive My Car ■7″ 輸出用UK盤
02.The Beatles / Drive My Car ■Robber Soul UK盤 1st PRESS ラウドカット
→音圧が高いと言われているUK盤の1st Pressよりも明らかにUKエクスポート盤の方が音圧高く迫力ある音でした。
03.The Beatles / Yesterday ■7″ オランダ盤(UKマザー)
04.The Beatles / Yesterday ■7″ ドイツ盤 DMMプレス
→低音がモコッとしがちのDMMプレスですが、ギターの低音が強調されこの曲にとても合っている印象でした。
05.The Beatles / Dear Prudence ■The Beatles (White Album) 収録 ■ドイツ盤 DMMプレス 白盤
06.The Beatles / Dear Prudence ■The Beatles (White Album) 収録 ■ドイツ盤 DMMプレス 後期 白盤(ブート盤)
→個人的には、DMMだと少々うるさ過ぎたかなという印象でした。自分が所有するDMMプレスはデジタルソースのブートレグだったのでは?という疑問が湧きました。
07.The Beatles / Rain ■Rarities 収録 ドイツ DMMプレス ステレオ盤
→イントロのスネアから強烈でびっくり!他の盤では味わえないような強烈なサウンドでした。
08.Led Zeppelin / Achilles Last Stand ■Presence 収録 ドイツ盤 DMMプレス(デジタルソース?)
09.Tracy Chapman / Talkin’ About A Revolution ■Tracy Chapman 収録 アメリカ盤 DMMプレス
→やはり低音が強調されて、ブンブンいってる曲にはDMMが合いそうです。
10.The Beatles / Baby You’re A Rich Man ■ Magical Mystery Tour 収録 ドイツ盤 DMM ステレオ
11.The Beatles / Baby You’re A Rich Man / 7インチ UK盤 スタンパー1G
→このDMMのステレオ盤は狂った様な音がして、人気なのが分かりました。マジカルには合いそうだと感じました。スタンパーが1Gのものなんて一生聴けないと思っていたので、貴重な体験になりました。
12.The Beatles / I Saw her Standing There / Please Please Me UK盤 MONO Gold Parlophone “Dick James” early pressing
13.The Beatles / I Saw her Standing There / Please Please Me 日本盤 MONO 87年プレス
→UK 1stPressはやはり迫力あって、新鮮な音がしました。低音が効いていましたが、クラップの音がいまひとつハッキリしなかったです。
14.Elvis Presley / I Got A Woman ■SP盤 南アフリカ盤
15.The Teddy Bears / To Know Him Is To Love Him ■SP盤 UK盤
→SPはノイズだらけのイメージでしたが、改造したカートリッジの効果でノイズ少なめで、強烈な迫力のあるサウンドで聴けました。
16.Etta James / Fool That I Am ■7″ US盤
→いままで聴いてきた Etta Jamesはなんだったんだろうと圧倒されました。
17.Irma Thomas / Wish Someone Would Care ■7″ US盤
18.The Ronettes / Walking In The Rain ■7″ US盤
→当日の天気を象徴するような良い締めでした。
↑↑The BeatlesのUKオリジナル盤をバージョン違いを含め年代別に並べたもの
【第2回目聴き比べプレイリスト】
01.Otis Rush / I Can’t Quit You Baby ■SP盤
02.江利チエミ / チャチャチャは素晴らしい ■SP盤
03.Elvis Presley / Milkcow Blues Boogie ■SP盤 南アフリカ盤
→一発目からSP盤の底力に圧倒された。これは浅川さんが改造したカートリッジの影響が大きい。
04.James Brown / Please, Please, Please ■SP盤
05.James Brown / Please, Please, Please ■シングル ジャマイカ盤
→J.B.のSPとジャマイカ盤の聴き比べはヤバかったです。SPはとにかく生々しい。ジャマイカも大人気のJ.B.を現地の方がどう聴いていたのかわかったような気がします。
06.James Brown / Licking Stick – Licking Stick ■シングル ジャマイカ盤
→カッティングからJ.B.のシャウトまで迫力あって最後まで駆け抜ける感じがします。ベースラインが凄い!
07.Elvis Presley / Are You Lonesome Tonight ■シングル 日本盤
08.Elvis Presley / Are You Lonesome Tonight ■シングル UK盤
09.Elvis Presley / Are You Lonesome Tonight ■シングル ドイツ盤
→ドイツ盤はUK盤より音圧が低いのですが、細かく表現されていて色っぽい印象でした。
10.Arthur Alexander / You Better Move On ■シングル 日本盤
11.Arthur Alexander / You Better Move On ■シングル US盤 プロモ
12.Arthur Alexander / You Better Move On ■シングル UK盤
→音圧も印象もまったく異なりますが、それぞれ趣き深いサウンドでした。
13.Rolling Stones / Satisfaction ■シングル UK盤
14.The Who / I Can’t Explain ■シングル UK盤
15.The Beatles / Long Tall Sally ■EP UK盤
→こうやって比べてみると、いかにビートルズが上手いバンドだったかが如実に分かりました。
16.The Beatles / I Saw Her Standing There ■Please Please Me収録 4thプレス UK盤
17.The Beatles / I Saw Her Standing There ■Please Please Me収録 ドイツ盤 ドライミックス
→4thプレスとは言え、UK盤初期のステレオ盤は貴重で聴く機会がなかなかありません。それを今回はドイツ盤のドライミックスと聴き比べすることが出来ました。UK盤はもちろん迫力があってクラップ音などのエコーが若干薄いので、より迫力がある様に聞こえました。
18.The Beatles / Helter Skelter ■The Beatles収録 ドイツ盤 DMM
→特に低音が変わって聴こえるので、音の隙間が感じられるホワイトアルバムはDMMで聴くと面白いなと思います。
19.Paul McCartney / Tag Of War ■Tag Of War収録 インド盤
→コーラス、アコギやストリングスもより奇麗に聴こえました。曲の良さを際立てる盤だと思います。
20.John Lennon / Imagine ■Imagine 収録 インド盤
→インド人が一番この曲を解っている(浅川氏談)(笑)。このステレオの完成度はなかなか無いと思います。
21.Paul McCartney and Stevie Wonder / Ebony And Ivory ■シングル UK盤
22.Paul McCartney and Stevie Wonder / Ebony And Ivory ■シングル 南アフリカ盤
→南アフリカ盤は明らかに音圧が高く、アパルトヘイト反対の気持ちがとても伝わりました!
23.Peter Rosh / Get Up, Stand Up ■Get Up, Stand Up US プロモ盤
24.Peter Rosh / Get Up, Stand Up ■Get Up, Stand Up 南アフリカ盤
→南アフリカ盤はミックスが違うのでは?と思うくらい音が違い、曲の印象がまったく異なりました。US盤は何やってんだ?っと思う様な内容でした。
25.Etta James / Fool That I Am ■US盤
26.Etta James / At Last ■US盤
27.Irma Thomas / He’s My Guy ■US盤
→とにかく反響が多かったのがEtta James。イベント終了後にUSオリジナル盤を買い始めたいという声が多く、良い締めとなりました。
↑↑The Beatlesの各国盤のジャケット違い等